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どうなる!?世界経済と企業景況感の行方
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

どうなる!?世界経済と企業景況感の行方

2016/12/2
世界の経済成長率見通しは米財政出動への期待を反映して上方向き傾向。ドル円相場の回復基調とともに、「世界の景気敏感株」と称される日本株式には追い風となろう。
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執筆:香川睦

要旨(ポイント)

  • 世界の経済成長率見通しは米財政出動への期待を反映して上方向き傾向。ドル円相場の回復基調とともに、「世界の景気敏感株」と称される日本株式には追い風となろう。
  • 中国の李克強指数は、中国の景況感が循環的に底入れしていることを示す。構造改革や内需主導型経済へのシフトは急がれるものの、景気の底割れリスクは後退している。
  • 民間調査会社によるPMI(購買部指数)は、日米中の製造業とサービス業の業況感改善を示唆。年前半の低迷からは回復し、新年の企業業績は増益率拡大に向かう見通し。

(1)世界経済は徐々に上向いている

日本株の堅調を支える要因として、世界の景況感が改善していることが挙げられます。OECD(経済協力開発機構)が11月28日に発表した最新予想によると、主要国の実質成長率は2017年と18年に上向く見通しです(図表1)。米トランプ次期大統領が計画する大減税やインフラ整備を中心とした公共投資の効果が波及し、世界経済の回復に弾みがつきそうです(世界の実質成長率は2016年の前年比+2.9%から17年は+3.3%、18年は+3.6%へとやや加速予想)。なお、米国、ユーロ圏、日本、中国の成長率見通が前回(6月時点予想)よりすべて上方修正されている点に注目。なお、29日に発表された米国の7-9期の実質GDP成長率(改定値)も前期比年率+3.2%と速報値(+2.9%)から上方修正されました。雇用環境改善を背景に、米経済の原動力である個人消費が堅調でした。

図表1:世界経済は徐々に上向いている
OECDによる世界経済見通し<最新版>

実質GDP成長率(前年比:%) 2016年(予想) 2017年(予想) 2018年(予想) 2016年修正幅 2017年修正幅
世界全体 2.9 3.3 3.6 0.0 0.1
  米 国 1.5 2.3 3.0 0.1 0.2
ユーロ圏 1.7 1.6 1.7 0.2 0.2
日 本 0.8 1.0 0.8 0.2 0.3
中 国 6.7 6.4 6.1 0.2 0.2

(注)2016年と2017年の修正幅は、前回予想(16年9月時点)からの変化
(出所)OECD(経済協力開発機構)より楽天証券経済研究所作成

(2)「李克強指数」でみる中国の景況感

世界のGDP規模で米国に次ぐ第2位を占める中国経済の動向に注目してみます。昨年の夏以来、市場がチャイナリスク(中国の経済危機)を警戒した一因として、中国政府(国家統計局)が発表するGDP統計が経済実体を把握できていないとの不安がありました。そこで、中国の景気動向を知るため「李克強指数」が用いられることがあります。李克強指数とは、李克強(現)首相が2007年に遼寧省党委員会書記に就任した際、電力生産量、鉄道輸送量、銀行融資残高の3つの指標を組み合わせ、当時の遼寧省の経済状況を的確に分析し、英エコノミスト誌が2010年に紹介。「GDP統計と比較して中国経済の動向を知る上で信頼性が高い指数」として有名になりました。中国の景況感が重厚長大産業を中心に安定化の兆しをみせるなか、李克強指数は約3年ぶりとなる水準に回復しています(図表2)。

中国が安定成長を続けるためには、地方や金融機関の不良債権問題などを処理する構造改革を進める必要があり、輸出や重厚長大産業への依存を減らし、個人消費など内需の成長が求められます。とは言え、政府主導による公共投資の効果でも、中国経済全体が循環的に底入れしてきた状況は、世界経済にプラスと考えられます。

このように、米国や中国など世界の景況感改善と円安傾向は、海外勢(外国人投資家)が日本株投資に前向きとなるカタリスト(契機)になりやすいと考えます。財務省の統計によると、海外勢(外国人投資家)は、日本株式を10月以降総計で約2兆円買い越してきたことが確認されています。リスクオン(リスク選好)に転じた海外勢が、日本株投資に前向きとなってきた背景が外部環境にみてとれます。

図表2:李克強指数は中国景気の底入れを示す

*実質GDP成長率予想=中国ナウキャスト月次GDP(前年比)<Bloomberg調査>
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年11月末時点)

(3)主要国の企業景況感は上向いている

上述した世界経済の回復基調を映し、民間調査会社(Markit社)が発表しているPMI(Purchasing Manager Index=購買部担当者指数)も底堅い動きを示しています。今週発表された最新値(一部は11月速報値)によると、米国、日本、中国のPMIは、景況感の分岐点とされる「50」を上回り堅調であることがわかります(図表3)。特に、中国の製造業PMIは約1年半ぶりに50を上回り、供給過剰感がやや後退してきたと報道されています。また、一時は50を下回り低迷していた日本のサービス業PMIも50を上回ってきました(10月時点)。これらにより、GDP規模で世界経済の3極である米国、中国、日本の製造業・サービス業(非製造業)PMIがそろって50を上回ってきた状況がわかります。こうした主要国における循環的な業況感改善は、新年に向けた企業の業績見通し改善に繋がっていくものと思われます。業績見通しの改善(売上高見通し、経常利益見通し、純利益見通し、1株当り利益見通しの上方修正など)は、株価の堅調要因となりやすく、注目したい事象と考えています。

図表3:主要国のPMIは業況感改善を示す

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年11月末時点)

(4)米国株とドル円のスピード調整に注意

米大統領選挙(11月8日)以降の米国市場は、トランプ次期大統領の政策期待を先行して評価する相場となったこともあり、一時的な株価反落は想定の範囲と考えています。例えば、米長期金利の一段上昇やドル高加速は米景気や企業業績の重石となりやすく、減税や公共投資で期待できる効果を相殺する懸念が出やすくなります。こうしたリスクが顕在化することで米国株が下落。これを契機に一時的にせよリスクオフ(回避)姿勢が強まれば、米長期金利が低下し、ドル安・円高・日本株安となる可能性があり警戒を要します。

一方、トランプ次期政権下で財務長官に指名されるムニューチン氏などからドル高を牽制する発言が出てくるかも要警戒です。また、本日発表される米雇用統計(11月分)、週末に予定されているイタリア国民投票(憲法改正を巡る選挙)やオーストリア大統領選挙で「反グローバリズム・反移民」の流れが強まるかも要警戒。こうしたイベントの結果次第では、米国株やドルが乱高下する可能性があります。ただ、上述したマクロ面での外部環境改善、米景気刺激策への期待効果を考慮すると、中期的な時間軸では「押し目買い」を重視した投資姿勢で臨みたいと考えています。

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