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トランプが仕掛ける未知の「設備投資ブーム」に挑む
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

トランプが仕掛ける未知の「設備投資ブーム」に挑む

2017/1/27
トランプ新大統領が打ち出す保護主義・排他主義政策を巡る不安で揺れた市場ですが、ダウ平均、S&P500指数、ナスダック総合指数など米国の主要株価指数が史上最高値を更新。投資家のリスクオン(選好)姿勢の改善が日本株の反発を促しました。
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執筆:香川睦

今日のポイント

  • 市場は一時、トランプ新大統領が打ち出す保護貿易策を不安視したが、米国の主要株式指数が史上最高値を更新したことを好感。日経平均も再び上値に挑戦する動きか。
  • 新大統領は「米国第一主義」を打ち出し、米国内での生産・雇用を拡大していく姿勢。内外企業による「設備投資ブーム」を想定するなら、日本企業にビジネスチャンスも。
  • FA(ファクトリーオートメーション)大手を中心とした設備投資関連株に注目。関連10銘柄の分散投資パフォーマンスを検証すると、市場平均(TOPIX)を上回り始めている。

(1)米国のビジネス環境は好転している

トランプ新大統領が打ち出す保護主義・排他主義政策を巡る不安で揺れた市場ですが、ダウ平均、S&P500指数、ナスダック総合指数など米国の主要株価指数が史上最高値を更新。投資家のリスクオン(選好)姿勢の改善が日本株の反発を促しました。そもそも、米国の景況感は改善を続けており、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数が回復傾向を辿るなか、中小企業経営者の楽観度も急上昇。NFIB(全米自営業連盟)によると、12月の「中小企業楽観指数」は105.8と、2004年末以来の高水準に達しました(図表1)。米大統領選挙の結果を受け、中小企業による景気の先行き見通しが劇的に改善したことを示しています。NFIBによると、中小企業経営者の中で、設備投資の拡大や採用継続を予定すると答えた企業が増加しており、新大統領が打ち出した景気刺激策への期待がうかがえます。大統領選挙を前に、投資や採用活動を先送りしていた企業は、共和党政権の誕生と景気刺激策への期待をテコに、今後経営姿勢を積極化させる可能性があると考えています。

図表1:米国の製造業景況指数と中小企業楽観指数

(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月))

(2)「設備投資ブーム」がやってくる予兆

米景気が回復基調にあるなか、トランプ次期大統領は「米国第一主義」を前面に打ち出し、国内での製造業強化と雇用増加(10年間で2,500万人増)を目標に掲げています。ただし、米国発の保護主義・排他主義的な政策を巡る懸念も高まっています。新大統領は、内外企業がメキシコなど海外で生産した製品を米国に輸出することを批判しており、輸入製品に「国境税」(Border Tax)を課すことを主張しています。こうした政策は、WTO(世界貿易機関)に違反する疑いがありますが、新大統領はNAFTA(北米自由貿易協定)など多国間貿易協定を見直す強硬姿勢を示し、あくまで自国の利益(米経済の成長と雇用の増加)を優先する方針です。従って、米国企業だけでなく、日本や欧州の企業も(メキシコなど)米国外での生産計画を再考し、米国での生産設備拡大や増設を発表する報道が目立ちます。こうしたことから、米国で「設備投資ブーム」が盛り上がる可能性が高まっています。日米欧企業の余剰資金(内部留保などを含む)は総計で約680兆円(米国は約1.77兆ドル+欧州で0.921兆ユーロ+日本は約367兆円/出所:Moody’s Investors Service、日銀法人企業統計など)に及び、設備投資の拡充に向かう待機資金は豊富とみられます。すでに米国に進出している企業を中心に、「設備投資関連銘柄」(設備投資の拡大から恩恵を受けそうな銘柄群)の株価パフォーマンスを検証すると、「年初来騰落率」も「3ヵ月騰落率」もTOPIX(市場平均)を凌駕しています(図表2)。その背景として、業績予想が「2016年の不振を経て、17年は好転(黒字転換もしくは増益率の加速)する見込み」である状況に注目です。

図表2:設備投資関連の銘柄例(参考情報)

*予想増減益率は予想EPS(1株当り利益)の前年比伸び率、予想EPSはBloomberg集計による市場予想平均
*上記は参考情報であり、特定銘柄への投資を推奨するためのものではありません。
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月26日))

(3)設備投資関連への投資で市場平均を上回る

先週(1月20日付け)のレポート「トランプ新大統領は日本株に毒か薬か」で解説させていただいたとおり、新大統領の政策(公約)で、減税・インフラ投資・規制緩和を含む経済政策を除けば、日本株に好材料と言える政策は少ない印象です。特に、伝統的な自由貿易主義政策から逸脱する主張が多く、市場の困惑が強まる可能性があります。一方で、輸入品への課税強化(国境税)に加え、税制改革の一環として法人減税や設備投資を促す制度改革が打ち出される見込みです。こうした政策で企業の利益やキャッシュフローが底上げされるなら、内外企業は米国での設備投資に前向きとなりそうです。新大統領の政策方針を映し、フォード、ウォルマート、アマゾンドットコムなどの米国企業だけでなく、トヨタ自動車や鴻海精密工業(台湾)など多くの多国籍企業が米国での投資や雇用を増やす計画を発表しています。こうして、米国内で工場(生産設備)を新設もしくは増設する動きが強まるに連れ、設備投資関連ビジネスに強い日本企業も恩恵を得ていく可能性があります。実際、図表2でとり挙げた「設備投資関連10銘柄」の株価平均パフォーマンスは、昨年11月(大統領選挙)以降、TOPIX(市場平均)を凌駕し始めています。トランプ新大統領は、「Buy American!(米国で生産されたものを買おう)」「Hire American!(米国人を雇用しよう)」と説いていますが、米国内の設備投資には、高い技術力と競争力を誇る日本企業の存在が不可欠です。トランプ大統領の誕生を契機とした「設備投資ブーム」を視野に入れるなら、設備投資関連銘柄に分散投資するポートフォリオ(パッケージ)投資は、市場平均に対する優勢を維持していく可能性が高いと考えています。

図表3:設備投資関連銘柄(参考情報)の平均パフォーマンス

(注:設備投資関連10銘柄平均=図表2に示す銘柄それぞれの株価について、2016年7月1日を100として指数化したもの)
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月26日))

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