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夫婦ともに確定拠出年金とNISA口座を持つ場合場合どうするか
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

夫婦ともに確定拠出年金とNISA口座を持つ場合場合どうするか

2015/7/1
夫婦がそれぞれ投資を行う場合、「なんとなく投資」のままで資産管理があいまいになる恐れがあると、前回のコラムで紹介しました。この問題、もう少し解説してみたいと思います。
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夫婦がそれぞれ投資を行う場合、「なんとなく投資」のままで資産管理があいまいになる恐れがあると、前回のコラムで紹介しました。この問題、もう少し解説してみたいと思います。

特に今回は、具体的な口座の活用方法も含めて指摘してみたいと思います。なぜなら、個人名義で開設せざるを得ないアカウントがいくつかあるからです。

夫婦でも必ず個人口座になるDCとNISA口座

夫婦の稼いだ年収は夫と妻に金額の差異があったとしても、共同して稼いだ財産であるというのが基本的な考え方です。離婚時の財産分与はこの考えに基づきますが、離婚のようなトラブルにならない限り、明確に資産の分別を行わないため、どうしても「それぞれの資産」になってしまいます。

このとき、いずれかの稼ぎをどちらかの証券口座に一元化し、運用もどちらかが主担当となるやり方はあり得ますが、夫婦双方が運用に意欲を持っているか、個人にひもついた口座を開設せざるを得ないケースがあります。

個人名義の口座として必ず夫婦が別管理しなければならないものとしては、確定拠出年金口座とNISA口座があります。

確定拠出年金運用は「自己責任」だが夫婦の財産でもある

確定拠出年金口座については、多くは企業型確定拠出年金として開設されています。すでに会社員の500万人以上が会社の退職金・企業年金の一部(ないし全部)を確定拠出年金に移行されており、自分名義の口座を持っています。これは会社員の約7人に1人に該当します。

確定拠出年金口座は個人ごとに開設され、本人確認は比較的厳格に行われています。配偶者が代理でコールセンターに問い合わせたとき、IDとパスワードを承知していたとしても、残高通知や運用指図に応じないことのほうが多いほどです(個人情報の取り扱いは金融機関による)。

こうした個人情報保護ルールに加え、これは「自分の退職金である」、という意識もあいまって、確定拠出年金の運用について配偶者に相談をせず行う人のほうが多いと思われます。会社も「運用結果は自己責任」とあなたに強調して説明会を行うので、ひとりで決めてもいいもののように思えます。

しかし、これは「確定給付型企業年金の運用は会社が責任を負うが、確定拠出年金は自分で運用責任を負う」という意味であって、ひとりで好き勝手に運用してもいい、という意味ではありません。

ある企業の継続教育担当者は「自己責任ではなく夫婦責任ですよ」と述べ、投資方針を男性がひとりで決めてしまい、リスク過剰になることを戒めていました。これはなかなかユニークなアドバイスです。

もちろん、配偶者への相談は義務ではありません。しかし、その将来の受取額は夫婦の老後の生活に回される資金です。もし、配偶者に説明したら大反対されるようなリスク過剰な投資を行っているのだとしたら、夫婦間で運用方針決定を実際に協議するかはともかく「配偶者に説明できない投資方針を採用しない」くらいは意識するといいでしょう。

可能であれば、年に一度くらい配偶者に運用方針の説明をして納得を得る努力はしてみたいものです(配偶者も投資に興味があれば、無関心の配偶者より建設的なディスカッションになるかもしれません)。

なお、確定拠出年金口座は何度利益確定しても売却益非課税が続きます。一方で、60歳まで原則受け取れない、つまり資金用途は老後資金形成に限られます。

これを踏まえると、大きな損失を避け、中長期的にリターンを積み重ねていく運用方針がベターであり、分散投資とリバランス、および市場の騰落に左右されずに定期的な掛金拠出を行うことが有効だと思われます(掛金拠出は企業型確定拠出の場合会社が行うので、中断するリスクは低い)。

NISAは夫婦で年200万円の譲渡益非課税口座になる

NISAもまた、個人ごとの口座開設を行うことが原則です。住民票を提出し、本人確認を行い、本人の証券口座とセットで開設されることが基本となっています。

NISAについては国民ひとり1口座しか開設できないため、いずれの金融機関で開設するかがポイントになります。夫婦においてはさらに、「夫婦がそれぞれNISA口座を開設する」という選択肢も考えてみる必要があります。

現在年間100万円の入金枠(2016年からは年間120万円に拡充の予定)がありますが、夫婦がそれぞれNISA口座を開設すれば年間200万円(2016年からは240万円)の枠に倍増することになるからです。

確定拠出年金を除けば有価証券投資における譲渡益非課税枠はNISAくらいしかなく(財形住宅・財形年金はほとんどが預貯金)、貴重な非課税枠が2倍になるチャンスと考えれば、夫婦が利用したいところです。

今回検討しているように、夫婦それぞれが証券投資を行うシチュエーションであれば、NISA口座も夫婦双方が開設し活用することを前提としたいところです。

この点においては、積極的に情報交換し、「片方はNISAのメリットを知っていたけれど、片方は金融商品のひとつくらいに思っていた」ということのないようにしておきましょう。

さて、年間の所得の一部を投資に回すのであれば、年間100万円以上の入金を行うことは難しいと思われます(仮に年収800万円で20%をストックしたとしても、全額投資に回すのではなく預貯金も積むであろうから100万円には達しない)。

NISAの利用枠を年間の新規入金額が超えないのであれば(かつ、回転売買を前提としない資産形成であれば)、投資資金はNISAでの買い付けを優先して用いてもいいでしょう。

NISAにおいても確定拠出年金と同様に、入金から売買までの判断は夫婦それぞれが行うこととなります。相談は自由ですが、運用の売買を委任することは避けるべきです。

NISAは確定拠出年金と異なり、譲渡益非課税のメリットは売却すれば終了しますし、投資期間も限られます(ロールオーバーしても最大10年)。一方で解約制限はほとんどなく、いつでも換金し老後資産形成以外の資金ニーズにも対応できる便利さがあります。組み合わせて運用方針を考えてみるといいでしょう。

もうひとつ、工夫のしどころとしては、入金枠の活用です。夫婦がそれぞれの年収から一定率を資産形成に投じるとき、年収の高いほうの入金額が100万円を超えるケースではNISAの利用範囲を超過する一方、年収の低いほうは使い残し枠が生じる可能性があります。この場合は、貯蓄枠を調整する(夫が貯蓄額を多くし、妻は投資額を多くすることで、夫婦200万円の枠をできるだけ活用する)ことが有効です。

この場合、夫婦間で資産形成の状況や運用方針について緊密な情報共有が欠かせませんが、税制優遇枠は最大限に活用することができます。

DCもNISAも夫婦で定期的には情報共有したい

さて、NISAのまとめでいみじくも指摘したように、確定拠出年金口座もNISA口座も運用状況の情報共有がポイントになってきます。

夫婦が共同で資産形成していることについて、例えば下記のポイントは定期的に情報交換したいところです。

  • 「現在の資産残高」
  • 「昨年との増減額」
  • 「年間の新規拠出額」
  • 「運用方針」
  • 「購入した投資商品の種類や保有割合」

こうした情報について「夫婦それぞれ」の情報を交換するとともに「夫婦合計」の状況把握を行えば理想的な「夫婦共働きかつ夫婦共運用」のカップルになります。

銀行預金の残高についても同様のリストが作成されれば、夫婦間でお金の問題はほとんど透明になったといってもいいでしょう。

(さらに付け加えると、退職金ポイントの累計などから退職金の現在の受給権についても情報共有できるとさらに理想的です)

共働きで「稼ぎ」というエンジンをダブルで稼働させることがマネープラン上有利になることは誰でも知っています。これに加えて「投資」というエンジンもダブルで走らせることができれば、資産形成が強力に推進されることは間違いありません。

これはクアッドコア、つまり4コアのCPUを積んだスマホのようなパワフルさです。CPUでもムダな演算が2コアで走っていては意味がないのと同じで、運用でムダな売買が夫婦間であったり、リスク偏重になってはいけません。

夫婦共に運用する際の留意点には気をつけつつ、「クアッドコア資産形成」にぜひチャレンジしてみてください。

夫婦がそれぞれ確定拠出年金口座、NISA口座を持つ場合

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