2009年6月中間期に15億元強の赤字計上、鋼材価格の回復で下期に黒字化へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00347 鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール) 15.26 HKD
(08/18現在)
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アンガン・スチールは2009年6月中間決算で、15億4700万元の純損失を計上した(国際会計基準、1株当たり損失は0.214元)。同社は事前に赤字見通しを発表済みであり、同期の赤字額はほぼ市場の予想の範囲内。2009年下期には黒字転換を果たすとみられ、通期純利益に関する市場のコンセンサス予想は16億8300万元。BOCIは13億4300万元との利益見通しを維持している。一方、上期の損益を四半期別に見ると、4-6月期には純損失15億5500万元と、1-3月期の800万元の黒字から赤字に転落した。ただ、1-3月期に計上した引当金戻し入れを除外した場合、4-6月期の赤字は前期比でやや縮小した。

6月中間期の赤字は主に国内での鉄鋼価格の下落が響いたためで、売上高は前年同期比25%減の300億元。生産量は10.8%増の850万トンに達したが、鋼材価格の下落が増産効果を打ち消す格好となった。同期の平均販売価格は前年同期を32%下回る1トン当たり3523元。売上原価はトン当たり3548元と、同8.4%低下したものの、製品価格の下落を受けて利幅が悪化した。

国内の鋼材価格はすでに上向きに転じており、現在の品目ごとの価格水準は6月末比で13-30%高。12カ月安値水準から25.5-45.2%回復し、中厚板を除く全品目で、12カ月高値までの上値余地が26.0-33.6%に縮小した。BOCIはこの先、価格上昇率の減速を予想する一方、下期に大幅に調整する可能性は低いとの見方。棒鋼、鋼板の今年通年の予想下落率をそれぞれ20%、25%に据え置いた。BOCIの試算によると、鋼板価格、棒鋼価格が1%変動するごとに、アンガンの2009年通期利益はそれぞれ15.2%、1.3%の割合で変化するという。

同社は先月22日、最大で2億1716万株(増資後発行済み株式の最大20%)のH株を発行する第三者割当増資計画を発表した。その前日21日の終値(14.80HKドル)をあてはめた場合、調達額は最大32億HKドル(28億元)に上る計算。主に運転資金に充当する。まずは特別株主総会で承認を受けた後、中国証券監督管理委員会およびその他関連当局の認可を得る必要があり、BOCIは年末までの増資の完了を予想している。

同社はまた、国内の機関投資家向けに最大60億元規模の短期社債を発行する計画。これは債務構造の改善と財務コストの軽減が目的で、増資と同様に特別株主総会の承認が必要となる。BOCIは第三者割当増資と短期社債の発行により、2010年のEPSが4.5%希薄化する一方、同年の負債比率が63.4%から58.5%に低下するとの見通しを示している。

なお、BOCIは現在の株価水準を考慮した上で、同社株価の先行きに対する従来の中立的な見方を、慎重な見方に修正している。