今週のFOMCで相場シナリオは変わるのか?

 こうした状況下で迎える今回のFOMCですが、焦点としては、こちらのレポートでも触れたように、以下の3つが挙げられます。

  1. 利下げ幅が0.25%か、それとも0.5%なのか
  2. 仮に今回が0.25%の利下げだった場合、次回以降の利下げ姿勢はどうなのか
  3. その根拠となるFRBの景気認識はどんな感じなのか

 これまで見てきたように、米国株市場はすでに0.5%の利下げ幅拡大を一部で織り込んでいる面があるため、仮に、FOMCでの利下げ幅が0.25%だった場合には、期待を先取りしただけに株価が下落する初期反応を見せるかもしれません。

 とはいえ、個人的な見解ではありますが、先ほどのWSJの記事は、米FRBが「今後の利下げ幅の選択肢を持っておきたい」という趣旨で記者に観測記事を書かせたものであって、必ずしも9月の0.5%の利下げを織り込ませるためのものではないと思われます。

 いずれにしても、今回のFOMCの結果やその後のパウエルFRB議長の記者会見等で、今後の利下げペースに対する考え方が何らかの形で示されることになるため、今回の利下げ幅が0.25%で、株式市場の初期反応が下落であっても、割と早いタイミングで持ち直すと考えられます。

 それと同時に、今後の利下げペースについてFRBの見解が示されるということは、それだけ米国の景気に対して警戒感がくすぶっていることの表れでもあります。

 また、先ほどは米NYダウやS&P500が最高値をうかがいつつあることをチャートで確認しましたが、安全資産とされる金の価格も最高値を更新する動きを見せています。

図5 金先物(COMEX・期近)日足とMACD (2024年9月13日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 上の図5は、金先物(COMEX・期近)の日足チャートです。こちらはこれまで見てきた米国株のチャートと比べても、より強い上昇トレンドを描いていることが分かります。

 そのため、今回のFOMCをどのような形で通過しても、相場のシナリオを変更するほどの動きは出ず、結局は経済指標や企業業績などのデータをにらみながら株価水準の落ち着きどころを探っていく状況になる確率は高そうです。

日本株は為替の重石を跳ね返す材料が欲しい

 また、FOMCの利下げ幅拡大観測は、株価や金価格だけでなく、為替市場にも表れています。

図6 米ドル/円(日足)とMACD (2024年9月13日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 上の図6を見ても分かるように、足元では円高/ドル安の基調が強まっていることが確認できます。

 その水準は、8月5日の株価急落時を超え、日本が祝日で休場日であった今週16日(月)には、1ドル=139円台まで円高が進行する場面も見られています。

 チャート上でも、円高傾向の底打ち感を示す目立ったサインもなく、1ドル=140円近辺の水準は、国内輸出関連企業の多くで想定為替レートとなっているため、米FOMCの結果を受けて円高が進行してしまった場合には、日本株にとって重石となることが見込まれます。

 もちろん、国内株式市場には円高がメリットとなる企業や、円高に耐性のある輸出企業なども存在するため、相場をある程度支える役割を担うと思われますが、やはり、市場全体として日本株が上昇していくには、まずは「ここから先の円高はなさそう」という為替水準を確認したいところですし、円高を跳ね返す日本株の買い材料が欲しい状況です。

 とはいえ、足元の相場は、「景況感で揺れ動く米国株と、その米国次第で揺れ動く日本株」という構図になっているため、こうした構図を変えるには、現在行われている自民党総裁選や立憲民主党の代表選、その先を見据えた衆議院解散など、政治面がプラスに働くことなどに期待したいところです。

図7 日経平均(日足)とMACD (2024年9月13日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 したがって、日本株(日経平均)に対する見方も前回のレポートとあまり変わっていません。

 上の図7が示す通り、3万6,000円台をベースに、取引に厚みがない(ローソク足の本数が少ない)上下2,000円の値幅内での推移が基本シナリオとなります。仮に上昇した場合でも、3万8,000円台から4万円台にかけては、ローソク足の本数が多い取引に厚みがある価格帯になるため、上値が重たくなることが想定されます。

 ここからしばらくの日本株は、移動平均線(25日や200日、75日)を意識しつつ、しっかり値固めをして、次の展開へつなげて行くことが重要な「ガマン」の局面なのかもしれません。