深セン発展銀行の株式を最大30%取得、総合金融サービス会社を目指す

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02318 中国平安保険(ピンアン・インシュランス) 59.05 HKD
(06/15現在)
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中国平安保険は、深セン発展銀行(SDB)の株式を最大で30%を取得すると発表した。買収は2段階で行われる予定。まず、SDBが中国平安保険に対し、最大5億8500万株の新株を1株当たり18.26元で中国平安保険に割り当てる。割当価格は買収発表による株式取引停止前20営業日の平均価格。取得した株式には36カ月のロックアップ期間が設けられる。次に、中国平安保険は2010年末までに米投資会社ニューブリッジが保有するSDB株5億2000万株を買収する。中国平安保険は保有するSDB株の3.94%を売却し、出資比率を30%以下に保つ。ニューブリッジは支払いを現金または株式で受け取ることができる。株式であればSDB株1.74株に対して中国平安保険のH株1株、現金であれば1株当たり22元を受け取る。

中国平安保険にとってSDB株の買収は、保険、銀行、資産管理の各事業が安定的に成長する総合金融サービス会社への転身を目指す上で重要なステップとなる。かつて銀行業務は買収が不可能であり、自ら立ち上げるには莫大な投資が必要だった。

ただ、SDB株の買収が中国平安保険に与える効果は、長期的には不透明。保険商品の銀行窓口販売に関しては、すでに全銀行を通じて販売が可能なため、この点でSDB取得による大きな効果は期待できない。また、中国平安保険の競争力は、銀行スタッフよりも、富裕層の資産管理を手がける代理店にあり、BOCIは平安の買収戦略の効果を判断するには時間が必要とみている。短期的にみても、両社はそれぞれ独立して事業を行うため、シナジー効果は限定的。さらに、SDBは中国平安保険から役員を受け入れることとなり、今後の経営体制について注視する必要がある。 SDB新株の割当価格18.26元は、2009年予想PBR2.14倍、2009年予想PER15倍の水準。2010年末の、ニューブリッジからの取得価格22元は、2010年予想PBR2.3倍、2010年予想PER18.6倍。買収価格が高水準にあると、SDBが景気減速の影響で業績が落ち込んだ場合に投資利回り悪化の懸念が生じる。 SDB株買収資金の調達により、中国平安保険の2009年度業績に若干の影響がある。買収資金に余剰資本を利用すれば、ソルベンシーレシオおよび自己資本比率に悪影響がおよぶ。保険および銀行事業を発展させるため、中国平安保険は新株を発行するとみられる。 SDBの買収は短期的には中国平安保険の1株当たりの利益および簿価を高める効果がある。しかし、銀行事業は保険事業に比べてバリュエーションが低いため、長期的には、事業多角化によるシナジー効果をみた上で、今回の投資効果を判断する必要があるとBOCIは指摘している。