野村グローバル・ロング・ショート
当ファンドは、世界主要国の株価指数先物、債券先物、為替予約取引を主な投資対象とし、割安な資産を買い建て、割高な資産を売り建てを組み合わせながら、日本円の短期金利水準を上回る収益の獲得を目指すファンドだ。
運用の狙いは、「平均回帰」という考え方に基づいている。各投資対象の市場価格(時価)は日々上下に変動するが、長期的には妥当な価格に収れんしていくという考えから、妥当な価格より上振れした(割高な)資産を売り建て、妥当な価格より下振れした(割安な)資産を買い建てることで、その後の時価が長期的に妥当な価格に戻る過程で収益を獲得することを目指している。簡単にいえば、「逆張り運用」のファンドだ。
設定来の運用実績では堅調に推移しているものの、過去1年間の成績は伸び悩んでいる。これは当該期間において、世界的な金融緩和を背景に株式市場、債券市場とも一方的に上昇し、市場の価格変動リスク(上下の振れ)が抑えられたことで、当ファンドの狙い通りのリターンが取れなかったことに一因があると思われる。また、一部の通貨が人為的な政策に左右されたことで比較的大きな損失を被ったことも大きな要因となったようだ。
野村 グローバル・ロング・ショートのトータルリターンの推移
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))
①過去1年 リターン (年率) |
②過去3年 リターン (年率) |
③過去1年 標準偏差 (年率) |
④過去3年 標準偏差 (年率) |
過去1年 投資効率 (①÷③) |
過去3年 投資効率 (②÷④) |
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野村 グローバル・ロング・ショート | -2.88% | 2.79% | 4.96% | 6.48% | -0.58 | 0.43 |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2015年1月末基準))
上述のように過去1年の成績で苦戦してきたのは否めない。しかしながら、当ファンドは狙い通りの運用が概ねできている、と筆者は考えている。たとえば、2013年5月のバーナンキショックの局面では、大半のリスク資産が大きく下落する一方で、当ファンドはプラスのリターンを獲得している。当運用の特徴は、ある資産が一方向に値上がり(または値下がり)していたものが反転するような局面、つまり価格変動リスクが急上昇するような局面で比較的大きなリターンを獲得することにある。言い換えれば、他のリスク資産が窮地に陥ったときに、それをカバーしてくれる役割を担うファンドといえる。
下表は当ファンドと各投資対象(インデックスファンド)の相関係数を示したものだ。相関係数とは、2つの資産間の値動きの関係性を示したもので、その数値が「1」であれば2つの資産の値動きは全く同じ動き、「-1」であれば全く逆の動き、「0(ゼロ)」であれば2つの資産の値動きは無関係にあることを意味している。
下表を見るかぎり、当ファンドの各資産クラスとの相関係数(黄色の網掛け部分)は、いずれの資産とも「0(ゼロ)」に近い数値となっている。要するに、どの資産とも全く異なる動きをしてきたということだ。言い換えれば、非常に分散効果の高いファンドといえる。こういった値動きのファンドは国内の投資信託を探してもそう見つけられるものではない。
こうしたファンドをポートフォリオの一部に組み入れることで、より安定した運用成果が期待できるといえるだろう。分散投資の一本として、検討の余地が大いにあるファンドといえる。
当ファンドの詳しい内容については、「ファンドマネジャーインタビュー」を参照してほしい。
表:当ファンド(野村グローバル・ロング・ショート)と各資産の相関係数
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2015年1月末基準))
※相関係数は、当ファンドと各資産クラスを投資対象とするインデックスファンドの月次リターンをもとに算出。(算出期間2011年12月~2014年12月)
各資産クラスを投資対象とするインデックスファンドは以下の通り。
- 当ファンド:野村グローバル・ロング・ショート
- 国内株式:野村 インデックスファンド・TOPIX
- 先進国株式:野村 インデックスファンド・外国株式
- 新興国株式:野村 インデックスファンド・新興国株式
- 国内債券:野村 インデックスファンド・国内債券
- 先進国債券:野村 インデックスファンド・外国債券
- 新興国債券:野村 インデックスファンド・新興国債券
- 国内REIT:野村 インデックスファンド・J-REIT
- 先進国REIT:野村 インデックスファンド・外国REIT
以上のように、「ネット証券専用ファンドシリーズ」第二弾の3ファンドはそれぞれの特徴をいかした運用が行われている。3ファンドはいずれも国内の投資信託のなかでも他に類を見ない運用のファンドといえる。そして、主要ファンドと異なる値動きが期待できるのがメリットだ。 「ネット証券専用ファンドシリーズ」はネット証券ユーザーだけに開放されたノーロード(販売手数料無料)のファンドだ。是非この機会に、分散投資の一本として活用してみてはいかがだろうか。