10年1-3月期に貸倒引当金の減少でコア利益増、米事業が予想以上の回復

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00005 匯豊控股(HSBCホールディングス)  73.55 HKD
(05/10現在)
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匯豊控股(HSBC)の経営陣は2010年1-3月期の業績について、税引き前のコア利益(評価損益や為替、子会社売買などの影響を除く)が前年同期および前四半期を上回ったことを明らかにした。ただ、決算報告上の税引き前利益は、前年度の負債評価益計上により前年同期を下回るという。BOCIは当期の業績について市場はポジティブに受け止めたと指摘。貸倒引当金の減少が奏功したが、低金利下や競争激化で預金が伸び悩んだことを受け、利ざやの縮小が引き続き問題となっている。特筆すべきは米国事業の回復で、2007年4-6月期以来の黒字を計上した。

マクロ経済の回復や不動産価格の安定を背景に、米国のコンシューマーファイナンス事業の信用状況が予想以上の速さで改善した。ランオフ・ポートフォリオは当期中に56億米ドル縮小(7.1%減)。事業を継続するクレジットカード・ポートフォリオも消費者支出の低迷や政府の税還付の影響などで10%減となったが、延滞の減少により貸倒引当金が64.5%減となったため、カード事業の税引き前利益は6億8100万米ドルと前年同期の100万米ドルを大幅に上回った。

グローバル・バンキング&マーケッツ(GBM)事業は好業績を維持し、10年1-3月期の税引き前利益は前年同期および前四半期を上回った。バランスシート・マネジメントの収益は減少したものの、トレーディング事業の収益と貸倒引当金の双方で改善がみられた。また、部門全体の収入は前年同期を下回ったが、広範な収益源を維持したことで、持続可能なビジネスモデルに対する懸念も和らいでいる。

新興国市場では、クレジット商品と投資商品への需要が2009年後半から上向き、10年1-3月期もこの傾向が続いたことで手数料収入が伸びた。香港とインドで貸倒引当金が大幅に減少。アジア事業の利益は前年同期、前四半期を上回った。香港とその他のアジア太平洋地域の税引き前利益は中国関連事業の恩恵もあり、一定の成長を示している。一方、南米市場の業績はほぼ横ばいで、中東市場は減収となったものの、貸倒引当金は縮小。また、プライベートバンキング事業において新興国市場の貢献度が高まっている。

経営陣はギリシャのソブリン債のエクスポージャーが15億ポンド程度であると説明。BOCIは2010年度業績への影響は限定的とみている、ただ、英国が財政赤字削減の手段を打ち出す前に市場で不安感が高まる点を懸念。投資家は同行の英国におけるエクスポージャーの規模から、銀行システムに関する英財政政策の影響を不安視するとみられる。こうした点を踏まえBOCIは同行の株価が一定期間低迷する可能性が高いとみて、株価の先行きを中立の見方に据え置いた。また、ソブリン債の問題に加え、政府の規制動向、低金利政策、先進国から新興国市場重視への移行に伴う投資リスクなどを不安要素として挙げている。