今週の日経平均は企業業績の発表を手掛かりに上昇基調を辿り、「三角保ち合い」を上抜ける格好での推移となりました。以前から度々紹介してきました、1月23日~24日にかけて空けた「窓」を埋めにかかり、ようやく、7月末の31日に窓埋めが完了しています(図1)。

(図1)日経平均のチャート(日足) その1

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ただし、その31日の動きをもう少し詳しく見て見ると、始値が15,732円で終値が15,620円の陰線でした。つまり、前日(30日)の終値15,646円から上方向に値を飛ばしてスタートしたものの、上げ幅が縮小し、前日終値比でもマイナスに転じて取引が終了したわけです。結果的に窓埋めは完了しましたが、下から上に突き抜ける格好ではないため、買いの力強さに欠ける印象です(図2)。

(図2)日経平均のチャート(日足) その2

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

そのため、窓埋め完了後も買いが続くかどうかはもう少し様子を見たいというのが正直なところです。通常であれば、翌8月1日のローソク足の形との組み合わせがカギを握るわけですが、米国雇用統計の発表前というタイミングでもあり、何かしらの判断は来週まで持ち越しとなる可能性が残ります。

(図3)日経平均の一目均衡表とチャネルライン

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

来週以降、買いの上昇トレンドが続くかを見ていく上で参考になりそうなのが「チャネルライン」です。チャネルラインとは、トレンドラインと平行な線を上方向もしくは下方向に引いたものです。上の図3では、先程の図1の三角保ち合いで下値が切り上がっているラインをトレンドラインとして、上方向にチャネルラインを引いています。こうすることで、ここ1ヶ月間はこれら2本の線の範囲内で推移していたことが何となく分かります。また、今後もこの傾向が維持できるかが注目されるわけですが、しばらくは日経平均と一目均衡表の転換線もしくは基準線との位置関係が目安となりそうです。

また、再び話の焦点を「窓」に戻してみます。窓空けは、何らかの強い材料やサプライズ等によって発生することが多く、窓を埋めるには相場の勢いや時間がかかるものとされています。そのため、窓埋めの達成は相場の節目になるという考え方です。

実は、短期トレードにおいても、窓埋めのタイミングを利用した売買手法がありますが、その中でも有名な「OOPS(ウップス)」というのをごく簡単に紹介します。というのも、7月31日の日経平均のティックチャートを見ると、このウップスが意識されていた可能性があります。

ウップスの売買手法は極めて単純で、「一日の取引スタートが窓を空けて上昇した時は、前日の高値を下抜けたら売り」、「同じく窓を空けて下落した時は、前日の安値を上抜けたら買い」というものです。

(図4)日経平均のティックチャートとウップス

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

7月31日の日経平均の始値(15,732円)は、前日の高値(15,666円)から窓を空けての上昇でした。その後、上値の重たさが確認されると、ウップスが意識されたためか、徐々に前日高値に近づく格好で上昇幅を縮小させていき、引け間際に前日高値を下抜けたところでウップスの条件が揃い、下げ足を速める格好となっています。