3)本音対談 ayaさん(30代)×山崎元
「天職を掴むには、どっちに進むとよいですか?」
続いては、ユーザー代表の30代女性と山崎元先生のスペシャル対談。働く女性が一度は悩む、自分にぴったりなお仕事「天職」について。採用側での人事の視点や、ご自身の転職経験も豊富な山崎元先生が、ズバリ回答くださいました。
キャリアもそうですが、結婚・出産も含め、人生を全体的にスピードアップしたほうが◎
ayaさん:電機メーカーに入社して16年、海外営業の仕事をメインにしてきました。自分のキャリアで、ウリのポイントや強みがどこにあるのかわからず、今の仕事が天職なのかどうか、不安に思っています。今後のキャリアも含め、天職の見つけ方のアドバイスをお願いします。
山崎元先生:まずはじめに、人材紹介の会社などへ行って、キャリアの棚卸しをしてもらってはどうでしょう。海外営業をやってきて、海外とやり取りができるのは相当に強力なスキルセットです。まずは自分の強みがどこにあるのか、客観的な評価を知ることも天職を見つける大事なポイントです。
ayaさん:これまでの自分のスキルを客観的に査定していただくのって大事なんですね。
山崎元先生:加えて、転職マーケットの近くまで行って、どんな求人があるのか知っておくのも、今後のキャリアの方針を考える参考になると思います。今までの自分のキャリアに自信がなかったとしても、世間的には求められている人材だとわかるだけでも今後のキャリアの方向性を定められるのではないでしょうか。今、お勤めされている会社が、海外を担当できる人材として認めているわけですから、ayaさんの人材としての価値は相当あると思います。
ayaさん:ありがとうございます! 少し安心しました。一度も転職したことがないから、社外でも通用するのか、漠然と不安なのかもしれません。
山崎元先生:確かに転職しながらキャリアを磨いていくのも、ひとつの方法です。私の場合、1回目の転職では、今まで勤めてきた会社を辞めて大丈夫かと、結構、悩みました。実際に移ってみると、前の会社よりいいこともあるし、悪いこともありましたが、転職してもなんとかなる、という自信がつきました。たとえば、外資系の会社で転職者を採用する側になると、初回の転職の人と、2回目以降の転職の人では、採用する側の気の遣い方が全然違います。転職するのが初めての人に対しては、「本当に転職する気持ちがあるのかどうか」という確認を慎重に行う必要があります。
ayaさん:採用側の視点はそうなのですね。すごく勉強になります。あとは、退職金についてですが、自己都合退職と、会社都合退職とでは3倍も違うようなので、キャリアのために転職すること自体も迷いがあります。
山崎元先生:私は12回転職したことがあります。9回目は山一証券でしたが、倒産するまで「まだ大丈夫だろう」と気づきませんでした。なぜ山一の話をしたのかというと、仮に、御社で大規模なリストラや、倒産があった場合、自分と似たような人材が世の中に一気に出るからです。動くなら、早めに動いたほうが絶対に有利です。人材紹介会社の担当者と話をしてみて、自分のキャリアなら、どんな企業をすすめてもらえるのか、給料はいくらなのか、いろいろと情報を聞くことができます。もちろん、紹介してもらった企業の中で興味のある会社があれば、実際に面接に行ってみるのもいいことでしょう。
ayaさん:今の会社には海外現地法人があり、近々、海外駐在の可能性もあるのですが、結婚・出産を考えると正直、悩んでいます。でも、駐在は、3年前にチャンスがあったときに別の人に譲って、すごく後悔したので、次回はそのチャンスをつかもうと思っています。
山崎元先生:ayaさんのように海外での仕事が自分の人材価値を高めるのであれば、それは会社にとってもいいことです。ayaさんの場合は、キャリアもそうですが、結婚・出産も含め、人生を全体的にスピードアップしたほうがいいと思います。駐在へ行って帰ってくると、確かにキャリアはつきますが、将来、もし転職を考えた場合、部下として使いにくい人材になってしまう可能性が出てきます。年齢が上がっていくと、逆に転職マーケットが狭まってくるケースが少なくありません。
ayaさん:確かに、年齢に関しては私もそう思いました。結婚・出産のタイミングはわからないので、駐在先で結婚して子育てするのも許されるのかな、と。
山崎元先生:駐在員が子どもを産めないなんて、会社として問題です。逆に海外で子育てしながら、駐在している女性社員がいる会社は、大変いいイメージを持たれることになるのではないでしょうか。
ayaさん:欲張りだから、キャリアも、結婚・出産も全部つかみ取りたい気持ちがあります。もっと外の世界を見て、自分の価値を知るアプローチをしていきたいですね。
山崎元先生:人材会社に行かないまでも、同業他社や会社の外の人間関係をたどって、自分と似たようなスペックの人たちが、どのようなキャリアを持っているのか、いろいろな人の話を聞いてみることも突破口になるかもしれません。
ayaさん:まずは外部の人たちにもいろいろ話を聞いてみようと思います。本日は貴重なアドバイス、ありがとうございました!
今回の読者モデル
相談者:ayaさん
(30代/電機メーカー/独身)
社会人歴16年。
「入社以来ずっと同じ会社で勤めているので、自分の価値がわかりませんでした。山崎先生におすすめいただいたように、人材会社などで自分のキャリアがどう評価されるか、相談してみようと思いました」。
今回答えてくれたのは?
指南役:山崎 元
(楽天証券経済研究所客員研究員)
お金の運用術や転職、自己啓発など幅広い分野で連載多数。結婚や子育て、将来の資産形成で悩みの多い女性たちへの的確なアドバイスが好評!
もっと知りたい!女性のマネー本音特集(4回連載)
♯1:2017/11/24UP 恋愛・結婚編
対談テーマ「幸せになるためには男性のどこをみればいいですか?」
♯2:2017/12/1UP キャリア編
対談テーマ「天職を得るためのキャリアプランとは?」
♯3:2017/12/8UP 資産運用編
対談テーマ「持ち家VS賃貸 資産とのバランスは?」
♯4:2017/12/25UP 老後資金編
対談テーマ「子育てと夫婦のお金。人生100年で考えると?」
◎教えて!山崎元先生 ~ 女性のマネー本音特集とは?
なかなか話しにくいお金のこと。でも生きて行く上でとても大事なものです。イマドキの女性はマネーについてどう向き合っているのか? 投資に限らず「恋愛・結婚」「キャリア」「資産運用」「老後資金」と女性のライフステージ別に山崎 元氏にホンネでずばり!解説していただきました。遠まわしにしていたお金のことを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょう?
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