08年10月-09年6月決算はコア利益10%増、粗利益率が2.5ポイントアップの23.9%に
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00551 | 裕元工業(集団)(ユーユエン・インダストリアル) |
21.50 HKD (10/02現在) |
株価 企業情報 チャート |
裕元工業が発表した08年10月-09年6月期決算は、純利益が前年同期比17%減の3億6300万米ドルだった。転換社債の評価損益を除いたコア利益は、56.1%を出資する子会社、宝勝国際(03813)のコア利益が同71%減だったにもかかわらず、10%増の3億4100万米ドルに達した。宝勝国際を除いたODM事業の純利益は24%増の3億2700万米ドル。製品構成やコストの管理で効率化を図り、世界的な景気低迷時にも好調を維持した。同事業の粗利益率および営業利益率は、それぞれ前年同期を2.5ポイント、1.7ポイント上回り、23.9%、11.5%に拡大した。08年10月-09年6月期に製造した靴は1.3%減の1億9300万足。1足当たりの平均販売価格(ASP)は5.6%上昇し、14.40米ドルとなった。主にナイキとアディダス向けのスポーツシューズの生産量は1.3%減。一方、カジュアルシューズとサンダルはそれぞれ4.8%、11.2%伸びた。主に宝勝国際が担っているリテール部門は、売上高の21%、コア利益の4%を占めている。
同社経営陣は今後のODM事業の見通しについて、8月末の受注残をベースに、09年7-9月期の売上高を前年同期比9-10%減、2010年度売上高を前年比2-4%減になるとの見通しを示している。しかし、BOCIは同事業の売上高は2010年に初めに増加に転じると予想。納期が90日から60日に短縮されていることを踏まえ、クリスマス以降に持ち越される受注残は限定的とみている。また、2010年半ばのサッカーワールドカップが受注に恩恵を及ぼし、収益予想が上方修正される可能性も指摘している。
同社は過去数年間、取引先の大手ブランド内での勢力を伸ばし、各ブランドを上回る成長を遂げている。シェアは飽和状態との見方もあるが、BOCIは今後も拡大の余地があるとみている。同社はナイキのシューズの約20%を製造。ナイキは製造拠点の地域的な集中を主要リスクに挙げているが、裕元の製造シェアを国別にみると、中国が28%、ベトナムが14%、インドネシアが23%(BOCI推定)でそれぞれ3分の1に満たない水準。さらなる成長は可能とみられる。ナイキはまた、各製造工場の営業リスクを注視し、管理を強化しているが、年次報告書において、最大の靴製造工場が2009年度の製造分の5%を占めたと報告していることからも、主な懸念は同系列の工場の製造シェアではなく、個々の工場の製造量であると判断できる。つまり顧客側の見方に基づけば、裕元はさらにシェアを拡大することが可能とBOCIは指摘している。
BOCIは同社の粗利益率改善を踏まえ、ODM事業の2009年度予想粗利益を21.4%から23%に上方修正。これは08年10月-09年6月期の23.9%よりも低い水準。また、10-11年度の予想粗利益率についても、同社がコストの増加分を販売価格に上乗せして対応するとみて23%に維持。ODM事業の10-11年度売上高は2%減、3%増と予想した。株価の先行きについては強気の見方を維持している。