前回、米国成長率(GDP)のお話をしましたが、米国成長率と同じように重要な米国雇用統計についてまとめてみます。非常に重要なので確認してください。

米国雇用統計

米国労働省労働統計局が毎月1回、第一金曜日に発表(第二金曜日の時もたまにあり)。米国時間午前8時30分、日本時間では午後9時30分(冬時間:午後10時30分)に発表されます。重要数字は、以下になります。

失業率

2014年9月現在6.3%。FRBが現在最も重視している指標です。金融政策に影響を与える重要な指標です。FRBは金融緩和から引き締めに転じるポイントとして失業率に着目しています。現在、注目されている金融緩和縮小は緩和の縮小であって緩和は継続しています。引き締めとは、その後にくる段階で緩和をやめる一大政策転換になります。雇用が毎月増え続け、失業率が低下(改善)し、金融緩和が縮小され、そして引き締めに転じることになります。また、金融緩和縮小の決定でドル高になっても、連続して縮小がなければ、縮小した状態で緩和継続が続くとマーケットは判断し、ドル高から再びドル安になる可能性はあります。このことは留意しておく必要があります。

非農業部門雇用者数( Non-Farm Payrolls 略称NFP )

米国雇用統計の数字の中で失業率は、以上のように金融政策に影響を与える重要な指標ですが、NFPは毎月の中でマーッケトが注目し、相場が大きく動きやすい最大注目数字です。マーケットは前月比の雇用が増加するかどうかを注目しています。一般的に20万人増加が3ヶ月続くというのが、緩和縮小や引き締めの目安になります。しかし、注意しないといけない点は、前月や前々月の数字が毎月修正されることです。もし、過去2ヶ月分が下方修正されると、翌月発表の数字が良く、ドル高になっても過去の分が下方修正されるとドル安に反転するものと考えられます。

労働参加率

62.8%。労働者が労働市場に参加している率ですが、現在低下傾向にあります。失業率が低下する要因のひとつに、失業者が就業困難なため労働市場に応募するのをあきらめた結果、失業者の数字が減少することによって失業率が下がるというのがあります。従って、雇用者の伸びが鈍いにもかかわらず、失業率が低下している時は、手放しでは喜べないため注意する必要があります。

時給

あまり注目されませんが、時給の伸びが鈍いと、雇用が増えても労働者全体の総所

得の伸びが鈍くなり、消費増に結びつかない可能性があります。頭の片隅に置いておくだけでいいと思いますが、知っておいて損はないと思います。見ている人は見ています。

雇用増 → 失業率低下 → 時給増 → 所得の増加 → 消費の増加 → 成長率増加

また、こちらも為替の変動要因のファンダメンタルズである物価指数についてお話します。

物価指数

物価指数は、消費者物価指数と卸売物価指数が代表指数ですが、マーケットによく注目されるのは消費者物価指数です( Consumer Price Index 略称CPI )。

基本的に、為替の変動と物価の関係は以下の通りです。ドルの例で見ます。

  • 物価上昇 → 金利上昇 ・金融引締め → ドル高
  • 物価下落 → 金利下落 ・金融緩和 → ドル安
  • 物価上昇中の2国の通貨 → 物価上昇の大きい通貨が高くなる