2010年1-3月期は黒字転換、アルミ価格の上昇と生産再開で今後の業績に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00486 ユナイテッド・カンパニー・ルサール(UCルサール)  8.31 HKD
(05/17現在)
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UCルサールが発表した2010年1-3月期決算は純利益が2億4700万米ドル(国際会計基準)となり、前年同期の6億3800万米ドルの赤字から黒字転換を果たした。売上高は前年同期比31%増の23億3100万米ドル。減産の影響で生産量は同4%減の97万3000トンだったものの、アルミ価格の上昇により増収となった。同期の純利益はBOCIの通年予想12億6100万米ドルの20%、マーケットコンセンサス(16億7800万米ドル)の15%に相当し、BOCIの予想に即したもの。今後の一部設備の生産再開を見込み、BOCIは2010-12年の予想値を据え置いている。

1-3月期にはロンドン金属取引所(LME)の1トン当たりのアルミ価格が前年同期比59%高の2163米ドル、アルミナのFOB価格は同72%高の327米ドルと大幅に上昇。減産による販売量の低下により恩恵の一部は相殺されたものの、金属相場の上昇が増収要因となった。BOCIは1-3月期の売上比率について、アルミニウムおよび合金が83%、アルミナが4%だったと推測している。同期は31%の増収に対し、売上原価が3%減の15億6600万米ドルにとどまった。売上原価の51.3%がアルミナ、ボーキサイト、およびその他の原料費で、29%が燃料費となっている。コスト減により粗利益率は前年同期の9.5%から32.8%に上昇。営業利益率、純利益率はそれぞれマイナスから15.7%、10.6%に改善した。関連会社からの利益貢献2億6300万米ドルも奏功した。

同社は2010年のアルミニウムおよびアルミナの生産量をそれぞれ410万トン、810万トンとしている。同社は今年に入り、生産を停止していた工場の操業再開を相次いで発表しており、4-6月期も好調が期待される。先ごろジャマイカのイワートンのアルミナ工場(年産能力65万トン)の操業を6月1日から開始することを明らかにした。

1-3月期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は4億8500万米ドルとなり、前年同期の損失から黒字転換。アルミ価格が1トン当たり2200米ドルを維持した場合、2010年のEBITDAは20億米ドルに達する見通しで、キャッシュフローの改善と債務返済が進むと期待される。同社は1月の新規株式公開(IPO)で22億4000万米ドルを調達。計画を前倒しして債務を返済し、残高を2009年末の139億米ドルから120億米ドルに減らした。債務リストラ契約に基づき2013年までに30億米ドルを返済する必要があるが、業績見通しが好調なため計画どおりの支払いが可能とBOCIはみている。

石炭価格の上昇や電力価格の引き上げにより、中国のアルミ生産コストは上昇する傾向にある。ただ、生産を石炭火力に頼る多くの国内生産者に対し、より安価で安定した水力発電を利用するUCルサールの競争力は増すとみられる。同社の株価は現在2010年予想PER12.8倍と競合他社の平均PER18.2倍に比べて割安。BOCIは株価の先行きを強気の見方に据え置いている。