【米ドル/円】 一時90円台を回復、FOMCの声明や欧州信用懸念の再燃でドル買い優勢に
【豪ドル/円】 追加利上げ観測の後退や信用リスクの再燃など受け軟調に推移
【※豪ドル/円は画面下段に掲載されています】
【米ドル/円】一時90円台を回復、FOMCの声明や欧州信用懸念の再燃でドル買い優勢に
昨日までの動向
米ドル/円は3日続けての陽線引けとなりました。
東京市場前半、米ドル/円は底堅く推移。
景気認識が改善された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を受け、米連邦準備理事会(FRB)が大部分の特別流動供給措置を2010年2月1日で終了することを背景に、ドル高/円安になった海外市場の流れを引き継いだもよう。また12月17-18日の日銀金融政策決定会合(12/17-18)で追加金融緩和政策が打ち出されるとの思惑も米ドル買い/円売り支援材料として寄与したようです。米ドル/円は90.00レベルを上抜け、一時90.20-25レベルにまで上昇する展開となりました。
東京市場終盤から欧州市場序盤にかけて米ドル/円は一時軟調に推移。
国内輸出企業などの戻り待ちの米ドル売り/円買いにより上値を抑えられ上値が重い展開を継続していましたが、欧州勢参入後、米ドル/円、クロス円が急落。16日、米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)はギリシャのソブリン債格下げを表明。さらに、S&Pはユーロ圏の金融機関が発行するカバードボンド(※社債のうち住宅ローン債権などの資産の裏づけのあるもの。通常の無担保社債と同様、金融機関などが自らが発行する。特定目的事業体(SPV)による保証を受けているので高格付けが得られる。カバードボンドは欧州系の銀行がコストの安い資金調達手段として利用している。)の格付けを見直すと発表したことが17日の欧州市場で蒸し返され、信用リスク懸念の再燃などによりユーロや英ポンドなどの欧州通貨が主要通貨に対して下落。また、リスク回避の円買い戻しも相まって、年末相場の薄商いのなか、米ドル/円は90円台前半から一時89.50-55レベルにまで急激に下げる展開となりました。
その後、欧州時間に発表された11月英小売売上高が-0.3%と事前予想の0.5%を大幅に下回ったことが嫌気され英ポンドが続落。また、日英欧の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、大手銀行を対象とする新自己資本規制の導入発表が嫌気され欧州各国の株式市場は金融セクターを中心に軒並み下落。ユーロ、英ポンド受け皿となった、米ドルは上昇し、米ドル/円は再び89円台後半レベルにまで上昇する展開となりました。
NY市場で米ドル円は底堅く推移。
NY時間に発表された米12月フィラデルフィア連銀業況指は第3連邦準備地区の製造業景況指数が総合で20.4となり事前予想の16.0や前月の16.7を上回る内容に。また米11月の景気先行指標総合指数は事前予想0.7%のところ結果0.9%と両米経済指標指標共に強い数字をなったことが好感され米ドル/円は一時90.30-35レベルまで上昇。ただ、米新規失業保険申請件数は事前予想の46.5万件を上回る48.0万件の悪化となったことやギリシャ格下げをきっかけとした世界経済回復への懸念によるリスク回避の円買いが根強いこともあり、その後は89.70-75レベルに反落し、89円台後半レベルでNYクローズを迎えました。
本日の展望
上値ではここ2日トライして上抜けることができなかった90.00レベルを上抜き、一時、一目均衡表の雲の下限をトライする形となりました。テクニカル的には米ドル/円の続伸を期待させる足形となっています。
90円台上抜け定着となった場合、一目均衡表の雲の下限(先行スパン1)が次の上値ターゲットとなりそうです。本日、一目均衡表の雲の下限(先行スパン1)は90.35レベルにまた、雲の上限(先行スパン2)は90.65レベルに位置しています。今後、この雲は右肩下がりに傾斜し、雲の下限は87.50レベルに切り下がる形となっています。ただ先行スパン1と2の幅(抵抗帯)は収縮し、約30ポイント程度まで薄くなっています。今後、薄くなった抵抗帯を上抜ける動きとなるかを見極めたい場面です。
一方、一目均衡表の雲(抵抗帯)を上抜け失敗となった場合、上値の重さを嫌気した戻り売りリスクにも注意を払いたい場面です。下値では11日に上抜け成功となった直近上げ幅のフィボナッチ31.8%押しに該当する88.50レベルを維持できるかが焦点となりそうです。
日銀金融政策決定会合や流動性の低下に要注意
材料としては東京時間正午過ぎに発表を控える日銀金融政策決定会合と白川日銀総裁の会見に注意を払いたいところ。1-3月にかけて追加緩和に含みを残す内容となれば相場が大きく動く可能性もあり要注意です。
また、マーケットは年末に向けての休暇モードとなっていることに加え、本日主だった米経済指標も発表されていません。市場参加者の減少により流動性も低下していることから、ちょっとした材料で値が飛びやすく、思わぬ価格変動にも注意を要したい場面です。
本日の主な指標
本日、米国の主な経済指標の発表は予定されたいません。
参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド
※当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。
【豪ドル/円】追加利上げ観測の後退や信用リスクの再燃など受け軟調に推移
昨日までの動向
豪ドル/円は昨日、実体部がしっかりとした陰線引け。
16日、RBA(豪州中銀)のバタリーノ副総裁が「金融政策の全体的なスタンスは通常の域に戻った」などと発言し、2010年2月に開催される次回のRBAの理事会での追加利上げ観測が後退したことが、引き続き豪ドル/円の調整売り要因として意識されたようです。
また、欧州のカバードボンドの格下げリスクによる信用不安のほか、中国株の下落などからリスク回避の円買い戻しが継続。リスク選好により買い進まれてきた豪ドルの手仕舞い売りにより、豪ドル/円は80.00台を割り込み79円台なかばレベルにまで下げる展開となりました。
また、米ドルの上昇などを背景に金先物が大幅に値を崩したことも資源国通貨である豪ドル売り要因として寄与したようです。
豪ドル/円 日足チャート
豪ドル/円 週足チャート
本日の展望
一目均衡表の雲(抵抗帯)を上抜け失敗となり反落。直近サポートとして目された一目均衡表の基準線を下回ると下げ幅を拡大し、強弱の分岐点80.00レベルも下抜く動きとなりました。また、18日、東京市場朝方の急落で9日の安値79.20-25を一時下抜いてきたことから、下値では11月30日の安値78.45-50レベルを視野に捉えての値動きとなりそうです。
なお、週足チャートでは一目均衡表の雲の上限を巡る攻防に直面しています。週足チャートでは雲の上限(先行スパン2)79.85レベルほぼ水平に推移しています。また雲の上限の下には一目均衡表の基準線が77.90から78.05にかけてほぼ水平に推移しており、雲の上限を割り込んだ際、サポートとして寄与しているようです。短中期的には78円台割れのレベルで下げ止まることができるかが焦点となりそうです。
なお、本日18日、東京市場朝方の動きでは欧州金融不安や前日の欧米市場での金融セクター下落を受けた信用不安などから年末薄商いのなか、米ドル/円、クロス円が下落。豪ドル/円も78円なかばレベルにまで一時急落する荒っぽい値動きとなっています。薄商いのなか値が軽く、乱高下する可能性があり、一段の注意を払う必要がありそうです。
本日の主な指標
本日、主な豪州の経済指標の発表は予定されていません。
参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド
※当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。