中国国内に114の都市ガス事業を保有、主力部門が急成長

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00384 中国燃気控股有限公司(チャイナ・ガス・ホールディングス) 3.94 HKD
(05/25現在)
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チャイナ・ガスは中国本土の都市ガス大手であり、都市ガスインフラの開発に加え、個人、法人向けの天然ガス供給を手掛ける。現在保有する都市ガス・プロジェクトは114件で、ほかに大口顧客に天然ガスを直接供給するための長距離パイプライン・プロジェクト8件を運営する。また、筆頭株主の海峡金融控股を通じて政府支援をバックに持つ。

チャイナ・ガスは急速な成長を遂げており、2009年下期の天然ガス販売収入は前年同期比51.7%の伸びを示した。09年3月には福建安然燃気投資の買収を通じ、福建省の都市ガス・プロジェクト28件を獲得。現在は傘下のプロジェクトのうち、工業需要が見込まれる48件のインフラ建設を進める。ただ、この分野がすでに飽和状態に近いことやプロジェクト獲得競争の激化から、同時に既存プロジェクトの保有地域で都市ガス利用を促進し、自律成長を確保する方針。過去2年間には普及率が18.4%から28.3%に上昇している。

中国ではガスパイプライン輸送費などを含む「ガス価格改革」が始動しているが、同社は価格調整分の100%を顧客に転嫁することが可能だとしている。

一方、同社は21億2000万HKドルを投じて、垂直統合型のガス事業者である中裕ガス(08070)の株式公開買い付けを行うと発表した。現金4億6900万HKドルと自社の新株16億4980万HKドル相当を支払いに当てる計画で、この取引における双方の株価評価額は、中裕ガスが09年第2四半期のPBR(株価純資産倍率)で3.05倍相当、チャイナ・ガスが2010年度予想PBR(ブルームバーグのコンセンサス予想)で3.48倍相当。ただ、中裕ガスが上場規則に定められた期日までに年報を発表しなかったため、チャイナ・ガスは証券当局にTOB計画の見直しを申請。この件をめぐっては不透明感が出ている。

中国国内のガス市場ではLPGが主流で、ガス消費全体に占める割合は60%以上。チャイナ・ガスは都市ガスやLPG、天然ガス供給などの分野で、昆侖能源(00135)と戦略提携を交わした。LPG事業の粗利益率は17%以上と安定的で、チャイナ・ガスはLPG部門の利益が2011-12年度に都市ガス部門を上回る可能性を指摘している。中国では低炭素政策を背景に石炭利用からガス利用への切り替えが進んでいるが、都市ガス網のカバー範囲は人口の3分の1。LPG需要は依然大きい。

一方、流動資産32億HKドルを保有し、シノペック(00386)やOman Oil Companyなどを株主とするチャイナ・ガスの財務基盤は強固。経営陣によれば、短期的に設備投資向けの新株増資は予定しておらず、向こう2年間に返済期日を迎える債務はゼロとなっている。