2010年予想EPSは50%増、インフラ需要による恩恵と技術力で競争力維持

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01893 中国中材股フン有限公司(チャイナ・ナショナル・マテリアルズ)  4.02 HKD
(05/24現在)
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中国中材は中国北西部のセメント生産で最大手。同地域の利益率は沿岸部よりも高水準にある。政府は中国西部の開発に注力しており、需要の多くをインフラ開発や産業振興関連のプロジェクトが占めていることから今後も活況が見込まれる。リサイクル産業開発のパイロット地区に指定された甘粛省には、2015年までに総額2133億元が風力発電や太陽光発電など複数のプロジェクトに投入される予定。中国中材が18.6%を出資する甘粛祁連山水泥集団(600720)は、同省セメント市場のシェア40%を占めており、省内開発計画の恩恵を受けるとみられる。一方、新疆ウイグル自治区の経済開発も加速している。2009年7月に同地域で起きた暴動について、中国政府が自治区の経済的発展が不十分である点を一因とみなしたことが反映される見込み。政府は5月17-19日に「新疆工作座談会」を開催し、新疆ウイグル自治区の経済てこ入れ策を協議した。「sina.com」に掲載された温家宝首相の発言によれば、第12次5カ年計画(2011-15)における同自治区への固定資産投資額はおよそ2兆元と、前期に比べて倍増する見通し。2015年までに同地域の1人当たりのGDPを全国平均並みに引き上げることを目標に掲げている。中国中材の子会社、新疆天山水泥(000877)の新疆セメント市場でのシェアは40%に上るため、政府投資拡大策の恩恵を受けるのは確実な情勢。

セメント生産設備およびエンジニアリングサービス部門は、前年の数値が高いことから今後大幅な増収は期待できないものの、設備自給率の上昇による利益の増加が見込まれる。自作設備の粗利益率は外部調達設備の3-4%に対しおよそ20%。2009年の設備自給率は28%だが、今年は社内調達により5-6ポイント、買収により10-15ポイントの引き上げを目指している。

同社の風力発電用ブレードは優れた設計により国内競合に比べて10-15%多い発電が可能。同社は国内で唯一、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)の大規模な研究開発施設を保有しており、中国各地の風速や環境に応じたブレードの設計が可能。その他の国内製品は、中国とは気候が違う欧州からの技術輸入やデザインの模倣が多い。

5月半ば、新疆天山水泥は待望の増資を実施し15億元を調達した。中国中材はこのうち10億元を引き受けた。新疆天山水泥の株価は株主承認を得た2009年5月時点から政府認可を受けた2010年4月の間に上昇したため、発行価格は予定額の13.26元から20.01元に上昇。中国中材の出資比率は41.95%にとどまり、当初予想の44%を下回った。これを受けBOCIは中国中材の2010-12年予想利益を1-2%引き下げている。

政府の不動産バブル抑制策によりセメント業界の株価は下落したものの、BOCIは中国中材がインフラ需要の高い地域に基盤を持つ点を評価。今年のEPSが前年比50%強増えるとし、株価の先行きについては強気の見方に据え置いている。