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「春相場」はある?-為替反転がカタリストに
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

「春相場」はある?-為替反転がカタリストに

2017/2/17
先週来の国内市場では、ドル円の底入れ感と米国株の堅調をカタリスト(きっかけ)に、日経平均も戻りを試す動きとなりました。ただ、近日中に発表される米税制改革で保護貿易主義的な国境税(調整)が打ち出される不安(=日本企業には概して悪材料)もあり、上値も重くなっています。
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執筆:香川睦

今日のポイント

  • 日本株が底入れから「春相場」入りする可能性がある。過去20年の市場実績(平均)では、2月中旬頃に為替(ドル円)と株価が同時的に底入れする「季節性」がみられた。
  • ドル円に回復の兆し。トランプ大統領の大型減税発言、日米首脳会談終了、イエレンFRB議長による追加利上げ示唆で、日米金利差が再拡大する素地が整いつつある。
  • 日経平均の業績見通し回復に注目。予想EPSの上方修正で想定レンジも上方シフト。ただ、米国の保護貿易政策や欧州選挙など政治と政策を巡る不安が当面の重石に。

(1)日経平均の季節性では「春相場」入りも

先週来の国内市場では、ドル円の底入れ感と米国株の堅調をカタリスト(きっかけ)に、日経平均も戻りを試す動きとなりました。ただ、近日中に発表される米税制改革で保護貿易主義的な国境税(調整)が打ち出される不安(=日本企業には概して悪材料)もあり、上値も重くなっています。とは言うものの、長期市場実績にもとづくアノマリー(経験則)でみると、「日経平均は(年初の調整を経て)、2月中旬に底入れして春相場(Spring Rally)を形成した」との季節性がありました。図表1は、過去20年(1997年~2016年まで)の日経平均とドル円の年間パフォーマンスを平均して指数化(年初=100)したものです。確かに、「(年末株高の反動で)年初は株安→2月から4月ごろにかけ上昇(春相場)→5月から6月にかけ調整する」傾向がみてとれ、概してドル円の強弱が契機だったこともわかります。あくまで過去の市場実績(参考情報)で再現の保証はできませんが、市場参加者がこの「季節感」を頭に入れながら売買する可能性があることには留意したいと思います。

図表1:過去20年の日経平均とドル円の平均推移(年初=100)

(注:1997年から2016年までの日経平均とドル円の平均パフォーマンス(年初=100))
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成)

(2)為替相場は「日米金利差の再拡大」を待つ

昨年10月以降の日本株上昇を支えた円高是正(円安)では、ドル円は12月15日に118.18円(NY市場)まで上昇。その後は調整に転じ、2月6日の111.74円まで下落しました。図表2でみる通り、最近のドル円と日米金利差の相関は比較的高かったことがわかります。昨年末からは日米の長期金利差が縮小に転じ、ドル円の圧力となりました。ただ、先週9日にトランプ大統領が大型減税(法人税と個人所得税の改革)発表を示唆し、日米首脳会談(10日)でトランプ大統領が通商・為替問題に言及しなかった安堵感で、ドル円に底入れ感が出てきました。その後、イエレンFRB議長が14日の議会証言で、早期の追加利上げに含みを持たせる発言をしたことで米債利回りは上昇。日米金利差は再び拡大する兆しをみせています。イエレン議長の発言は、「2019年までに年数回の利上げを予想している」と述べた1月19日の発言を確認するもので、市場は「米景気堅調で、雇用が改善傾向にあるなか、トランプ政権が景気対策を発動すれば、インフレ期待が高まり、米金利は上昇傾向を辿る」との見方に傾きつつあります。(1)で述べたとおり、ドル高・円安は国内株の上昇を後押しするカタリスト(きっかけ)となりやすいことに注目したいと思います。

図表2:ドル円と日米債券金利差の推移

(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年2月16日))

(3)業績見通し上方修正と不透明要因の綱引き

一方、外部環境の改善を背景に、国内企業の2016年10-12月決算発表は概して事前の市場予想を上回っています。昨年見られた円高に一巡感が強いこと、米国を筆頭に世界の景況感が改善していること、資源市況が回復してきたことなどで、グローバル企業、資本財・素材企業、半導体関連などを中心に、業績見通しは改善傾向です。図表3は、日経平均ベースの「予想EPS(1株当り利益)」と日経平均の推移(週次)を示したものです。10-12月期決算の発表とガイダンス(企業による業績見通し)を受け、2月に入り予想EPSが上方修正されていることがわかります。最近の予想EPSは1,235円(週次/2月10日時点)で、昨年の同時期と比べて約1割増加しています。従って、予想PER(株価収益率)は約15.7倍と、昨年末時点の予想PER(16.2倍)よりやや低下しています。業績見通し改善も春相場入りを後押しする好材料となりそうです。なお、「株価=EPS×PER」との関係式が成り立ちます。日経平均ベースの予想PERが当面「14倍~17倍」で推移すると仮定すれば、日経平均の想定レンジとして「17,300円~21,000円」程度が視野に入ってきます。現在の予想EPS水準(1,235円)は、日経平均が2015年6月24日に20,868円(終値)をつけた当時の予想EPS(1,258円)に近づいています。当時の予想PERは約16.6倍(20,868円÷1,258円)でしたので、現在の予想PERより高い水準まで買われた経緯を示します。今後、業績見通しの上方修正が進めば、株価の上値余地も拡大していくことが期待できます。

図表3:日経平均と予想EPSの推移(週次)

(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年2月10日))

ただ、2015年6月を振り返ると、当時のドル円は120円超で推移していました。この点だけに絞ると、日経平均が2万円超に挑戦するには、ドル円が120円に向け円安が進む為替相場が望まれます。一方、予想PERの拡大には、リスクプレミアム(PERの重石となりやすい不透明感)の緩和も待たれるところです。換言すると、株価の上値を抑えるリスク回避要因が緩和すれば、株価が上値を追う(PERが拡大する)相場展開が視野に入ってきます。

今春の不透明要因には、欧米の政治動向や経済政策を巡る材料が多いのが特徴です(詳細は、先週の本レポート(2月10日号)「思わぬ波乱要因?欧州に潜む政治リスクを警戒」もご参照ください)。具体的には、(1)トランプ政権は、28日の所信表明演説やそれに続く予算教書で市場が期待する景気対策を明らにできるか、(2)入国制限令やNAFTA(北米自由貿易協定)見直しなど内向きで保護貿易的な政策を強行するのか、(3)欧州での選挙(3月15日のオランダ総選挙、4月23日のフランス大統領選挙)を無事乗り切れるのか、などに目配りする必要があります。こうした不確実性を消化できれば、米債金利(利回り)は緩やかに上昇し、ドル円が上値余地を広げる可能性があります。ドル円の上昇(円安)は、株式の予想EPSと想定PERを拡大させ、「春相場」入りの原動力となりそうです。

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