今月からコラムを書かせていただく天海源一郎(てんかい げんいちろう)です。よろしくお願いします。

 わたしたち投資家は、できるだけ安く買いできるだけ高く売りたいと思い、日々、個別銘柄の動きを見て「この銘柄はどうか?投資に値するか?」と考えますが……その前に認識しておきたいことがあります。

 

マーケットを予想しない。今の反応を見よう

 それは「今のマーケットが何に反応しているか?」ということです。年初来、全体相場は波乱の展開となりました。日経平均は2017年12月29日大納会終値2万2,764円94銭でしたが、明けて1月4日大発会に2万3,506円33銭(741円39銭高)となり、その後1月23日のザラ場高値2万4,129円34銭まで駆け上がりました。

 そこから、2月14日ザラ場安値2万950円15円、3月5日ザラ場安値2万937円26銭まで売られる過程で何があったかは必ず頭に入れておきたいです。

 1月9日に「日銀買いオペ減額騒動」がありました。日銀が異次元金融緩和の出口戦略を意識しているのではと懸念されました。ほどなく、外国人投資家が週間ベースで売り越しに転じました。リーマンショック以降、外国人投資家は1~3月に買い越すことが多く、今年も期待があった分、失望を呼ぶことになりました。

 その後、米金利高+米株安+円高が売りを加速させることになりました。昨年末に成立したトランプ減税による米財政悪化懸念、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長による「タカ派発言」がそれを増幅させる格好となりました。

 加えて、国内政治では「森友問題」が財務省による文書改ざんによって蒸し返されています。安倍政権を揺るがす事態との声もあります。このように並べていくとかなり大きな出来事が短期間に起きたことがわかります。

 これらはすでに相場に織り込まれたのか?それともまだ途上なのか?まずはそれをイメージしなければならないでしょう。

「これからさらに大きな問題が出てくる」……この手の“予想”ではなく、これまでのことを相場が織り込んでいるのか否かをまず考えるべきでしょう。織り込んでいるのであれば、日経平均は高値からは下の位置にあるものの横ばいの動きをすることが大概です。

 

臆病な投資家は、悪材料に強い株から手を付ける?

 そして同様のネガティブ材料が出てきたとしても限定的な反応となります。足元の時間帯は、投資のタイミングを測る重要なときにあると言えそうです。

 急落からの出直りの際(劇的なポジティブ材料がない場合)、大きく売られた銘柄よりも、比較的底堅い動きをした銘柄に資金が集まる傾向があると考えています。投資家が臆病になっているからであり、一時期の総悲観から抜け出した時に見られる現象です。

 つまり、「下げに強かった銘柄はリバウンドでも強い」ということ。このような視点から選んだ今月の「10万円株」は以下の5銘柄です。

 

下げに強い!反発力に期待の10万円株

株価データは2018年3月5日終値ベース。

 

アスラポート・ダイニング(JASDAQ・3069)

 焼肉の「牛角」や釜飯と串焼きの「とりでん」など多彩な飲食業態を全国展開している外食持株会社です。「小僧寿し」の筆頭株主でもあります。足元、多角化が評価されている銘柄です。

・アスラポート・ダイニングの日足チャート

 

 

レンゴー(東証1部・3941)

 板紙・段ボール最大手。2016年に重量物用段ボール世界最大手のトライウォールHDを買収、アジア・欧米での事業拡大が評価されました。ネット通販の隆盛で、宅配便など小口輸送市場急拡大の恩恵を受け続けています。

・レンゴーの日足チャート