iDeCo金融機関選び、決まりましたか?
iDeCoこと個人型確定拠出年金については各社の取り組みがどんどん公表され、また来年1月から利用可能となる公務員等の事前申込受付もスタートしています。
本連載は楽天証券のコラムですが、楽天証券もiDeCoに新規参入した金融機関のひとつです。口座管理手数料を大きく引き下げ、また信託報酬の低い投資信託を数多くラインナップしてきたことで、他社の動向にも大きく影響を与えました。
楽天証券を含め、iDeCoに対する各社の新規取り組みもほぼ出尽くしたようです(といいつつ、まだ新プランを公開する金融機関もあるので油断はできませんが)。「そろそろ決めるか…」と悩んでいる人のための検討ポイントを紹介してみたいと思います。
それは、「口座管理手数料」です。
口座管理手数料にはよく注目したい
iDeCo口座を維持するにあたっては、口座管理手数料と、投資商品にかかる手数料(信託報酬)が内枠でかかってきます。所得税や住民税の課税対象から免れるという大きなメリットがありますので、掛金を1万円程度毎月積み立てればこうしたコストで実質マイナスになることはありません。しかし、コストが低いことが望ましいことはいうまでもありません。
少なくとも、口座管理手数料が高いことで運用パフォーマンスが向上することはありえませんので、必ず最終的な手取りを押し下げる要因になるからです。
実はこの口座管理手数料、企業型の確定拠出年金であれば基本的にかかりません。企業型確定拠出年金では会社が運営する退職金制度の一部である以上、運用に要する費用(信託報酬)のみ本人が負担するのが基本となっているからです。
(その代わり、所得控除で所得税・住民税が軽くなる効果はなく、会社の経費として掛金は扱われる)
これはつまり、iDeCoの場合は口座管理手数料が自分の最終的な資産額を左右する大きな要素となる、ということです。
高い口座管理手数料で信託報酬が年1.20%上積みされると考えてみる
iDeCoの口座管理手数料は、国民年金基金連合会と信託銀行が徴収する月167円はどこでも生じます(毎月掛金を拠出する加入者の場合)。これに加えて運営管理機関がいくら乗せてくるかがカギとなっていますが、楽天証券のように無料とするところ(月167円どまり)から、合計で月500円以上としているところまで様々です。
もしあなたのiDeCo残高が50万円としたら、口座管理手数料が年6,000円(月500円)であったとすると、年率換算すれば資産の年1.2%にも相当する大きな負担です。いってみれば、資産全体にさらに運用手数料として1.2%上乗せされているようなものです(定期預金でも投資信託でもかかるという点では、かなり重い負担といえる)。
私たちは、投資信託のラインナップをチェックし、信託報酬の高低差0.1%にこだわりながらiDeCoのパートナー選びを行っているはずです。このとき、口座管理手数料について無頓着であるのはあまりにも愚かすぎます。
楽天証券のように月167円の手数料で収まれば、資産残高50万円の場合、口座管理手数料の年率換算インパクトは0.4%に下がります。口座管理手数料の高いところと低いところに2つの口座があったと仮定して、信託報酬が同水準の投資信託に投資し、同様の運用成績に推移したとしても、資産残高は年0.8%相当の差がついていくことになります。資産形成上、これは大きなインパクトです。