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思わぬ波乱要因?欧州に潜む政治リスクを警戒
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

思わぬ波乱要因?欧州に潜む政治リスクを警戒

2017/2/10
日米首脳会談(10日)を控えた不透明感が強く、今週も為替相場と株式市場は神経質な動きを余儀なくされました(9日時点)。ただ、円高の勢いがやや一服をみせてきたことや、企業決算は堅調な結果が多く、日銀によるETF買い期待も根強いことから、株価の下げ余地に限りもありそうです。
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執筆:香川睦

今日のポイント

  • 米国を中心に世界で政治や経済政策を巡る不確実性が高まっている。日本株は、日米首脳会談(10日)を控えて為替相場の行方に不透明感が強く、株価の上値は重い展開。
  • リスク(波乱)要因として、市場はにわかに欧州主要国での選挙動向を警戒しはじめた。反EU・排他勢力が優勢となれば、一時的にせよリスク回避が先行する可能性もある。
  • 日米首脳会談の後は、米大統領による「所信表明演説」(28日の上下両院合同会議)とそれに続く「予算教書」発表が注目。大統領府は、議会や行政の協調を得られるのか。

(1)日米首脳会談と大統領所信表明演説を見極める

日米首脳会談(10日)を控えた不透明感が強く、今週も為替相場と株式市場は神経質な動きを余儀なくされました(9日時点)。ただ、円高の勢いがやや一服をみせてきたことや、企業決算は堅調な結果が多く、日銀によるETF買い期待も根強いことから、株価の下げ余地に限りもありそうです。世界景気は回復局面にあり、企業業績の拡大が見込まれること、米国でナスダック総合指数が最高値を更新していることなどが、投資家のリスクオン(選好)姿勢を支えています。とは言うものの、トランプ大統領の強硬姿勢や貿易政策などを映し、世界経済政策不確実性指数は最高値に上昇(図表1)。政治情勢や経済政策を巡る不透明感が市場の重石になっています。こうした政策不透明感が一段と強まるなら、リスクオフ(回避)の円高・株安が進む可能性があり、業績の下振れ懸念に繋がる事態も警戒されます。日米首脳会談の後は、トランプ大統領による所信表明演説(28日、上下両院合同会議)と予算教書で示される景気刺激策とその時間軸に加え、暴走気味の大統領が予算策定に不可欠な議会の協調とOMB(行政管理予算局)の支援を得られるかが注目です。

図表1:世界経済政策不確実性指数と為替の推移

(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月))

(2)欧州の政治情勢を巡る不透明感が強まる

2016年6月の国民投票結果を受けた英国のEU(欧州連合)離脱決定と、11月の米大統領選挙を経て、欧州でポピュリズム(大衆迎合主義)や排他主義が台頭し、「反EU」や「反移民(難民)」を掲げる政治勢力の躍進が警戒されています。こうした政治情勢を巡る不透明感が現実の「失望感」に変わる場合は、株式などのリスク資産や通貨ユーロが売られ、ユーロ圏経済の下押し圧力に繋がる恐れがあります。欧州の政治情勢に関わる日程として、3月15日のオランダ総選挙(下院選挙)、4月23日のフランス大統領選挙(第1回投票~決戦投票は5月7日)、9月24日とみられているドイツ総選挙(連邦議会選挙)が注目されています。また、イタリアで年内に解散総選挙が実施される可能性も指摘されています。こうしたEU主要国の選挙で、政権与党の勢力が弱体化する事態となれば、EU統合を巡る不安が募り、一時的にせよ通貨ユーロが米ドルや円に対して下落する可能性があります(図表2)。こうした場合、米ドルが上昇するにしても、(過去の経緯に倣えば)リスクオフ(回避)姿勢を受けた円買い圧力が強まる可能性があります。従って、欧州の政治情勢次第では、円高・株安となるリスクシナリオも警戒しておく必要があります。

図表2:ユーロの対ドル及び対円相場の推移

(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年2月9日))

ただ、反EU勢力が選挙で勝利しても、EUからの離脱を決定するには議会での審議や国民投票を経なければならず、中長期のプロセスを要します。また、ユーロ安で外需押し上げ効果への期待が先行すれば、ドイツや周辺国の業況感が改善していく可能性も想定されます。選挙後の一時的な乱高下を経て、株式市場が反転上昇する可能性もあります(例:英国株は、昨年6月の国民投票後のポンド安を好感し、史上最高値を更新しました)。

(3)欧米の政治イベントを無事乗り越えられるか

主要市場の当面のリスクイベントを整理した一覧表を下記に示しました(図表3)。欧州の国政選挙で今年の先鞭を切るのが、オランダ総選挙(3月15日)です。反EUを掲げて国民投票の実施を求めるヘルト・ウィルダース党首が率いる自由党(右派)がどの程度勢力を伸ばすかが注目されています。昨年の英国国民投票、米大統領選挙に続き、オランダの選挙結果次第では、その後のEU2大国(フランスとドイツ)での政権交代の可能性が視野に入ってきます。フランスの大統領選挙(4月15日)に関しては、有力候補だったフィヨン氏(元首相、共和党)にスキャンダルが発覚したことで、市場はルペン氏(EU離脱を唱える極右政党党首)の優勢を憂慮しはじめました。最新の世論調査(Bloombergが7日に報道)によると、第1回投票(4/23)の得票率はルペン氏が25%、マクロン氏(前経済相)が23%、フィヨン氏が20%と予想されました。ただ、決戦投票(5/7)では「マクロン氏66% vs. ルペン34% 」、「フィヨン氏60% vs. ルペン40%」とルペン候補の敗退見通しがいまだ優勢です。とは言っても、昨年の英国国民投票や米大統領選挙の結果が世論調査・専門家・メディアの予想を裏切る結果となった記憶は新しく、予断を許しません。大方の予想に反した「ルペン大統領誕生」を意識させる展開となれば、市場は動揺してユーロ安、円高、株安で反応する可能性があります。逆に、ルペン氏が敗退すれば、EU残留と新政権下での改革期待が高まると考えられます。2月3日付けレポートでご案内した通り、本年の「ABCDEリスク」の「E」は「Elections in Europe(欧州での選挙)」と想定しています。今後も、株式や為替が不安視しやすい欧米の政治イベントをリスク(波乱)要因として警戒していきたいと思います。

図表3:当面のリスクイベント(要警戒材料)

(注:上記は信頼できると判断した情報に基いて作成した予定表ですが、変更される可能性もあります。
「警戒度」は本レポート執筆者が市場変動リスクへの影響度を定性的に判断したものです。)
(出所:各種報道・情報により楽天証券経済研究所作成(2017年2月9日))

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