投資期間の長短により異なる投資スタイル

株式投資は投資期間に応じて大きく「短期」「中期」「長期」の3つの投資スタイルに分けることができます。
「短期」とはその日のうちに買った銘柄を手仕舞いしてしまうデイトレードや、数日程度の保有で売却するスイングトレードなど、小さな株価の波を掬い取る、いうなれば薄利多売のような手法です。

「長期」は数年間から長ければ数十年間じっくり保有を続け、株価のダイナミックな上昇を掴んで大きな利益を目指す手法です。

「中期」は短期と長期の中間で、数カ月程度の投資期間で中程度の株価の波をとらえていく手法です。

可能なら短期投資も悪くないがサラリーマンは中期投資を

もし、平日の昼間でも株式投資に時間が割けるのであれば、短期投資で小さな利益を積み重ねていく方法も悪くないと思います。実際、ここ最近日本株で大きく利益をあげることのできた個人投資家の大部分は、デイトレードやスイングトレードといった短期投資によるものと思われます。

今の日本株は大局的に下降トレンドですから、持ち続けるほど株価が下がってしまいます。短期投資であれば下降トレンドで保有し続けることによる株価下落リスクを極限まで減らすことができます。

でも、会社勤めの方など日中株式の売買をするのが困難な方は、短期売買をすることができません。そうなると長期投資か中期投資のいずれかを選ぶことになりますが、長期下降トレンドが20年以上続く日本株で長期投資を行うのはナンセンスであり、利益をあげることは非常に困難です。

そこで、現時点で取るべき投資スタイルは必然的に中期投資になります。

ここ何年かの日本株の動きをみると、数カ月程度の上昇相場が年に1回は訪れています。今年(2012年)も1月からの3カ月間、上昇相場が続きました。中期投資は主にこれをターゲットにして利益をあげることを目標とします。

筆者が考える中期投資の具体的な手法とは?

中期投資の新規買いのタイミングは日足チャートで判断します。

週足チャートで判断してもよいのですが、ここ最近の日本株は、株価が上昇しても数カ月程度で終わってしまうことが多いため、週足チャートでの判断は遅きに逸してしまいます。

したがって、日足チャートで上昇トレンド入りしたら新規買いを実行し、日足チャートが下降トレンドに転換したら売却するようにします。

なお、あくまでも上昇トレンド入りしたかどうかの判定は個別銘柄ごとに行います。日経平均株価やTOPIXが下降トレンドの中でも上昇を続ける個別銘柄も少なくないからです。とはいえ、日経平均株価やTOPIXが上昇トレンドにあるときの方が、個別銘柄も上昇しやすいのも事実です。

そこで、個別銘柄ごとに日足チャートで上昇トレンド入りしたことを確認して新規買いを進めていき、日経平均株価が上昇トレンド入りしたならば投下資金を増やして多少強気で攻めていきます。

売却のタイミングもあくまで個別銘柄ベースです。日経平均株価が下降トレンドに転換していなくても保有する個別銘柄が日足チャートで下降トレンド入りしたら、売却するようにしましょう。

中期投資を基本にしつつ長期上昇トレンドも逃がさない方法とは?

でも、個別銘柄の中には株価が底値から何倍、何十倍に上昇するものも少なくありません。そんな銘柄を数カ月程度の上昇で売ってしまうのはもったいないとお考えの方も多いでしょう。

また、確かに今は長期下降トレンドですが、今後長期上昇トレンドに転換する可能性も大いにあります。

そこで筆者が考えたのが、「中期投資を基本としつつ長期的な株価上昇をできるだけ逃さない」方法です。

この方法を実践すれば、株価が上昇トレンドを続ける限り保有し続けることになりますから、結果的に長期投資のメリットを享受できます。

1.まず日足チャートで上昇トレンド転換した銘柄を買う

 

2-1.株価上昇が続き、週足チャートでも上昇トレンド転換を果たした場合は売り時の見極めを日足チャートでなく週足チャートで行う

2-2.2-1.に達することなく日足チャートで下降トレンドに転換したら売却する

3-1.さらに株価上昇が続き、月足チャートでも上昇トレンドに転じたら、売り時の見極めを週足チャートでなく月足チャートで行う

3-2.3-1.に達することなく週足チャートで下降トレンドに転換したら売却する

4.月足チャートで下降トレンドに転換したら売却する

 

着実に利益を重ねるか? 長期上昇の夢を追い求めるか?

この方法は、確かに長期上昇トレンドを逃がさないようにできるが長所である反面、上昇が短期間で終わり長期上昇トレンドに至らなかった場合、日足チャートのみで売り時を判断する方法よりも利益が少なくなってしまう点が弱点です。

例えば、今年1~3月ごろにかけて株価が大きく上昇し、日足のみならず週足も上昇トレンドに転換したにもかかわらず、4月以降失速し、株価が上昇前の水準にまで戻ってしまった銘柄が多数ありました。このとき、日足チャートの下降トレンド転換で速やかに売っておけばそれなりの利益を確保できたのですが、週足チャートの下降トレンド転換まで待って売った場合、かなり利益を減らしてしまう結果になってしまったのです。

着実に利益を積み重ねたいのであれば日足チャートで売り時を判断すればよいですし、長期的な上昇を逃したくないのであれば目先の多少の利益は我慢して上記1~4の方法を実践すればよいと思います。