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想定為替レート106円、いま110円。これっていいの?悪いの?
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想定為替レート106円、いま110円。これっていいの?悪いの?

2018/5/23
・上場企業、過去最高益を更新
・想定為替レートが企業行動を左右
・ドル独歩高の行方は?
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上場企業、過去最高益を更新     

 5月に入り、国内の上場企業の決算が相次いで発表され、その最終利益の合計は、2年連続で過去最高を更新する見通しです。

 決算発表では同時に、今期2019年3月期の見通しも発表されますが、為替相場を予想する上で注目されるのは、企業の想定為替レートです。このコラムで何回も取り上げていますが、「想定為替レート」とは、輸出入企業が「事業計画を策定するときに、前提にする為替レート」です。

 今回は特に輸出企業の想定為替レートに注目します。

 その理由の一つは、企業の利益動向から、経済全般や財政・金融政策の動向を探るためです。

 例えば、想定為替レートよりも実勢レートが円安だと企業利益は上振れ、賃金上昇や設備投資増加を通して、経済全般が上向くことが予想されます。

 逆に、想定為替レートよりも実勢レートが円高に動けば利益は下振れし、企業活動は慎重になり、経済全般の動きが鈍くなることが予想されるのです。

 企業活動が活況となるか、あるいは鈍くなるかは、財政政策や金融政策に影響を与えることになります。

 従って、想定為替レートを把握しておくことは、景気の方向や財政、金融政策の動向を予想する上での参考情報として役に立つということになります。

 

想定為替レートが企業行動を左右

 さらに、想定為替レートに注目するもう一つの理由は、輸出企業の為替ヘッジ行動の目安になることです。為替ヘッジとは、円換算時の外貨資産が為替変動によって変わることを回避する方法です。

 過去最高益を更新した2018年3月期決算時のドル/円為替相場は、平均で約111円です。ほぼ現在の為替水準です。

 ところが、今期2019年3月期の企業の想定為替レートの平均は106円強(※)。企業は円高をかなり警戒していることがわかります。貿易摩擦のリスクや朝鮮半島の地政学リスクは後退しているにもかかわらず、リスクゼロが続くとは想定していないのかもしれません。

※新聞報道によると、5月9日までに決算発表を終えた3月期決算の企業で、想定為替レートを開示した188社のうち、105円が99社(53%)と最も多く、110円想定の企業は44社(23%)。一方で、100円想定の企業も10社(5%)あり、全体の平均は106円強。

 しかし、現状の111円前後の水準が続く場合、想定為替レートよりも5円の円安となるため、今期の企業利益は再び最高益更新となるかもしれません。

 さらに114円や115円まで円安になれば、もっと利益が嵩上げされることになります。しかし、企業の為替ヘッジ行動は概して堅めの行動となりがちです。

 114~115円の円安を待つよりも、現状の為替水準で前期よりも増益となるのであれば、為替ヘッジ(ドル売り予約)を増やすことが想定されます。

 つまり、111円前後の水準からは自動車や電機などの主要輸出企業のドル売りが増えてくることが予想され、これは円安の動きの抑制要因となります。

 また、想定為替レートが106円強ということは、再び105円方向の円高が進行した場合、輸出企業は今期の利益を確保するために、106円割れを黙って見過ごすことはなさそうだと想定されます。

 以前105円割れで反発したからといって、今回も反発するだろうと安心して見ていられない心境なのでしょう。

 

ドル独歩高の行方は?

 先週のドル/円は110円を上抜け、米朝首脳会談開催を見送る可能性という北朝鮮の脅しにもかかわらず110円台をキープ。米中貿易摩擦が後退したことや米長期金利が3%台を維持したことから、111円台に上昇しました。

 ドルだけが買われる「ドル独歩高」を引き起こした要因は、まだ続くのでしょうか。

 貿易摩擦や朝鮮半島の地政学リスクなどの政治リスク後退もかなり相場に織り込まれてきました。

 また、米国のインフレ懸念や財政赤字拡大懸念によって長期金利が3%台に上昇しましたが、米長期金利の先物ポジションもここ数年の最大ポジションに積み上がっていることから、金利上昇余地も限定的との見方も出てきています。

こういった政治リスク後退も織り込まれ、米長期金利の上昇余地も限定的となると、ドル/円の上昇余地も限定的ではないか、というシナリオも想定されます。

 このときに目安となるのが、やはり想定為替レートです。企業が堅めの行動に出れば、111円以上ではドル売りが強まることが予想され、円安を抑える要因となるかもしれません。

 さらに、こういった見方もあります。

 昨年2017年の月中平均レートの12カ月平均は112.19円。つまり、マーケット参加者が昨年に積み上げたポジションの平均コストが112円強という捉え方ができます。コストが112円強であれば、この水準からはドル売り圧力が高まるかもしれません。

 ちょうど今年初めの円高が112円割れのスタートと同じような水準になります。112円を割れてからは一度も112円に戻していないことを考えると、112円も強いレジスタンス・ポイントになりそうです。

 110円超えを後押しした要因の一つである米金利要因が、短期金利であるFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースの前倒しの思惑よりも米長期金利の3%超えという要因の方が強い場合、米長期金利の上昇が鈍れば、ドル/円のこれらの目安ポイントが利いてくるかもしれません。

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