2012年の日経平均株価は22.9%上昇、対する個人投資家の運用成績は?
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
株価の力強い上昇が続いた2012年の年末の流れが年明けも続き、1月4日の大発会での日本株は日経平均株価が昨年末より300円近く上昇するなど幸先のよいスタートとなりました。
今回は2013年最初のコラムですので、2012年の日本株を振り返るとともに、2013年はどのような投資戦略をたてていくべきかを考えてみたいと思います。
2012年の日本株を振り返ると、年初から3月まで大きく上昇を続けた後急落、6月に底打ちしたものの11月中旬まで安値持ち合いと冴えない相場でした。しかし野田前首相の解散発言を受けて株価は急上昇し、大納会の12月28日には10,433円63銭と2012年の最高値をつけました。
2011年末と2012年末の終値を比較すると、8,455円35銭から10,395円18銭へと22.9%の上昇をみせました。
筆者自身も、特に11月中旬の「解散発言」後は保有株の含み益が大幅に増加し、日経平均株価の上昇率を大きく上回る利益(含み益含む)をあげることができました。
ところが、昨年12月26日付の日本経済新聞に掲載されていた個人投資家へのアンケート結果によると、2012年の運用成績がプラスだった個人投資家は29%にとどまっています。運用成績がプラス10%以上だった個人投資家はわずか10%でした。
アンケートの締め切り後に年末に向けて急速に株価が上昇したことや、回答した個人投資家が日本株だけで運用しているわけではないことを考えると単純に比較はできませんが、日経平均株価の上昇率の半分であるプラス10%の運用成績でさえ、個人投資家の10人に1人しか上げることができていない点に筆者は驚きました。
もし本コラムをご覧の方で、どうも運用成績が振るわない、という方がいらっしゃるならば、本コラムや拙著で紹介しているように、株価のトレンドに従った売買(上昇トレンドなら買い・保有、下降トレンドなら売却・非保有)をされてみてはいかがでしょうか。
中長期的な上昇トレンド入りを果たした日本株と為替相場
昨年11月中旬の「解散発言」以降、日本株の大幅上昇とともに進行したのが、為替相場での円安です。円安が続く中ではアメリカ株がいくら下がろうとも、連れ安どころか逆に上昇をする日本株に筆者は頼もしさを感じました。
長期的には日本株と為替相場の連動性はそれほど高くないものの、少なくとも中期的には「円安」=「日本株高」という図式は続きそうです。従って、為替相場の動向には引き続き常に注視していく必要がありそうです。
実は、昨年11月中旬以降の株高・円安により、テクニカル面からみると、日本株、円-米ドルレートとも、中長期的な底入れを果たしています。
本コラムや拙著で何度かご説明していますが、株価と移動平均線との関係から、株価のトレンドを知ることができます。これは為替レートの場合も同じです。
- 短期上昇トレンド:株価が25日移動平均線より上+25日移動平均線が上昇
- 中期上昇トレンド:株価が13週移動平均線より上+13週移動平均線が上昇
- 長期上昇トレンド:株価が12カ月移動平均線より上+12カ月移動平均線が上昇
日経平均株価、円-ドルレートとも、長期上昇トレンドの条件をみたしています。さらに24カ月移動平均線をも上回っていることから、上昇トレンドの確度がより強固なものとなっています。
短期的な調整局面は押し目買いのチャンスに
このように、日経平均株価が中長期的な上昇トレンド入りを果たしている一方、短期的には騰落レシオが160%を超えていたり、日経平均株価の25日移動平均線からの乖離率が10%近くに達するなど、調整局面が近づいている印象を持ちます。
また、先送りされた「財政の崖」問題が今後蒸し返されてアメリカ株が大きく下落するようなことがあれば、日本株への影響も避けられないでしょう。
しかし、中長期のトレンドが上昇トレンドを続けている限りは、調整局面は押し目買いの絶好のチャンスとなります。
筆者は、日経平均株価でいえば、25日移動平均線に近づいた局面が押し目買いのタイミングの1つと考えます。もし25日移動平均線を割り込んだ場合は、再度25日移動平均線を上回って上昇トレンド復帰が確認できた時点で買うようにします。個別銘柄も日経平均株価と同様の方法で考えればよいでしょう。
バブルになるなら2005年型バブルか、それとも1999年型バブルか
さて、市場関係者の間では、この株価上昇が景気実態を伴わないバブル相場だという意見があるようですが、株価は景気よりも6カ月~9カ月程度先行して動くものですし、仮にバブル相場であるならば、自らの運用資産を大きく増やすことのできる絶好のチャンスですから筆者としては大歓迎です。
それよりも筆者が気になるのは、バブル相場となった場合、2005年のように、幅広い銘柄が満遍なく上昇するパターンとなるのか、1999年のITバブルのように一握りの銘柄のみが大きく上昇するパターンとなるのか、という点です。もし後者のバブル相場となった場合は、銘柄選択を誤ると、全く儲からないという事態に陥ってしまうからです。
1999年のITバブル相場のときは、年前半は多くの銘柄が上昇しましたが、年後半は日経平均株価および一部の銘柄は上昇を続けたものの、その他大勢の銘柄の株価は逆に下落してしまいました。
従って、今回の上昇相場でも、近いうちに訪れるであろう短期的な調整局面における銘柄ごとの株価の動きに注意する必要がありそうです。今後大きな株価上昇が期待できる銘柄は調整局面であっても株価の調整は浅く済む一方、そうでない銘柄は株価が深押しし、下降トレンドに転換してしまう恐れもあると思われます。
大発会の大幅高銘柄から今年のスター株が生まれる?
市場関係者の間でよく言われるのが、「大発会で大きく上昇した銘柄の中から、その年に活躍するスター銘柄が生まれる」というものです。筆者自身、この点について詳しく検証したことがないので信憑性がどの程度あるか分かりませんが、1月4日に大きく値上がりした銘柄についてはチェックしておくとよいかもしれません。
また、1月4日の業種別騰落率のベスト5とワースト5は次のとおりです。
ベスト5 | ワースト5 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1位 | ゴム製品 | +6.54% | 33位 | 鉱業 | +0.85% |
2位 | 保険業 | +5.53% | 32位 | サービス業 | +1.21% |
3位 | 輸送用機器 | +5.34% | 31位 | 小売業 | +1.24% |
4位 | 電気・ガス業 | +5.22% | 30位 | 情報・通信業 | +1.24% |
5位 | 証券・商品先物取引 | +4.32% | 29位 | 陸運業 | +1.75% |
1月4日は多くの業種が大幅に値上がりしたため、ベスト5に入らなかった業種でも期待できるものが多々あります。筆者個人的には、11月中旬以降株価が大きく上昇している9位のその他金融業(3.82%)や20位の不動産業(+2.80%)にも期待しています。それよりも、この活況相場にかからわず上昇率が低くとどまった業種については今後の株価の動きに少し注意が必要かもしれません。ワースト5に入った業種は為替相場に業績が影響されない内需系のものが多いので、今後円安がさらに進んだ場合は円安メリットを受ける業種に比べて株価のパフォーマンスが低くなる可能性は否定できないと思います。
最後に、筆者の2013年の日経平均株価の高値予想はズバリ15,000円とします。これに全く根拠も自信もありませんが、大方の予想を良くも悪くも裏切るのが株式市場です。市場関係者の多くが高値12,000円と予想する中、誰もが驚くサプライズ的な株価上昇を大いに期待したいものです。