シャープ・レシオ

 シャープ・レシオとは、ファンドの代表的なパフォーマンス評価尺度の一つであり、リスクを調整してパフォーマンスを測る考え方です。具体的には、ファンドの騰落率からリスクフリーレート(コール・レートなど短期金融市場の金利)を差し引いて「リスクフリーレートに対する超過収益率」を求め、これを運用期間中のリスクで割った「比」として求めます。

(例)
1年間のリスクフリーレート : 1%
1年間のファンドAの騰落率 : 10%
1年間のファンドAの騰落率の標準偏差 : 10%
1年間のファンドBの騰落率 : 8%
1年間のファンドBの騰落率の標準偏差 : 5%

シャープ・レシオ
ファンドA : (10%-1%)÷10%=0.9
ファンドB : (8%-1%)÷5%=1.4

 ファンドAの方が1年間の騰落率は高いですが、リスクを考慮したシャープ・レシオで見ると、ファンドBのほうが優れていたといえます。

 

インフォメーション・レシオ

 インフォメーション・レシオも、シャープ・レシオと同様に、ファンドの代表的なパフォーマンス評価尺度です。具体的には、ファンドのベンチマークに対する超過収益率を、運用期間中の騰落率の標準偏差で測ったリスク(アクティブ・リスクといいます)で割った「比」として求めます。

(例)
1年間のベンチマークの騰落率 : 5%
1年間のファンドAの騰落率 : 10%
1年間のファンドAの騰落率の標準偏差 : 10%
1年間のファンドBの騰落率 : 8%
1年間のファンドBの騰落率の標準偏差 : 5%
※ファンドAとファンドBのベンチマークは同じであるとします。

インフォメーション・レシオ
ファンドA : (10%-5%)÷10%=0.5
ファンドB : (8%-5%)÷5%=0.6

 ファンドAの方が1年間の騰落率は高いですが、リスクを考慮したインフォメーション・レシオで見ると、ファンドBのほうが優れていたといえます。

 

パフォーマンス評価を利用する場合の留意点

 このように過去のデータを使った評価の仕方を定量評価といいます。定量評価は、実際の過去のパフォーマンスに基づいており、評価者の主観が入りにくいという意味では客観性が高い方法といえます。投資信託の評価会社が発表するファンド評価(「レーティング」とか「格付」とも呼ばれます)は、大半が定量評価に基づいて行われています。
ただし、過去のパフォーマンスが良かったからといって、将来のパフォーマンスが優れているとは必ずしも言えません。ファンド評価は、あくまでも過去の結果に過ぎず、将来を約束するものではないのです。ファンド選びにあたって、ファンド評価を過信しないよう注意してください。