主力2部門の経営環境が改善、09-10年の利益見通しを上方修正
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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01199 | 中遠太平洋(コスコ・パシフィック) |
11.66 HKD (09/01現在) |
株価 企業情報 チャート |
コスコ・パシフィックの2009年6月中間決算では、主力のコンテナリース部門の売上高がBOCIの予想を上回る水準に達した。部門売上高は前年同期比5.7%減の1億1440万米ドルにとどまったが、これは主にコンテナ廃棄収入が減少したためで、リース収入は同6.1%増の9910万米ドル。昨年上期に購入した新規コンテナがフルに寄与した効果に加え、リース用コンテナ全体の稼働率もBOCI予想を上回る90.3%に達した。一方、コンテナ補修保険料収入の大幅な落ち込みや、前年同期に一過性の管理収入を計上した反動、さらにコンテナ関連の減損引当金の増大が響き、部門利益率は縮小した。
世界経済が第2四半期後半から回復傾向に転じたのに伴い、コンテナ輸送需要も上向いている。上期に大量のコンテナを返却した顧客が第3四半期からリースを再開しており、これが稼働率の維持やリース料の回復を後押しする見通し。BOCIは上期のリース部門の堅調や最近の市況改善を受け、09年と10年の予想コンテナ稼働率をそれぞれ90.8%、93.5%に上昇修正。また、リース料の予想値を6.1%、9.1%引き上げた。
もう一つの主力事業であるコンテナターミナル運営部門は、6月中間期の利益が前年同期比35.8%減の4470万米ドルにとどまった。コンテナ取扱量は同8.5%減の2020万TEU(20フィート標準コンテナ換算)。取扱量の落ち込みに加え、新たなターミナルへの初期投資が部門減益の要因となった。港湾別に見た場合、広州南沙海港コンテナターミナル(GSCOCT)が最大の赤字を計上したが、BOCIはGSCOCTの採算化がターミナル運営部門の業績改善に向けたカギになるとの見方。実際、GSCOCTの取扱量は段階的に改善傾向を示しており、BOCIは2011年に採算ラインとなる取扱量レベル(約300万TEU)を達成すると見ている。また、同部門にとっても世界的な景気回復が追い風。BOCIは部門全体の取扱量に関する09年、10年の予想値を0.7%、2.7%上方修正し、それぞれ4650万TEU、5130万TEUに設定した。
一方、同社は中国遠洋物流(コスコ・ロジスティックス:CL)の持ち株を親会社に譲渡し、CLへの投資から手を引く計画。BOCIはこの計画を前向きに評価し、コア事業への投資や高コストの有利子負債の圧縮につながると見ている。また、BOCIはこの取引が年末までに完了すると予測し、09年と10年の同社予想利益にそれぞれ9230万米ドル、2150万米ドルの特別利益(売却益)を組み入れた。
BOCIはリース、ターミナルの両部門や上場子会社・中国国際コンテナ(深センB200039)の収益見通しを引き上げるとともに、CL株売却益の計上を見込み、コスコ・パシフィックの09年と10年の予想純利益を47.2%、25.7%上方修正した(新たな予想値は2億7680万米ドル、2億5660万米ドル)。これに伴い目標株価を大幅に引き上げ、同社株価の先行きに対するこれまでの慎重な見方を、強気に引き上げている。