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米国のダウ平均に上値余地はあるか
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

米国のダウ平均に上値余地はあるか

2016/12/16
米ダウ平均は13日まで7日続伸となり、大統領選挙(11月8日)後の最高値更新は17回に。
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執筆:香川睦

今日のポイント

  • ダウ平均は大統領選挙後に最高値を17回更新。「円換算ダウ平均」は日経平均の強気相場入りを支えている。14日のFOMCは、2017年の米金利上昇トレンドを再確認した。
  • 米国では第3Q(7-9月期)決算で企業業績のリセッション(景気後退)に終止符が打たれた。新年は資源市況回復、長短金利差拡大、資本財需要増などを反映する増益か。
  • ダウ平均の業績(EPSの前年比伸び)予想では、本年の微減益から17年は12.2%の増益へ。新年の米国株は、金利上昇の影響をこなしつつ「業績相場」へ移行する可能性。

(1)グレートローテーションが主導する日米株式の堅調

米ダウ平均は13日まで7日続伸となり、大統領選挙(11月8日)後の最高値更新は17回に。14日はFOMC(米連邦公開市場委員会)では追加利上げが決定され、委員会メンバーが「17年の利上げ回数予想(平均)を2回から3回へ上方修正した」ことが上値を抑える動きとなりました。米国を中心に世界の景況感が改善するなか、トランプ次期大統領の大規模リフレ策への期待は根強く、スピード調整を経ながらも「グレートローテーション(Great Rotation)」と呼ばれる「債券から株式への資金移動」の流れは当面続く可能性があります。日米金利差拡大がドル円の上昇(円安)に繋がり、日本株の堅調要因となっており、世界景況感の改善とともに海外勢(外国人投資家)の日本株に対する買い越し姿勢を支えています。なお、日経平均との相関性が高い「円換算ダウ平均」は約232万円と最高値を更新。日経平均の強気相場をリードしているようにみえます(図表1)。

図表1:日経平均とダウ平均(円換算)の推移

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年12月14日)

(2)米国株価に上値余地はどの程度あるのか

上述の通り、米国株と為替の動向が日本株に与える影響は大きいと言えます。そこで本稿では、米国の企業業績見通しから米国株の行方を占ってみたいと思います。

S&P500指数全体の第3Q(7-9月期)決算では、指数ベースのEPS(1株当り利益)が前年同期比+3.3%となり、2015年第1Q(1-3月期)以来6四半期ぶりの増益となりました。四半期では「企業業績のリセッション(景気後退)」に終止符が打たれたことになります。業績改善の主因としては、資源市況の戻りによるエネルギー・素材セクターの業績底入れが挙げられます。暦年では、2016年が前年比-0.2%と微減益が予想されているのに対し、17年は同+12.2%の増益が見込まれています(市場予想平均)。ダウ平均ベースの業績動向でみると、2016年が前年比0.1%の微増益に留まるのに対し、17年は同11.5%の増益、18年は同10.1%の増益が見込まれています(図表2/市場予想平均)。直近のダウ平均値を2016年予想EPSで割り込んだ予想PER(株価収益率)は約18.1倍ですが、17年予想EPSで割り込んだ予想PERは16.2倍に低下します。17年予想EPSにPER18倍を掛けると、2017年を視野に入れたダウ平均の上値目途として21,933ドル(=1218.51×18)程度が視野に入ってきます。トランプ政権による経済政策やその期待で米景気と業績が押し上げられるなら、新年の米国株式が「業績相場入り」を色濃くする可能性が高まると考えています。

図表2:ダウ平均と業績動向(実績と予想)

(注)ダウ平均ベースのEPS(1株当り利益)の実績と市場予想は、Bloombergの調査及び集計平均
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年12月14日)

(3)ダウ平均の構成銘柄別業績見通し

こうしたダウ平均の業績トレンドを構成銘柄(30銘柄)に分解してみると、銘柄ごとに業績見通しに好・不調があることがわかります。図表3は、ダウ平均を構成する30銘柄について「2017年予想増減益率」の降順で並べ、バリュエーション指標(予想PERや予想配当利回り)も表示した一覧です。17年予想増減益率にバリュエーションも加味したバランス感でみると、エネルギー、金融、資本財、素材などのセクターあたりに業績改善を勘案した相対的な割安感がみてとれます。これら30銘柄の16年予想増減益率の算術平均が微減益(-0.2%)であるのに対して、17年予想増減益率(同)は+18.7%が見込まれています。新年の業績回復が「期待」から「現実」となるにつれ、ダウ平均が取引レンジを徐々に切り上げていく趨勢が期待できそうです。適度のスピード調整を挟みつつ、米国株とドル円の上昇(円安)が進むなら、日経平均も取引レンジを切り上げていく軌道をイメージできると考えます。

図表3:ダウ平均銘柄の2017年予想増減益率(降順)

*予想EPS(1株当り利益)、増減益率、株価収益率(PER)、配当利回り=Bloomberg集計による市場予想
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年12月14日)

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