図表2:注目される2018年の主なリスクイベント(日程)

注:◎や〇は市場の注目度を示します(定性的評価にもとづく参考情報です)
出所:各種情報や報道にもとづき楽天証券経済研究所作成

 特に(1)については、米FRBによる追加利上げの頻度、期待インフレの上昇に応じた長期金利の上昇ペースに注目。「適温相場」(低インフレ・低金利下の景気拡大)に慣れた市場の反応には要警戒です。国内では、「デフレ脱却」が進む過程で「日銀が出口戦略を早める」との懸念が広まると、「金融緩和の縮小」を警戒して株価が乱高下する可能性があります。

(2)は、ロシアゲート疑惑で揺れるホワイトハウスと、12月にアラバマ州上院補選をセクハラ疑惑で落とした共和党が、中間選挙(11月6日)に向けた「民主党の攻勢」に押される可能性があります。共和党優位の上下両院議会が「民主党優位」に転じれば、トランプ政権がレイムダック化(政治的な停滞)に追い込まれ、株式やドルの悪材料となる可能性があります。一方、3月4日に予定されているイタリア総選挙で、反EU(欧州連合)を唱える極右政党が勢力を伸ばせば、欧州株式や通貨ユーロに圧力がかかる可能性があります。

(3)は、2月に開催される韓国冬季五輪(平昌)と3月のロシア大統領選挙の終了後に米韓軍事演習が計画されており、米朝間で緊張が高まっていくとの観測があり要警戒です。なお、中国が構造改革を進めるなか、景気が想定以上に鈍化する場面があれば悪材料となりそうです。


「ブラックスワンの登場は買い場だった」との市場実績

 金融市場では、想定外のリスク事象を「ブラックスワン(まさかの「黒い白鳥」)」と称することがあります。米オプション市場で算出されるSKEW指数は、通称「ブラックスワン指数」と呼ばれ注目されています。

 リスクがいったん潜在化すると、ブラックスワン指数が上昇。ファンダメンタルズへの影響をあらかた認識できるまで株価が下落したことがありました。ただ、「株価は業績動向を映していく」とみなされ、一時的な株価下落は「押し目」に留まったことも多々ありました。実際、世界の景況感が底入れした2016年央以降の株価波乱(BREXIT・英国EU離脱決定)、米大統領選挙、フランス大統領選挙、朝鮮半島の緊張)を振り返ると、「ブラックスワンが買い場を提供してくれた」とも言えるような市場実績がわかります(図表3)。

 上掲した潜在的リスク要因に油断は禁物ですが、2018年の日本株式も変動を挟みつつ最終的にはファンダメンタルズ動向を映す堅調な相場展開で推移すると見込んでいます。

図表3:日米株価と「ブラックスワン指数」の推移

(注)ブラックスワン指数=SKEW Index(オプション市場(CBOE)での「株価大幅下落確率÷株価大幅上昇確率」) 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年1月4日)


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