【米ドル/円】ギリシャやドバイ信用懸念でリスク回避の円買いが進行

昨日までの動向

米ドル/円は2日続けての陰線引けとなりました。
東京市場、米ドル/円は軟調に推移。
前週末に発表された米雇用統計の改善を受け、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が低金利政策の比較的早い終了を示唆するとの見方が出ていたものの、前日の講演で、低金利政策を長期間継続するとの見通しを改めて示し、早期利上げ観測が後退。7日の海外市場の流れを引き継ぎ、米ドル売り/円買いが優勢となりました。また、輸出企業のドル売り/円買いも重しとなったもよう。米ドル/円は一時89円台を割り込み、88.70-75レベルまで下げたのち小幅に値を戻し、その後は89円台を挟んだレベルでのもみ合いとなりました。

欧米市場に入り、米ドル/円は一段安。
ギリシャやドバイ信用懸念でリスク回避の円買いが進行しました。ドバイでの債務再編問題が長引く可能性があるほか、前日に有力格付け期間S&Pがギリシャの財政悪化を理由に格下げを示唆していましたが、8日、米格付け会社フィッチ・レーティングスが実際に格下げに動き、ギリシャ国債の格付けを「A-」から「BBBプラス」に引き下げ、アウトルックは引き続き「ネガティブ」としました。これを受け、ギリシャの株式市場は急落。この流れが欧米州株式市場に波及し、欧米の株式市場は金融関連銘柄を中心にほぼ全面安の展開となりました。

またECBのシュタルク理事が「危機は未だ終わっていない」、「予想外の事態はドバイだけではない可能性も」 、「金融市場の一段の悪化に見舞われる可能性」との見解を示した事や格付け会社ムーディーズが「米英Aaa格付けの限界を試す可能性」と指摘。米英の格付けについても言及した事に加え、「多くの格付けの国で財政危機が数年続く」と指摘。各国政府の財政悪化による格付け引き下げ懸念といった新たな火種が浮上したことで。市場のリスク回避志向が再燃し、安全資産としての位置付けから、円とドルが共に上昇。ユーロは主要通貨に対し全面安の展開となりました。

リスク選好姿勢の後退から円調達キャリートレードが解消され、円が主要通貨に対して買い戻され、クロス円が下落。米ドル/円もこの動きに牽引され一時88.10-15レベルにまで下げる展開となりました。

本日の展望

一目均衡表の雲の下限に上値を阻まれ反落。一時88円台割れを窺う展開となりました。11月27日に示現した84.75-80レベルより約6円の急上昇となり、短期的に買われ過ぎの状態にあったことなどから、ここ2日間の価格調整による下押しが先行しています。

また、今年の米ドル/円は雇用統計発表前後にドル高ピークを付けて、その後反落に転じるというパターンが多く見受けられ、今回も同様の展開を懸念する市場参加者も少なくなく、思わぬ深押しにも注意を払いたい場面です。

下値では一目均衡表の基準線(88.00-05レベル)や転換線(87.75-80レベル)が控えており88円台で下げ止まるかが焦点となりそうです。一方、上値では5日移動平均線が位置する89.00-05レベルや一目均衡表の雲の下限(先行スパン1)が位置する90.40-45レベルなどがあげられます。

本日の主な指標

東京時間24:00:(米)卸売在庫-10月 予想-0.5% 前回-0.9%

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。

【豪ドル/円】

昨日までの動向

豪ドル/円は2円を超える大陰線引けとなりました。
7日に発表された豪州7-9月期経常収支は事前予想の166億50百万豪ドルを下回る161億83百万豪ドルと予想より赤字額が縮小。またスティーブンス豪中銀総裁は「金融機関へのバランスシート規制は金利が低すぎると機能しない」、「世界の金融システムにそれほどの懸念はない」など発言しましたが指標発表にもRBA総裁発言にも市場の反応は薄く。リスク回避の円高により、豪ドル/円は下げ幅を広げる展開を継続しました。

豪ドル/円は80円台を割り込むと下げ幅を加速。一時79.60-65レベルにまで下落する動きとなりました。ドバイやギリシャの信用懸念によるリスク回避の円買いに加え、11月に中国経済指標の上振れによる中国の景気刺激対策の縮小の思惑や人民元切り上げ観測などもあいまって豪ドル売りが加速したもよう。豪ドル/円は昨日安値を付けた あとも戻りは鈍く80円台を挟んだレベルでのもみ合いとなっています。

また、NY原油先物相場は、景気回復の遅れとそれに伴う需給緩和懸念が重しとなり、中心限月1月物は5営業日続落。前日比1.31ドル安の1バレル=72.62ドルで、前日に続き、約2カ月ぶりの安値更新。また、リスク回避による米ドル高を受けNY貴金属市場は大幅続落となりました。ドル調達キャリートレードの巻き戻しが継続しており。金、原油などの資源価格が下落。これまでリスク選好相場で買われていた欧州通貨や資源産出国通貨の重しとなったようです。

豪ドル/円 日足チャート

豪ドル/円 週足チャート

本日の展望

昨日の下落により、一目均衡表の雲の上限・下限を共に下抜け下げ幅を加速。強弱の分岐点80.00レベルを巡る攻防に焦点が集まりそうです。直近の下値目途として昨日下落時にサポートとして寄与した一目均衡表の転換線が位置する79.65-70レベルがあげられます。一方、上値ターゲットとして一目均衡表の雲の下限が位置する80.80-85レベルや雲の上限が位置する81.60-65レベルなどがあげられます。

なお、週足チャートでは一目均衡表の雲の上限を巡る攻防に直面しています。週足チャートでは雲の上限(先行スパン2)79.65-70レベルほぼ水平に推移したのち、73.90-74.10レベルの方向に切り下がる動きとなっています。また、目先では「変化日」を示唆する雲のネジレが観測されています。

このまま雲の上限の上抜けを維持した場合、下値リスクが一服し、同ラインでの下固めに移行する展開が予測されます。一方、同ラインを下抜けた場合の豪ドル一段安にも注意が必要です。一目均衡表の上限を下抜けると11月27日の急落時と同様の値動きも予想される場面です。雲の上限を下抜けた場合、基準線が位置する78.00-05レベルを 視野に捉えることとなりそうです。

本日の主な指標

東京時間08:30:(豪)ウエストパック消費者信頼感指数-12月 結果-3.8% 前回-2.6%
東京時間09:30:(豪)貿易収支-10月 予想-18.05億AUD 結果-23.79億AUD 前回-18.49億AUD

10日の主な指標

東京時間09:30:(豪)新規雇用者数-11月 予想0.50万人 前回2.45万人
東京時間09:30:(豪)失業率-11月 予想5.9% 前回5.8%

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

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