レノボモバイルを2億米ドルで買戻し、携帯電話端末事業に再参入

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00992 聯想集団(レノボ・グループ) 4.27 HKD
(11/30現在)
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レノボ・グループはこのほど、聯想移動通信科技有限公司(レノボモバイル)を2億米ドルで買い戻すと発表した。買収代金のうち1億5400万米ドルは現金で、残り4億6000万米ドルは新株8090万株を割り当てる形で支払う。レノボは2008年に携帯電話端末製造部門のレノボモバイルを1億米ドルで売却していた。市場調査会社のSINOによると、レノボモバイルは09年5月に携帯端末製造で国内1位に浮上。同8月にはノキア、サムソンに次いで世界3位となった。現在、中国全土で1万近い小売店舗を展開している。また、業績も改善しており、07年の3400万米ドルの赤字から08年には税引き前利益500万米ドルを計上し、黒字転換を果たした。09年上期の税引き前利益は600万米ドルに上る。BOCIは、今回の買収がレノボの10年度利益を約13%引き上げる効果があると試算している。

現状ではレノボモバイルの売上高に占めるマスマーケット向けの携帯電話の割合が高いものの、今後はインターネット機能を強化した端末を順次発売することにレノボ経営陣は期待している。中国の3G市場は初期段階にあり、長期的な成長余地が見込まれている。08年の3G端末の販売台数は推定540万台と、世界シェアは3%だが、年平均で100%近い成長が見込まれ、2012年までに9280万台、シェア42%に達すると予想される。3G市場の規模は、2G・2.5Gの120億米ドルに対し、2012年には167億米ドルに拡大する見通し。BOCIはレノボの再参入が格好のタイミングだったと判断している。

3Gネットワークはパソコンとモバイル端末の融合という新たな市場を創出。デルやエイサーなど主要パソコンメーカーがスマートフォンを発売する一方、携帯電話最大手のノキアもネットブック市場に参入した。レノボもモバイル部門の買収によりモバイルインターネット市場への参戦を果たすこととなる。

一方、通信会社の3G端末への補助金もレノボモバイルの成長を後押しする見通し。チャイナモバイル(00941)は今年100億元を端末補助金に充てる方針を明らかにしており、2010年にはこれを300億元に拡大する計画。レノボはチャイナモバイルのOphoneをベースにした携帯電話「O1」を製造しており、補助金の恩恵を受けている。

レノボは、自社のスマートフォン用の独自OS開発に意欲を示しているが、BOCIはこれを注視。一般的に、ニッチ市場をターゲットするアップルのiPhoneとRIMのBlackberryを除き、携帯端末メーカーは独自OS開発には乗り出していない。ノキアが買収したSymbianには大手メーカー10社が出資している。レノボの独自OS戦略は、長期的にはチャイナモバイルのOphoneと対立が生じる可能性があるほか、世界シェアが限られたプラットフォームへのアプリケーション開発は進まないことが予想され、マスマーケットへの普及には時間がかかるとBOCIはみている。