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アメリカ発「財政の崖」問題-個人投資家はどう対処すべきか
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

アメリカ発「財政の崖」問題-個人投資家はどう対処すべきか

2012/11/15
ここに来て、アメリカの「財政の崖」問題が大きくニュースや新聞などでも取り上げられるようになりました。
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「財政の崖」問題とは何か?

ここに来て、アメリカの「財政の崖」問題が大きくニュースや新聞などでも取り上げられるようになりました。アメリカ大統領選挙でオバマ氏の再選が決まった11月7日のアメリカ株は、NYダウが300ドルを超す値下がりとなりましたが、これは「財政の崖」問題の解決が困難を極めるのではないかという懸念が下げの要因とされています。

ところで「財政の崖」とはいったい何なのでしょうか? 「財政の崖」とは、ブッシュ減税(2,250億ドル)の失効による増税、オバマ大統領の景気対策(1,190億ドル)の終了、歳出の自動削減措置(540億ドル)の発動などにより、2013年年初に総額4870億ドル(日本円で約40兆円)もの財政引き締めが行われることをいいます。現状のまま何も対策を打たなければ、2013年初めには巨額の財政引き締めにより、アメリカ経済に非常に大きなマイナスインパクトをもたらすとして、懸念が広がっているのです。

最終的にこの「財政の崖」問題がどのような結末をもたらすのかは誰にもわかりません。ただし、政治の対応が遅々として進まないようであれば、「催促相場」により株価は大きく下げる可能性もあることは注意すべきでしょう。

どんな結末にも対処できる策を取ることが重要

皆さんに注意していただきたいのは、この「財政の崖」問題につき、「結末はこうなる」と決めつけて行動するべきではないということです。

評論家や専門家の人たちは「政治的決着が図られて解決に向かうのであまり心配ない」とか、「アメリカ経済はリセッションに陥り株価の大幅な下落は避けられない」などと様々な予測をしているようですが、私たち個人投資家はこれらの意見を鵜呑みにして行動してはなりません。

財政の崖問題は心配いらないという専門家のコメントを信じて大量の持ち株を保有し続けた結果、株価が大きく下落して多額の損失を被るかもしれません。逆に、財政の崖問題は深刻で、株価の暴落は必至という専門家のコメントを信じて持ち株をすべて売却した結果、株価は逆に上昇して利益を逃してしまうかもしれません。

評論家や専門家は自らの予測が外れても、懐は痛みませんし、予測が外れた時に投資家に対して責任を取ることもありません。しかし、彼らの予測を信じて行動した個人投資家は、その予測が外れたら自分自身の資産が減ってしまうのです。

結末は誰にも分かりません。ならば、ある1つの結末に賭けて行動するのではなく、どのような結末になっても乗り切れるような対策、特に大きな損失を生じさせないような対策を立てるのが、株式マーケットで敗者にならずに生き残る術です。

日本株への影響はどうなるか?

11月7日のアメリカ株の急落を受け、翌11月8日の日本株も大きく下げました。ただし、NYダウと比べると、日経平均株価の下落率は小さなものでした。それでも、8日のアメリカ株続落によって、翌9日の日本株も下落、日経平均株価は日足チャートでみた下降トレンド転換が濃厚になるなど、アメリカ株下落による日本株への影響は避けられそうもありません。

実は、アメリカ株は大統領選挙の投票日より前からすでに軟調な動きが続いていました。それに対し、日本株は上昇こそしないものの、強含みで推移していたのです。この理由は為替レートが円安気味になっていたからであり、このことから、為替レートが円安に振れている限り、アメリカ株が多少下がっても日本株にはマイナスの影響は及ぼさないと推測できます。

とはいえ、アメリカ株が今後大きく下がるようなことになればさらなる日本株への影響も避けられないでしょう。また、大統領選挙終了後、為替レートが再びじわじわと円高方向に向かっている点も日本株にはマイナス要因です。

結局、為替レートが円安方向であれば下押し圧力は弱まるものの、アメリカ株が大きく下げれば日本株も影響を受けると言わざるを得ないのが結論です。

「想定されている危機」と「想定されていない危機」

株価が大きく下落するときは、市場参加者が想定している原因によるものなのか、そうでないかにより、下落の仕方が異なります。

株価下落の原因が分かっている「想定されている危機」の場合、株価はじわじわと下がっていきます(Aパターン)。

一方、突発的な事象がおこるなど「想定されていない危機」が株価下落の原因の場合、株価は突然大きく下がります(Bパターン)。

Aパターンは、2011年夏ごろにヨーロッパ債務危機問題を懸念して株価が大きく下がったときのような場合です。

Bパターンは、2011年3月の東日本大震災により株価が急落したときのような場合です。

Aパターンの場合、最終的には株価は大きく下げることも多いのですが、その前にすでに株価が下降トレンド入りしていることが往々にしてあります。したがって、下降トレンド入りした時点で保有株を減らしてキャッシュポジションを高めるなど、事前に対応が可能です。

Bパターンの場合、上昇トレンドの最中に前触れなく急落することもあり、株価の下落が事前には予測できないわけですから、保有株を減少させるなどの対策は不可能です。したがって、プットオプションを少量買っておくといった万が一に備えた対策を取ることとなります。

今回の「財政の崖」問題は、株価下落リスクの要因が分かっているわけですからAパターンになります。ですから、株価が大きく下げる前の、下降トレンド入りして間もない段階で保有株を圧縮するなりしてキャッシュポジションを高めておけば、さらなる下落に備えることができます。

具体的な対処法は? -筆者ならこうする

11月9日時点で、日経平均株価、TOPIXとも日足チャートでは上昇トレンドが終わり、下降トレンドに移行しそうな形になっています。

筆者であれば日経平均株価の下降トレンドが続く間は保有株はできるだけ圧縮し、キャッシュポジションを高めてしばし守りを固める場面と判断します。

ただし、今の日本株は「二極化相場」が続き、株価が上昇トレンドにある銘柄と下降トレンドにある銘柄とが混在しています。

そこで、「日経平均株価が下降トレンドになったから保有株をすべて売却する」というのではなく、あくまでも個別銘柄ごとに判断を下すべきでしょう。

具体的には、上昇トレンドにある銘柄は保有を続けますが、25日移動平均線を明確に下回るなど、上昇トレンドの終了の可能性が高まったら、持ち株は売却したり、ツナギ売り(保有株はそのままで同じ銘柄に空売りをする)をするようにします。大きく上昇したものについては一部利益確定売りをするのも可です。

その上で、投資可能資金のうち株式に投資する割合を抑えてキャッシュポジションを維持し、次のチャンス(例えば日経平均株価やTOPIXが再度上昇トレンドに転じた場面)を待つことにします。

つまり、上昇トレンドにある銘柄は保有してかまわないが、日経平均株価が下降トレンドにあるのだから新規に買いを次々と入れる局面でもない、よって株式への総投資額は投資可能資金の例えば30%とか50%程度に抑えておきましょう、ということです。

最近はワントレンドが短すぎて本当にやりにくい相場が続きますね。せめて上昇トレンドが3カ月程度続けば、と思う今日この頃です。

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