アベノミクスに沸いた2013年前半相場

早いもので2013年もあとわずかとなりました。本年も本コラムをご覧いたきましてありがとうございました。

今回は2013年の最終回ですので、今年の相場を振り返り、来年の相場の展望を考えてみたいと思います。

まず、今年の相場を振り返ってみることにしましょう。

今年前半は、なんといってもアベノミクスによる10年に1度の本格的な上昇相場だったことが記憶に新しいでしょう。

筆者が本コラムや著書で繰り返し述べている「トレンドに従った売買」を実践すれば、昨年11月下旬~今年2月ごろの、株価の立ち上がりの段階で、個別銘柄をかなり安く買い仕込むことができました。今年2月ごろまでに買い仕込みをした個人投資家は、今年の前半だけでかなりの利益を得ることができたはずです。

しかし、今年4月以降に買い始めたり、資金を大きく追加した個人投資家の中には、逆に5月下旬以降の下落で大きな損失を被った人もいたようです。

年後半は我慢の続く相場に

5月23日の急落以降は、日経平均株価、TOPIXとも多少強含み気味ながらボックス(横ばい)相場が続きました。

ボックス相場では、株価に明確なトレンドが出ないため、利益を上げるのが難しくなります。また、銘柄により値動きがバラバラで、年後半は弱含みで推移した銘柄の方が多かったように感じます。

でも、トレンドに従った売買を実践することで、手掛けている銘柄の値動きがさえなかったとしても、年後半の損益は悪くともトントンないし若干のマイナスで抑えることができたはずです。

昨年11月中旬~今年2月ごろまでに買い仕込みができた個人投資家は、年後半こそ利益になりにくかったものの、年間トータルでは大幅なプラスで終えることができたのではないでしょうか。

上昇トレンドの初期に買うことの重要性、そして適時の損切りが大事であるということが改めて実感できた1年間でした。

なお、4月~5月ごろつけた高値を超えて年後半に上昇した銘柄も少なくありません。こうした銘柄は来年以降も株価が強く推移することが期待できますから、今後も要注目です。

現在は指数こそ堅調だが個別銘柄は…

では、現在の状況はどうでしょうか。12月20日終了時点では、日経平均株価やTOPIXといった指数こそ高値圏で推移していて、年初来高値をうかがう動きとなっているものの、個別銘柄をみるとバラバラの動きです。

筆者が毎日株価をウォッチしている銘柄のうち、7割程度は日足チャートでみて下降トレンドが続いています。

指数だけがスルスルと上昇しているだけで全く儲からない相場が続いている、というのが個人投資家の実感ではないでしょうか。

個人投資家に人気の高い銘柄を中心に、来年からの証券税制変更(税率アップ)に伴う個人投資家からの換金売りも続いている模様で、これも株価低迷の一因です。

ただし、週足チャートや月足チャートでみれば上昇トレンドにある銘柄も多く、短期的な調整の範疇といえます。欲しい銘柄があれば、日足チャートが上昇トレンドに転換するのを待って買いを入れればよいと思います。

上昇第2波での中心銘柄はなにか?

続いて、来年の相場展望です。何と言っても、来年1月からスタートするNISA(ニーサ)への期待が高まります。 各証券会社では、本日12月26日からNISA口座での買い付けが可能となっています(ただし証券会社によっては1月6日からスタートのところもあり)。NISAのスタートによって、どのような銘柄が買われるかを見極めていきたいところです。

また、来年に日経平均株価やTOPIXが今年の高値を更新し、上昇第2波動入りすることを前提とすると、その時の中心銘柄は、今年前半に活躍して株価が大きく上昇した銘柄とは異なるはずです。現に、今年前半の上昇第1波では不動産株、その他金融株、バイオ関連株などが活況になりましたが、これらの銘柄の多くは、今年4月~5月につけた高値をいまだ超えられずにいます。

まだ今後のシンボルストックになりうるような銘柄は出てきていませんが、今後に注目していきましょう。

最近はスマホ・ゲーム関連の新興市場銘柄がバブル気味に推移していますが、2005年の新興市場バブルのようなことが起これば、想定外の大きな相場に発展する可能性もあります。バブルは初動段階で乗ることができればそれほど怖いものではありませんから、これらの銘柄群にも期待したいところです。

消費税増税による景気腰折れ懸念は?

一方、来年の相場のリスク要因として真っ先に挙げられるのが来年4月からの消費税増税による景気冷え込みの懸念です。消費税率が8%に引き上げられることで消費が落ち込むことは避けられません。

これに対し、政府は5兆円の経済対策を実行しますので、4-6月期、7-9月期あたりまでは景気は底堅く推移しそうです。しかし、10-12月期以降は経済対策の効果が弱まり、景気が失速する恐れが高まります。

仮にそうなるとすれば、実際に景気が失速するより前から株価は下落を始めるでしょう。したがって、来年春以降の株価の推移には十分に気を配る必要があります。もっとも、トレンドに応じた売買をしている限りは、下降トレンドになれば売却なり持ち株を縮小すればよいだけですから今からそんなに心配する必要はありません。

アメリカの金融緩和縮小・終了の影響は?

アメリカの金融緩和縮小・終了に伴う株式市場への影響も懸念されます。

12月18日のFOMCにて、2014年1月より金融緩和の規模縮小が決定されましたが、これを受けてアメリカ株の株価は大きく上昇しました。株式市場では金融緩和の縮小自体はすでに織り込み済みのようです。

規模は縮小となるものの、当面は金融緩和自体は継続されるものと思われます。金融緩和が続く限り、株式市場に緩和マネーが流入することになりますから、アメリカ株の下支え要因にはなります。しかし、ゆくゆく金融緩和が終了すれば、緩和マネーの流入が止まりますし、その後金融引き締めに転じれば、逆に市場からマネーが吸い上げられることになります。これがアメリカ株へ与える影響は大きいと思われます。今後のアメリカ株の動向には引き続き注視が必要です。

あと、テクニカル的な指標からは、アメリカ株のVIX指数が低水準となっていることが個人的には気にかかります。現在は多くの投資家の脇が甘くなっている状態です。このような時は、急落に注意が必要です。近年は、数年に1度は大きな下落がやってきていますし、アメリカ株が急落すれば日本株も巻き添えを食らうのは間違いありませんから、そうなれば素早い損切りなど臨機応変な対応が必要となってきます。

現在の日本株は月足チャートでみた長期的昇トレンドにあるのは確かです。いくつかのリスク要因はあるものの、来年の日本株相場にも大いに期待したいものです。