スイス、スペインの現地事情

 スイスやスペインの景気は悪くはないという印象でした。

 スペイン・バルセロナは1年前にテロ事件があったものの、武装警官の数は少なく、観光客とショッピング客でにぎわっていましたが、ロンドンの方が活気がありました。

 スイスでは、観光客にインド人の家族連れが多かったことが印象的でした。中国人や韓国人旅行者よりも多く、中間所得層が勢いよく増加していることを物語っているのでしょうか。

 

ハンバーガーで探る欧州の物価

 海外旅行をしたときに、最も気にかけるのがその国の物価です。

 ロンドンは高く、スイスはかなり高いと聞いていましたが、実際はどうなんだろうと思いながら、日本を出発しました。

 各国の物価水準を比較するのに「ビッグマック・インデックス」というのがあります。マクドナルドは世界中に店舗を展開しているため、各国の物価水準をビッグマックの価格を比較することによって相対的に高いか低いかを判断する方法です。

 今回も試してみたのですが、なぜかマクドナルドの店舗が少なく、バーガーキングの店舗の方が目立ちました。そこでバーガーキングの代表商品であるワッパー・セットの価格をチェックしました。「ワッパー・セット指数」です。

ワッパー・セット指数

※為替レートは2018年7月11日現在

 ワッパー・セットの価格で比較すると、圧倒的にスイスが高く、日本の約2.1倍、ロンドン、スペインでも約1.2倍と日本よりも物価が高い状況となっています。

 しかし、ロンドン在住の人に聞くと、生活実感ではそんなに高くないと話しました。事実、スーパーマーケットに行けば、食品の値段はほとんど日本と変わらず、スイスも同じでした。スイス・グリンデルワルドにも大きなスーパーマーケットができており、食品の値段は日本とほとんど変わりません。

 この物価水準には驚きました。ロンドンの物価は3年前と比べてかなり下がっている印象でした。

 まとめると、次のようになります。

  • 英国景気の現状はよいが、先行きの不安材料が払拭されず、景気の足かせになる可能性がある
  • スイス、スペインの景気は悪くはないが、英国ほどよくはない状況
  • どの国も物価は高くはなく、食品や衣類などの生活必需品は日本とほとんど変わらない状況

 この物価水準を見ると、金利はなかなか上がらないのではないかという思いになります。

 6月21日のECB(英国中央銀行)の金融政策委員会では、政策金路は据え置かれましたが、9人のうち、3人が金利引き上げを主張。前回よりもひとり増えたことからポンドが買われました。

 しかし、実際の利上げまでにはかなり時間がかかるのではないでしょうか。6月14日のECB理事会では「少なくとも2019年夏までは、政策金利は在の水準にとどまる」としていますが、このことは実感しました。

 針の穴から象の体の一部だけをみてい見ているだけなのかもしれませんが、実際に当地で感じた印象は、これまでの経験から大事にしたいと考えています。