株式市場が「変化」した昨年末

明けましておめでとうございます。2014年も引き続き個人投資家の皆さまのお役に立つような知識・情報の提供に努めてまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。

2014年の相場がいよいよ始まりました。実は、2013年の年末にかけて、日本株には「変化」がありました。この変化を見抜き、いち早く投資行動に結びつけたかどうかで、運用成果も大きく変わる可能性があったのですが、皆さまはいかがでしたでしょうか。

今回のコラムは、筆者がどのようにして「変化」を感じ取ったかをお話したいと思います。もし、年末の「変化」を感じることができなかった方も、今後同様のことが起こった時にしっかりと「変化」を感じることができるよう、ぜひ注目すべきポイントを掴んでおいてください。

12月25日、株式市場が「変化」した

筆者が「今までの相場と変わった」と強く感じたのは、12月25日でした。実は、12月24日までは、日経平均株価は強い動きを続けていたものの、筆者の持ち株やウォッチしている銘柄(約200銘柄)の多くが相変わらず冴えない動きを続けていて、「非常に面白味のない相場で、全く勝負する場面にはないなあ」と感じていたものです。

実際、12月24日は、日経平均株価こそ前日比プラスだったものの、騰落銘柄数をみると値上がり銘柄数367に対し値下がり銘柄数は1275に達しており、「これで日経平均株価がプラスって冗談でしょ?」と言いたくなるようなひどい相場内容でした。

12月25日は、相変わらずTOPIXよりも日経平均株価の上昇率の方が大きく、先物主導の相場が続いているようにも見えました。ただ個別銘柄をみると、それまで非常に冴えない動きが続いていた建設株が一斉に急上昇するなど、明らかにそれまでとは異なる動きが生じました。この日はTOPIXの上昇率はわずかだったものの、騰落銘柄数は値上がり755、値下がり870と、24日よりかなり状況は改善されました。

25~26日にかけウォッチ銘柄の多くが上昇トレンドに転じた!

そして、翌26日になると、今までの相場とは一転、TOPIXの上昇率(1.68%)が日経平均株価の上昇率(1.03%)を大きく上回り、騰落銘柄数も値上がり1620、値下がり120とまさに全面高の展開となりました。

また、筆者は投資候補とする銘柄(約200銘柄)の株価チャートを毎日チェックして、新たに上昇トレンドや下降トレンドに転じた銘柄がないかどうか確かめるようにしています。25日の夜にいつものようにチェックをすると、上昇トレンドに転じた銘柄がいくつも見つかりました。これは24日までの相場では見ることのできなかったものです。

さらに翌26日には、非常に多くの銘柄が上昇トレンドに転じ、筆者はこの時点で相場つきが明らかに変わったと確信できました。

筆者は、投資候補銘柄が上昇トレンドに転じた場合、できるだけ速やかに新規買いすることにしています。実際、25日~27日にかけて、かなり多くの新規買いおよび、保有株につけていたヘッジ空売りの買い返済を実行しました。

個人投資家の換金売りが止まるのが12月25日だった

実は、12月25日は年内受渡し最終日で、譲渡益の軽減税率(10.21%)の適用を受けるための最終売買日でした。実際、大手証券会社には、売却注文や、軽減税率適用についての問い合わせの電話が12月25日まで鳴り止まなかったそうです。

筆者は、以前コラムで軽減税率適用のための個人投資家の換金売りはそれほど心配するレベルにはならないだろう、と書きましたが、実際は、かなりの売り圧力になっていました。事実、12月第3週(12月16日~20日)の投資主体別売買動向をみても、個人投資家は1兆円も売り越していました。

それでも、筆者は12月25日を過ぎて、12月26日になれば個人投資家の換金売りが収まり、相場の雰囲気が変わる可能性があると思い、個別銘柄の動きを日々ウォッチしていました。すると、上述のように、12月26日ではなく12月25日になり、変化の兆候がいくつか現れた、ということです。

日経平均株価とTOPIXの強弱からも相場つきの変化が分かる

12月25日前後の、日経平均株価とTOPIXの値動きをみてみましょう。

  日経平均株価 前日比(%) TOPIX 前日比(%)
12月17日 15278円63銭 +0.83% 1232.31 +0.77%
12月18日 15587円80銭 +2.02% 1250.49 +1.48%
12月19日 15859円22銭 +1.74% 1263.07 +1.01%
12月20日 15870円42銭 +0.07% 1261.64 △0.11%
12月24日 15889円33銭 +0.12% 1257.55 △0.32%
12月25日 16009円99銭 +0.76% 1258.18 +0.05%
12月26日 16174円44銭 +1.03% 1279.34 +1.68%
12月27日 16178円94銭 +0.03% 1290.07 +0.84%
12月30日 16291円31銭 +0.69% 1302.29 +0.95%

これをみると、12月25日までは日経平均株価がTOPIXより強い動きが続いていたものの、26日以降は逆にTOPIXが日経平均株価に比べてかなり強い動きになっていることが見て取れます。

ちなみに、12月25日には12.72倍にまで上昇していたNT倍率は、12月30日には12.50倍まで下がっています。NT倍率が低下傾向にあると、個人投資家にとって利益を上げやすい相場環境となります。

筆者も実際、12月24日まではいくら日経平均株価が上昇しようとも少ししか増えなかった利益が、12月25日以降は日々大きく増加していきました。

さすがに遅くとも12月27日の時点までに、相場つきが大きく変わっていることに気がつくことができないと、「できるだけ安く買い、高く売る」ことは難しいでしょう。

上昇トレンド転換銘柄がどれくらい増加しているかを要チェック

筆者が12月25日を境に相場つきの変化を感じ、12月26日にそれを確信した根拠は以下のとおりです。

(1)TOPIXの上昇率が日経平均株価の上昇率を大きく上回った

(2)値上がり銘柄数が急増した(=全面高の相場つきになった)

(3)建設株など、それまで弱い動きを続けてきた銘柄が反転上昇の動きをみせた

(4)株価が25日移動平均線を上回り上昇トレンドに転じる銘柄が急増した

この中でも、筆者は(4)により変化を察知するのが最も実感を持ちやすいと思っています。実際、毎日200銘柄の株価チャートをチェックしていると、変化の兆候をいとも簡単に感じることができます。

200銘柄は多いと感じる方は、50銘柄程度でもよいと思います。慣れてくれば、50銘柄の株価チャートをチェックする時間は5分もかかりません。

相場の変化の兆候をできるだけ早く感じ取り、迅速に投資行動に移すことができれば間違いなく投資成果は向上します。ぜひ参考にしてみてください。