前日(1月10日)の市場概況

ドル/円:大幅下落。111円台前半へ

 日銀が長期国債買い入れを減額したことや、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーのインフレ見通しに対する慎重な発言によって、日米金利差が縮小するとの思惑が強まり112円台に沈んだドル/円。この日の東京時間は反発があったものの、戻りは112.78円までと限定的でした。

 欧州時間からは再び売りが強まり112円を下抜けると、中国が米国債の購入を一時見合わせるとの噂がさらに売りを呼んで、11月28日以来の安値となる111.26円まで下落しました。終値は111.435円(前日比▲1.203円)。(チャート1)

 次の大きなサポートは11月27日の110.84円、その下は、2017年の安値107.31円となります。ただ、噂先行で動いているマーケットなので、日銀や中国から否定のコメントが出た場合には一気に戻すリスクもあります。

 
 

ユーロ/ドル:一時1.20ドル台に反発

 9日に1.1915ドルまで下げたユーロ/ドルは、中国の米国債の購入中止のニュースで1.2017ドルまで急反発。しかし、1.20ドルには留まることができず、再び1.19ドル半ばに戻されています。(チャート2)

 

 

クロス円:連れ安

 クロス円もドル/円の影響を受けて大幅下落。ユーロ/円はさらに下げ幅を広げて、12月19日以来の133.07円まで値を下げました。(チャート3)

 

 

カナダ/円:米国との関係悪化を懸念

 年初に91.56円まで上昇したカナダ/円は、この日88.48円まで下落。カナダ政府が、米国の制裁関税を不服としてWTO(世界貿易機関)に提訴する一方で、トランプ大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)からの離脱を検討するなど、両国の通商関係悪化を嫌ったカナダドルの売りがでました。(チャート4)ただ、ホワイトハウスからNAFTA脱退について否定コメントが出たことで、その後はやや戻しています。