2022年はESG投資に強烈な逆風

 2022年に入り、ESG投資が不振です。ESG投資で「買ってはならない」とされる化石燃料の関連株が空前の利益をあげ、株価が大きく上昇しているからです。日本株でいうとINPEX(1605)三菱商事(8058)三井物産(8031)などの銘柄群です。化石燃料関連株は、2021年までPER(株価収益率)などの株価指標で見てきわめて低く評価される「割安株」でした。ESG投資の考えが広がるにつれ、年金基金などで組み入れから外す動きが広がったため、株価指標で割安に据え置かれていました。

 2022年は利益も株価も大きく上昇していますが、それでもなお、株価指標で見て「割安株」であることに変わりありません。

資源関連株の配当利回り・PER・PBR:2022年6月21日時点

ード 銘柄名 種別 株価
:円
配当
利回り
PER
:倍
PBR
:倍
1株
当たり
配当金
:円
1605 INPEX 資源関連 1,547.0 3.5% 7.1 0.68 54.0
8058 三菱商事 資源関連 4,321.0 3.5% 7.4 0.92 150.0
8031 三井物産 資源関連 3,101.0 3.9% 6.2 0.88 120.0
8002 丸紅 資源関連 1,267.0 4.7% 5.5 0.96 60.0
5020 ENEOS HD 資源関連 525.8 4.2% 9.9 0.58 22.0
出所:配当利回りは、1株当たり配当金(今期会社予想)を6月21日株価で割って算出。楽天証券経済研究所が作成

資源関連株と日経平均の動き比較:2021年末~2022年6月21日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成。2021年末を100として指数化

 一方、テスラなどESGファンドがどんどん買い上がってきたEV関連株は、株価が大きく下がりました。成長期待から、PERなどの株価指標でみて割高に評価されていた銘柄が多かったので、ひとたび売られ始めると下げが大きくなりました。ESGファンドは往復びんたを食らった形です。

 同様にESG投資で投資できないことが多い武器関連株も、今年は株価上昇が目立ちます。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界的に武器の需要が増加している影響が出ています。