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老後資金準備を減らさない工夫をさらに考える
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

老後資金準備を減らさない工夫をさらに考える

2011/11/9
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファイナンシャル・プランナーであり年金の専門家である山崎俊輔氏がやさしく解説していきます。
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老後資金準備は減らさないことが大切だ

老後資金準備という着眼点で資産運用を捉えるシリーズですが、老後資産形成において重要なことは「大きく減らさないこと」です。この点については、前回も資産運用方針においてリスク管理の方法を述べてきました。

特定のアセットクラスに対する集中投資を避け、インデックス運用を採用するだけで、価格変動のレンジは大きく狭まります。老後資産形成においては、投資を続けるためにも、リスクを抑え、価格変動幅を小さくする工夫が有効です。

今回はもう少し違ったアプローチで老後資金準備を減らさないテクニックを考えてみます。老後資産を「大きく減らす」もう一つのリスクが私たちにはあるからです。

取り崩さないような工夫を「強制的」に作る

老後資産を大きく減らすもう一つのリスクは、「取り崩し」です。老後資産形成は、取り崩さないことも重要です。
資産運用で大きく損失を出してしまうと回復が大変になるのと同様に、手元の資金ニーズで取り崩しをしてしまうと、その分を取り返すことは容易ではないからです。
1,000万円ある老後資産を軽い気持ちで20万円崩すことは簡単ですが、20万円運用で取り返すのは簡単ではありません。毎月の積立が仮に2万円でも10カ月かかります。

取り崩す、というのは、今ある老後資産形成用の口座から、お金を引き出すということです。それは自分で指図しなければ実行されないわけですから、自分自身の精神的な問題でもあります。
かといって、「辛くても、意地でも下ろすな」というような根性論を持ち出すのはあまりうまくありません。むしろ無理してガマンした末に一度取り崩しをはじめると、ずるずると解約してしまうおそれがあります。うまい方法はないものでしょうか。

1 面倒さを逆手に取る

まず考えられるのは「面倒さを逆手に取る」ということです。取り崩しが面倒であるということで、取り崩しをためらい、結果として取り崩しが実行されないのであれば、結果オーライというわけです。

具体的には証券口座で投資信託等を保有する方法が有効です。まず投資信託やETFを売却すると実際の資金の受け渡しに数日かかります。証券口座から銀行口座に入金指示をすれば翌日以降になることが多いでしょう。
「ああ、この口座からおろすのに3日かかるなら、やめておこうか」と自分に言い聞かせることができれば成功です。

財形年金なども解約には手間がかかります。日数がかかるうえ、会社によっては上司の社内決済が必要だったりしますので、「解約は面倒」の効果は高まります。
私の知人は、一般財形の解約をしようとしたら、『何を買うのか』『いくらおろすのか』『(車を買うなら)車種は何か』など根掘り葉掘り聞かれ、解約が嫌になったそうです。そこで財形制度加入そのものを止めるのではなく、あえて財形制度には入って面倒だから解約はできるだけしない、というのがうまいやり方です。

2 そもそも解約できなくする

次に考えられる方法としては「そもそも解約できない口座にする」という方法です。制度上も解約困難である口座としては、公的な制度の活用があげられます。個人型の確定拠出年金、国民年金基金、小規模企業共済などの制度を使うことができれば、解約の要件が厳しいため、そもそも解約できずに老後資産形成が続けられます。

個人型の確定拠出年金は、原則として60歳まで解約できません(50万円を超えてしまうと事実上解約は不可能)、老後資産形成に向いています。国民年金基金や小規模企業共済なども原則として給付時点まで受け取れません。小規模企業共済は個人事業主を廃業した場合や任意解約がありますが、利率は下がります。基本的に解約は損と考えたほうがいいでしょう。

上記3つの制度はいずれも税制優遇があるため、活用の妙味のある制度です。無理のない範囲で掛金を拠出しておくと確実な老後資産形成になるでしょう。

3 無理のない積立も有効

もちろん、取り崩さなくてすむ程度の積立にし、他の資金ニーズには別途資金準備を手当てすることも大切です。目の前のお金のやりくりにも窮するほどやみくもに老後資金準備の積立をして、結局老後資金準備額を全部取り崩すようでは意味がありません。

老後資金準備のための積立額は無理のない範囲で設定することや、残りの金額でしっかり生活を行えるよう家計管理に注意するようなことも、結果として老後資産形成を進展させる力となります。

実は老後資産形成は、住宅ローンや教育資金準備、毎日の家計とも密接に関連した総合問題なのです。

合理的ではない自分を認めること

行動ファイナンスの例が示すように、人は合理的な投資行動を取ることが難しい生き物です。というより、合理的な投資行動を取れないからと気に病む必要はないと思います。

もしあなたが合理的な人間であれば、年収の20%程度を貯蓄し、市場の動向に左右されずリスク商品を購入し、かつ安定的な資産運用を行いつつ、毎月の家計でも無理やムダのない消費を行うでしょう。しかし、そのようなスーパーマンは存在しません。映画のスーパーマンですら日々、人間として悩んでいたのですから、私たちが非合理的な行動を取れずに悩んでいてもいいのです。

投資について私たちが学ぼうとすると、マッチョ思想というか体育会的思想が顔を出すことが多くあります。ガマンや努力、根性や忍耐が必要だ、というものです。
私は、誰でも投資をする世の中において、そのような体育会系思想がなければ実行できない投資はおかしいと考えています。むしろ誰でもできることが重要です。
であれば、非合理的な自分であっても、資産形成を行えるように「仕掛け」を積極的に考えてみることは、うまいやりかたではないでしょうか。

自動的な引き落としを活用した積立は、任意拠出での資産形成よりよほど確実にお金を貯めさせます。口座を余裕資産の運用と老後資産形成で分けるようなことは行動ファイナンスに言うメンタルアカウンティングの悪例を逆手にとって老後資産を守る方法です。解約が面倒である口座の活用も、非合理的な自分が解約をする誘惑から老後のお金を守ってくれます。

非合理的である自分をあっさり認めてしまうと、資産運用の選択肢はまた違ってきますし、実行が簡単な方法を選ぶこともできます。非合理的な自分から、老後資産を守る方法を工夫してみるといいでしょう。

老後資産を「取り崩さない」工夫

非合理的な自分を認めると運用管理は楽になる

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