長期的な上昇トレンドに乗る銘柄をいち早く見つける方法とは?
今年も早いものであと2カ月弱を残すのみとなりました。皆さんの本年の株式投資の成果はいかがでしょうか。
今年の日本株の特徴として挙げられるのはやはり「二極化」です。春先までの全体的な上昇相場終了後、日経平均株価やTOPIXといった株価指数こそぱっとしなかったものの、新興市場の好業績銘柄を中心に、力強く上昇を続けている銘柄も数多く見受けられます。その一方で、株価の下落が止まらず、ここ最近の4-9月期の業績下方修正でさらに売り込まれる銘柄も東証1部上場の主力株をはじめ目立っています。
個々の投資家がどんな銘柄に投資したかによって、今年の投資成績は雲泥の差になっていることでしょう。
株価が大きく上昇する銘柄は、当然ですが上昇トレンドを描きます。したがって、上昇トレンドのできるだけ初期の段階で買っておくことが大きな利益につながります。
さらに、上昇トレンドの中でも強く、かつ長期的なトレンドに乗ることができれば、投資金額の2倍、3倍の利益を得ることも決して夢物語ではありません。
そんな強力かつ長期的な上昇トレンドを見極めるために有効なのが、「節目の突破」です。
日足チャートをみただけでは重要な節目の突破は分からない
以下の3社(サンフロンティア不動産(8934)、Jトラスト(8508)、オリエントコーポレーション(8585))の日足チャートをご覧ください。
サンフロンティア不動産(8934)
Jトラスト(8508)
オリエントコーポレーション(8585)
3社とも最近の株価は順調に上昇しており、11月2日時点で、いずれも上昇トレンド(25日移動平均線が上向き+株価が25日移動平均線より上)にあります。
したがって、上昇トレンドが続く限りこれらの銘柄は保有を続けて問題ないですし、押し目は買って出る局面となります。
でも、この日足チャートを見ているだけでは気づかない、とても大切な事実があります。それが株価の「重要な節目の突破」なのです。
「節目」というのは、株価の過去の高値のことです。その意味では日足チャートでみた直近高値も節目ですし、前回のコラムでご説明した「株価の壁」も節目です。
しかし、「節目」としてより重要なのが、週足チャートや月足チャートでみた過去の高値なのです。
一般に、日足チャートで読み取れる株価のトレンドは短期的なものです。一方、週足チャートでは日足チャートより長い中期的なトレンドがわかります。さらに月足チャートでは、年単位の長期的なトレンドを把握することが可能です。
節目の突破は、強い上昇トレンドが継続していることを示す有力なサインとなりますが、これが週足チャートや月足チャートで表れた場合、より長期的な上昇トレンドを示唆することになるのです。
各社の週足チャートで節目突破をチェック
サンフロンティア不動産の週足チャートをみると、2012年3月に19,490円の高値をつけていることが分かります。これを突破したことで、中期的な強い上昇トレンドが継続していると判断できます。
サンフロンティア不動産(8934) 週足
よほど相場環境が悪くない限り、重要な節目を突破すると、そこから株価は大きく上昇するものです。サンフロンティア不動産の場合も、ややピッチが速すぎる感もあるものの、19,490円を突破してからわずか3営業日で28,500円まで駆け上がりました。その後も強含みの展開で11月2日には29,500円の高値をつけています。
同様にJトラストの週足チャートもみてみましょう。重要な節目である2012年4月高値999円を10月22日に超えると上昇が加速し、節目超えから9営業日後の11月2日には1,324円まで上昇しました。
Jトラスト(8508) 週足
オリエントコーポレーションの週足チャートをみると、2011年3月に130円の高値をつけていますが、2009年6月に131円の高値をつけていることが分かります。2011年3月は、2009年6月の131円を目前に失速し、二番天井のような形になってしまいました。したがって、この場合の重要な節目は2009年6月の131円となります。これを2012年10月9日に突破した後は、10月29日に164円の高値、11月2日終値も163円と、順調に高値追いを続けています。
オリエントコーポレーション(8585) 週足
月足チャートでさらに長期的な株価の上値メドを知る
このように、上記3銘柄は、週足チャートでみた中期的な節目を突破して強い上昇トレンドが続いていることが分かります。
では、月足チャートではどうなっているでしょうか(紙面の都合上月足チャートの掲載は省略しますが、ぜひご自身でお確かめ下さい)。
サンフロンティア不動産は、2009年6月に30,850円という高値があります。この近辺で一旦止まるかもしれませんが、もし30,850円を超えてくると、2008年5月の126,000円まで節目らしい節目はありません。チャート分析の観点からは、30,850円を超えると次は長期的に126,000円を目指す動きになることが大いに期待できます。
Jトラストの場合は、1999年9月につけた1,583円までさかのぼらないと次の節目はありません。これを超えれば節目は存在せず、まさに青天井の状態になります。
オリエントコーポレーションは2007年12月と2008年5月に230円の節目があり、ここを超えれば次は2005年11月の1,176円を目指すことになります。
- 注: いずれの株価も株式分割・併合による影響を調整済のもの
過去の株価の節目は上昇が一旦止まりやすいところでもあります。そのため、月足チャートでみた節目は、週足チャート上の重要な節目を突破した後の株価の上値目処を探るのにも有効です。
さらに、月足チャート上の節目を通り過ぎて上昇するならば、長期的な上昇トレンド継続が明確になったことになりますから、長期保有で大きく利益を取るチャンスとなります。
「高値掴み」のリスクはどうしてもつきまとってしまうが…
ただし1点注意したいことがあります。上で掲載した各社の週足チャートをみると分かるように、株価が重要な節目を突破するタイミングでは、すでに底値から株価が大きく上昇していることが多いものです。
過去の節目突破は、強力かつ長期的な上昇トレンドが大いに期待できるのですが、残念ながら100%というわけにはいきません。そのため、時には重要な節目突破間もないタイミングで買ったにもかかわらず結果的に「高値掴み」となってしまうリスクもあります。
したがって、高値掴みによる損失の拡大を避けるために、例えば日足チャートで上昇トレンドが止まった時点で損切りするなど、損切りルールを明確にしておく必要があります。
また、重要な節目突破は強力な新規買いのタイミングであることには間違いないのですが、過去の重要な節目を突破してくるかなり前の時点で、日足チャートでは上昇トレンドに転じているはずです(今回紹介した3社もそうなっています)。ですから、まずは日足チャートで上昇トレンドになったらすぐに買いを入れておき、その上で節目突破を追加買いのタイミングと捉えるのがよいと思います。
株価が重要な節目を超えれば必ず大きく上昇するわけではありませんが、大きく上昇した銘柄のチャートを振り返ると、必ずといってよいほど過去の重要な節目を突破して上昇しています。
つまり、週足チャートや月足チャートで過去の重要な節目超えの銘柄をチェックしておけば、その後大きく上昇する銘柄を高い確率で探し当てることができるのです。
もし買った後で失速してしまったとしても損切りを確実に実行してさえいれば大きな損失につながることもありません。その意味ではそこそこのリスクで大きなリターンが狙える戦略といえるのではないでしょうか