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OPEC(石油輸出国機構)
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OPEC(石油輸出国機構)

2015/8/26
経済の成長(GDPの増大)とともに金融、株式、為替市場も拡大していくため、先進国だけではなく、新興国の株や債券、通貨も投資の対象になってきているというお話をしました。
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OPEC (石油輸出国機構)

前回、中東地域での石油の「持てる国」と「持たざる国」という区分けでお話しましたが、この中東の「持てる国」は、石油による利益擁護のためにOPECという機構を作りました。中南米、アフリカの「持てる国」も加わったこの機構は、オペックと読み、Organization of the Petroleum Exporting Countries(石油輸出国機構)の英語名の略称からOPECと呼ばれています。

OPECは1960年に設立されました。当時、欧米の国際石油資本(メジャーズ)が産油国の了承もなく、一方的に中東原油価格を引き下げる事態が再三起こっていました。設立の引き金となった引き下げ幅はアラビアンライトで、1.90ドル/バレルから1.80ドル/バレルの引き下げでした。何と安い原油価格だったのでしょう。また、価格幅も0.10ドル。現在の毎日の変動幅と比べると動いていない変動幅の範疇に入ります。しかし、この0.10ドルが産油国を憤慨させ、決起させることになりました。産油国はメジャーズに対抗するため、共同行動によって生産量を調整し、価格を維持する目的でOPECを作りました。当初加盟国はイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5か国です。その後、加盟国が増え、脱退や再加盟もありましたが、現在は12か国が加盟しています。原加盟国5か国に加え、カタール、リビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、アンゴラが加盟しています。インドネシアは現在、一時脱退中です。OPECの本部はウィーンにありますが、オーストリアは加盟国ではありません。
OPECの定例総会は加盟国のエネルギー担当大臣により年2回開催されます。臨時総会は加盟国の要請があれば開催されます。OPEC総会の決定は石油価格に影響を与えることが多く、石油価格の動きは金融、株式、為替市場に影響を与えるので、OPEC総会の動向には注目しておく必要があります。

OPECの影響力

直近のOPEC総会は、2015年6月に開催されました。この総会で日量3,000万バレルとする現在の生産目標を据え置くことが決定されました。加盟国は5月も3,100万バレル強の原油を生産したとみられていますが、総会ではシェア拡大のため目標を上回る原油供給を黙認した形となりました。原油価格が下落している渦中でこの決定がなされたため、その後も原油は下落が続いています。この原油下落は、米国のインフレを抑制することから、イエレンFRB議長は原油価格動向を注視し、米国利上げ時期の決定に影響を与えている状況になっています。

OPECがその存在感を世界中に示したのは、1973年の第1次石油危機(第1次オイルショック)の時でした。1973年10月に第四次中東戦争(イスラエルvsエジプト・シリア)が勃発すると、OPECはアラブ国支援のため原油価格を引き上げ、さらにイスラエルを支持する先進諸国を標的に石油禁輸を実行しました。原油価格は10月以前に比べて約4倍になり、原油価格の暴騰と原油不足から景気が後退しました。この経済混乱はオイルショックと呼ばれました。日本ではトイレットペーパーがなくなるという騒動が起きたのもこの時でした。このトイレットペーパー騒動よりも、筆者の記憶に残っているのは、石油が上がっているからガソリンも上がり、自動車教習所の講習費も上がるのではないかと思い、すぐに教習所に通い免許を取ったことでした。確か4万円以下でしたが、翌年には倍の8万円になっていた記憶が残っています。大学生の時でした。

その後、オイルショックは終息したのですが原油価格は下がらず、OPECが原油価格の決定権を握るようになりました。しかし、1979年にイラン革命が起き、原油価格が暴騰しましたが(第二次オイルショック)、OPECは価格調整に失敗した結果、OPECの影響力は減退していきました。その後、2度のオイルショックを経験した先進国は、代替エネルギーへの促進や石油備蓄を増やし、また、北海油田やメキシコなどの非OPECが生産を増やしたことから、今度は供給過剰となり、原油価格は1985年から1986年にかけて大暴落しました。暴落のきっかけは、サウジ国王が増産に転じてシェアを奪回するという1985年9月の演説だったと言われています。原油は大暴落し、また、同月のプラザ合意後のドル急落と重なってソ連に打撃を与え、冷戦終結の一因にもなったと言われています。 この1980年代後半の原油暴落による経済混乱、いわゆる「逆オイルショック」は、OPECが減産を見送ったことによって生じたことから、現在のOPEC減産見送りの状況を「逆オイルショックの再来」という見方も広がっています。

OPECと非OPEC

世界の原油生産のうち、OPECは3分の1強、非OPECは3分の2の生産シェアとなっています。今回の減産見送りの背景は、価格下支えのためにOPECだけが減産しても米国のシェールオイルなど非OPECにシェアを奪われるだけで得策ではないという判断があったようです。つまり、原油価格が100ドル超から下落していく中で、OPECが減産しなかったのは、シェールオイルや他の産油国の採算が合わなくなる水準まで相場が下がれば、競争相手が減り、市場の主導権を取り戻せるとの思惑が働いているようです。しかし、財政黒字化に必要な原油価格の水準は、ほとんどの国で既に下回っています。中でもベネズエラは162ドルと言われており、今回のOPEC総会でただ一国反対に回ったようです。サウジでも99ドルと言われています。サウジは対立国であるイラン(130ドル)とその支援国であるロシア(100ドル)に圧力をかけるため、原油価格を更に低下させようとしているとの見方が浮上しています。
原油価格決定の支配権は、非OPEC国の生産量が増えてきていることから、OPECが圧倒的に強いという状況ではなくなってきました。このことが石油価格動向を読みにくくしています。OPECと米国、あるいは、OPECとロシアが手を結べば、生産シェアは50%を超えることになり、価格支配権が強まることになります。しかし、現在の政治的思惑では、サウジは、米国は盟友国であってもシェールオイル業界を手助けすることはなく、イランを支援するロシアを助けるようなことはないと思われます。サウジは価格決定の支配権を取り戻すため、豊富な外貨準備を背景に、まだ我慢比べを続けていくようです。いつまでこの我慢比べが続くのでしょうか。このまま世界経済の迷走が続けば、原油は上昇せず、危険な我慢比べにならなければよいのですが。

世界の石油生産シェア

OPEC 39.5% 内、サウジ 10.5%
非OPEC OECD 24.6% 内、米国 24.6%
非OECD 31.6% 内、サウジ 11.5%

OPEC
= Organization of the Petroleum Exporting Countries、石油輸出国機構

  • 本部ウィーン(但し、オーストリアは加盟国ではない)
  • 設立1960年
  • 目的国際石油資本(メジャーズ)に対抗するため、共同行動によって生産量を調整し、価格を維持する目的で設立
  • 加盟国12か国(中東 6、中米 2、アフリカ 4 )
    イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ
    (以上5か国は原加盟国)
    カタール、リビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、アンゴラ
    (インドネシアは現在、一時脱退中)
  • 定例総会年2回開催(加盟国のエネルギー担当大臣参加)
  • 1973年第1次オイルショック ←第四次中東戦争(イスラエルvsエジプト・シリア)
    原油価格4倍、石油禁輸、トイレットペーパー騒動
  • 1979年第2次オイルショック ← イラン革命
    原油暴騰
  • 1985~1986年 逆オイルショック → 原油大暴落

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