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マイナス金利時代の資産運用について真剣に考える(その2)実践編
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

マイナス金利時代の資産運用について真剣に考える(その2)実践編

2016/4/7
前回はマイナス金利導入後、マーケットがどのように変化したかをお話ししました。今回は「実践編」として、マイナス金利時代に私たち個人投資家が具体的にどのような点に気をつけて資産運用を行うべきか、筆者なりの考え方をお話ししたいと思います。
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前回はマイナス金利導入後、マーケットがどのように変化したかをお話ししました。

今回は「実践編」として、マイナス金利時代に私たち個人投資家が具体的にどのような点に気をつけて資産運用を行うべきか、筆者なりの考え方をお話ししたいと思います。

成長株投資・割安株投資には今のところ影響は見られない

個別株への株式投資の手法は「成長株(グロース株)投資」と「割安株(バリュー株)投資」とに分類することができます。

成長株投資は、毎年売上・利益が増加していて、今後も増加が期待できるような銘柄への投資です。割安株投資は、PERやPBRなどの株価指標をもとに、企業実態より割安な株価で放置されている銘柄に投資し、適正水準まで株価が上昇するのを待つ手法です。

今のところ、マイナス金利導入後、これら成長株投資・割安株投資に何らかの変化が生じたとは感じられません。したがって、成長株・割安株の観点からの個別銘柄の選択および投資は、従来どおり行って問題ないと思います。筆者自身も、マイナス金利導入前後で特に投資手法を変化せずにいますが、これといった弊害はありません。

マイナス金利は高配当利回り株やREITには追い風のはず

マイナス金利になって国債の利回りが軒並み低下すると、資産を運用する側としては、必要な利回りが確保できず、運用先に困ってしまいます。そこで、多少のリスクは承知で、高い利回りを求めて債券以外の金融資産へ資金をシフトせざるを得ないと想定されます。

そのとき真っ先に思いつくのは、配当利回りの高い個別銘柄や不動産投資信託(REIT)です。配当金・分配金を債券の利息と同じようにとらえれば、インカムゲインを重視した資産運用先としては十分代替となります。

REITであれば、現状3%の利回りが仮に2%になるまで買われた場合、REIT価格は50%上昇する計算です。足元でもそれなりの利回りが確保でき、今後の展開によっては投資元本の値上がりも期待できるという点では、REITや高配当利回り株は面白い選択ではないかと思います。もちろん、やみくもに買って持ち続ければよいというわけではなく、下降トレンドの間は保有しないようにすべきです。

配当利回りに着目した株式投資の注意点等については、以前のコラム(基本・実践・応用)もご参考にしてください。

「信用リスク」はどこへ行ったのか?

債券のリスクを考えるとき、リスクフリーレート(通常は長期国債利回り)とのスプレッド(=利回りの差)がその債券固有のリスクとしてとらえられます。

例えば、A社が発行する社債の利回りが5%、長期国債の利回りが1%であれば、両者の差の4%がA社社債のリスクとなります。

ところが、長年の超低金利政策でただでさえスプレッドが小さくなっていたところに、マイナス金利導入により、さらにスプレッドが縮小しているようです。

上記の例でいえば、長期国債の利回りマイナス0.1%、A社社債の利回り1.5%となっていて、両者の差は1.6%に縮小しているのです。

4%だったスプレッドが1.6%に縮小したのは、A社の信用リスクが低下したからではありません。単に運用難によりA社社債が買われ過ぎているだけです。

つまり、超低金利政策により社債マーケットがバブル気味になっていたところ、マイナス金利導入でさらにバブルが加速しているというのが実態です。低格付けの社債(=ジャンク債)の利回りでさえ軒並み低下していますが、そのうちジャンク債発行企業の破たんが相次ぎ、債券市場がパニックになるのではないかと危惧しています。

マイナス金利時代に「4%」の利息がもらえる債券のからくり

マイナス金利時代で運用難に陥り、少しでも高い利回りを求める個人投資家に対し、金融機関も様々な金融商品を開発し、そのニーズにこたえようとしています。

しかし、10年国債利回りですらマイナスであるのに、4%の利息が受け取れる債券があったなら、それを手放しで喜ぶのではなく、「何か大きなリスクが隠れているのではないか」と感じなければいけません。

マイナス金利の今でも、高利回りをうたった仕組債が数多く販売されています。例えば、発行から4年間に日経平均株価が一度も40%以上下落しなかったら4%の利息が受け取れ、元本も100%が償還されるが、一度でも40%以上下落した場合、利率は0.1%となり、償還時の日経平均株価いかんで元本割れも生じてしまう、という仕組債があったとしましょう。

通常、この仕組債を買おうとする投資家は、こう考えるはずです。「4年間に日経平均株価が40%下落するとなると、今17,000円の日経平均株価が10,000円まで下がるということだ。さすがに10,000円まで下がることはないだろう」、と。しかし、「4年間で日経平均株価が40%下落する」のは、過去の経験則上、結構な確率で起こり得るのが事実です。正確なデータを持ち合わせてはいないのですが、少なくとも5%とか10%といった低い確率ではないことは確かです。実際、これまでに個人投資家が似たような仕組債を購入した結果、大幅に元本割れしてしまったケースは数多く生じているのです。

それでいて、これらの仕組債には日経平均株価が上昇したら早期償還されてしまうという条項がついているケースが大半です。株価の上昇という恩恵は受けられず、株価が下落したときのリスクは大きいという仕組債に投資するならば、日経平均株価のETFを買っておいた方が良いのではないか、と思ってしまうのが正直なところです。

長期分散投資で「世界の経済成長」に乗ることはできるのか?

今でもファイナンシャルプランナーを中心に根強い支持を集めるのが、「積立により国内外の株式・債券に分散投資し、長期的に保有する」というスタイルです。

この手法は、「どうせ売買のタイミングを適切にとらえることなど無理な話。それなら色々な金融資産に分散して投資しておき、長期保有すれば世界的な経済成長につれて価格も上昇し、自分の投資資金もそれなりに増える」という考え方が根底にあります。一言でいえば、この手法は「世界的な経済成長に乗る」ことを意味しているのです。

しかし、筆者が本コラムでも主張しているように、今の世の中は、経済のグローバル化、成熟化により潜在成長率が軒並み低下しています。つまり、インフレではなくデフレ気味に推移しているということです。

デフレ下では株式の値上がりは期待できないということは、バブル崩壊後の日本株の値動きを見れば明らかです。もし今後世界的な低成長が当たり前となれば、日本のみならず世界中で株価が下がり続ける、という恐れもあります。

それならば、個別銘柄の中から業績が伸び続けている優良株を見つけ、それに投資し、かつ株価のトレンドに従って売買を実行する方がはるかに高いパフォーマンスを上げることができると思います。

以上をまとめると、次のような結論となります。

  • キャピタルゲイン目的の投資はマイナス金利導入による影響は特段見られない
  • インカムゲイン目的の投資はバブル化に注意

これからは、少しでも高い利回りを求めて高リスクの債券に投資するよりも、好業績の個別株に投資した方が賢い選択となるのではないでしょうか。

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