注目ポイントを5円幅で考える

 今後、注目しておくポイントとしては、このまま107.32円を抜け切らず、上値の重たい展開が続くか、再び108円を目指すかどうかです。上値が重たく円高が進行した場合は、今回の安値105.55円に再び顔を合わせるかどうかに注目です。そして、もし、下にブレイクすれば、第3波の可能性があり、5円幅で考えると103円近辺ということになりそうです。戻り高値107.90円から5円の円高水準ということになります。

 逆に、再び107.32円を上方に上抜けた場合は、やはり108円近辺が再び注目ポイントとなりそうです。再び、売り圧力で押し戻されるのか、あるいは、上方にブレイクして、全値戻しの110円台半ばまで上昇するのかどうかに注目です。110円台半ばの前に、第1波の円高の着地点となった108円台半ばも注目されそうです。

 FRBの利上げは正当化されており(現在の経済状況で利上げすることが政策的に正しいという意)、段階的に利上げすると27日、パウエル新議長も議会で証言しました。そして、今回の株式市場の乱高下が、政策には影響しないことも示しました。

 それでもマーケットは懐疑的に動くものです。利上げペースが早まるのか、物価動向をにらみながら慎重になるのかが今後も金融・為替・株式市場の最重要注目事項になるのは間違いありません。そのペースによって、株の反発度合いの強弱や為替市場ではドルの強弱が起こりますが、そのときでも、一本調子に円高や円安が起こるということはありません。

 だからこそ、売買が活発になることによって、値動きが加速したり、抑制されたりするテクニカルポイントを常に頭の中に入れておき、相場を予測することが大切です。

 

企業の想定為替レートにも注目

 さらにドル/円の場合、テクニカルポイントとなる為替水準だけでなく、もう1つ留意しておく為替水準があります。それは、企業の想定為替レートです。

 たとえば、2017年12月に公表された日銀短観の2017年度下期想定為替レートは109.66円となっています。現在のドル/円レートと比べると3円近く円高であるため、このまま同じ水準が続けば、輸出企業の決算が下方修正される可能性があります。したがって、3月末に向けて決算を意識した実需の売りが強まることが予想されます。その目安として109.66円を頭に入れておく必要があるのです。

 つまり、109.66円近辺ではドル売りが強まることも予想され、もし、企業がその水準に戻らないと見切った場合は、109.66円以下でも実需の売りが出てくることが予想されます。

 このように、107.32円を挟んで、円安方向では107.90円、108円台半ば、109.66円、110円台半ばのポイントを注目し、円高方向では、105.55円、103円近辺、100円を注目ポイントとして相場シナリオを考えておく必要があります。