2009年7-9月に好決算達成、石炭価格動向や電力卸売価格の調整がリスク要因に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00902 華能国際電力(ホアネン・パワー) 5.56 HKD
(10/22現在)
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華能国際電力の2009年7-9月期決算(中国会計基準)は、純利益が前四半期比53.8%増の21億7000万元に達した(前年同期は21億5000万元の赤字)。また、1-9月期の純利益は41億3000万元と、前年同期の赤字から大幅な黒字に転換。早くも市場の通期予想の105%相当を達成した。主に石炭契約価格の下落と系列会社の利益貢献が予想以上の好決算を支えた。一方、7-9月期の売上高は、発電量の32%の伸びを背景に前四半期比20.5%増。単位当たり燃料コストが5%低下したことで、粗利益率は19%と、2007年の高水準に迫る数字となった。このほか、深セン能源(000027)などの利益寄与で、1-9月期の投資収益は同93.2%増の6億6200万元に達した。

7-9月期の石炭調達価格(標準炭)は、主に契約価格の低下を受けて前四半期を5.4%下回った。同社は石炭所要量全体の57%を契約ベースで調達しているが、年初から現在までの契約価格は1トン当たり平均497.7元と、前年実績を1.3%下回る水準だった。ただ、BOCIは燃料コストの低下が一時的な現象にとどまる可能性を指摘している。実際、同社経営陣は通期の単位当たり燃料コストについて前年同期比10%減を予測しているが、この予想数字をあてはめた場合、10-12月期には前四半期比で23%膨らむ計算となる。また、中国国内の主要石炭積み出し港・秦皇島では現在、石炭スポット価格が9月末比で1-2%値上がりし、石炭在庫も9月末比で7%減。BOCIはさらに、山西省の小型炭鉱が多数閉鎖した影響で、石炭価格が10月に1トン当たり10元上昇した点を指摘し、10-12月期の同社の石炭調達価格が前四半期比7.2%増の同672.3元に達するとみている(前年同期比では11%低下、09年1-9月期比では1.3%上昇)。

同社の7-9月期の発電量が前四半期比32%の伸びを示したことで、BOCIは通期の予想発電量を前年比4.2%増から5.4%増に上方修正した。ただ、10-12月期は電力需要の閑散期に当たるため、同期については前四半期比15%の減少を予測している。

一方、政府当局は電力価格の決定に市場メカニズムを導入する方針だが、これに先立ち、電力卸売価格が再び調整される可能性が出ている。東部沿海地域ではすでに値下げ案を申請済みであり、市場では5%の値下げが実施されるとの観測が浮上している。BOCIは東部沿海地域を主要基盤とする同社にマイナス影響が及ぶ可能性が高いとの見方。電力卸売価格が仮に1%低下した場合、同社の2009年、10年のEPSが9%、11%目減りする可能性に言及した。BOCIは同社の火力発電所の卸売価格が2010年に2%、11年に1%低下すると想定し、この点が同社の大きなリスク要因になると指摘している。

BOCIは10-12月期に石炭調達価格が上向く可能性や、2010-11年の電力卸売価格に関する慎重見通し、さらに設備投資が高止まりする見通しなどから、同社の目標株価を下方修正。また、株価の先行きに対して中立的な見方を継続している。