システムトレードとは何か?

最近、システムトレードの広告をよく見かけるようになりました。システムトレードとは、利益をあげることのできる売買ルールを過去の株価の値動きのシミュレーションから見つけ出し、その売買ルールに従って機械的に売買を行う投資手法のことをいいます。

例えば、「株価が5日移動平均線からマイナス10%以上乖離したら買い、利益が10%に達するか保有期間が5日経過したら売る」といったものです。システムトレードは「こうなったら買い、こうなったら手じまい売り」と売買がルール化されているため、売買の際の主観を排除することができるのが特徴の1つです。

システムトレードは、株式だけでなく、先物取引やFX取引においてもよく用いられているようです。

システムトレードの広告をみると、20年間低迷が続く日本株であっても多額の利益をあげることができたという利用者の声も掲載されていて、「そんなに儲かるなら私もやってみようか」という思いになってしまいます。

しかし、システムトレードにもいくつか注意すべき点があります。システムトレードに関心のある方は、こうした点を頭に入れた上で実行するようにしてください。

「ドローダウン」に注意

システムトレードでまず注意しておかなければならないのは「ドローダウン」というものです。

ドローダウンとは、あるルールに従って売買を繰り返していった結果、資金が一時的にどの程度目減りする可能性があるのかを過去の株価のシミュレートから計算したものです。ドローダウン30%なら、100万円の投資資金が一時的に30%減の70万円まで目減りしてしまう可能性があることを意味します。

システムトレードの多くは短期売買が基本であり、売買1回当たりに期待できる利益も小さなものです。勝率も高くはありません。それでも何度も繰り返し売買をしていくことで、長い目で見ると利益が着実に積み上がっていく、というイメージです。

そのため、5年、10年のスパンでは十分なプラスが期待できる売買ルールであっても、数ヶ月程度の短期間ではマイナスが続いてしまうことも珍しくありません。

システムトレードに向いている人・向いていない人

システムトレードの成否はその人の性格に大いに左右されると言われます。次の2点に当てはまる人でないとシステムトレードで成功するのは難しいかもしれません。

将来も利益が出せるとは言い切れない

過去のデータからの検証では十分な利益が出ている売買ルールであっても、将来的にはそれが通用しなくなり、利益が得られなくなる可能性も大いにあります。

多少の損失は覚悟して続けることが重要と上で書きましたが、損失が先行している最中は、ドローダウンによる仕方のないものなのか、あるいはすでにその売買ルールが通用しなくなっているためなのかは分かりません。もし後者だとしたら、続ければ続けるほど資金が目減りしてしまうことになりかねません。

ドローダウンがさらに深くなる可能性がある

売買ルールはまだ十分通用するものの、ドローダウンがそれまでの実績より深いものになってしまう可能性もあります。システムトレードのシミュレーションで示されるドローダウンも、あくまで過去の株価の値動きから算出したものだからです。

もしかすると、将来はドローダウンが100%を超えてしまう、つまり資金をすべて失ってしまうことすらあるかも知れません。

したがって、システムトレードを行う際には下記のような対応策を取るべきでしょう。

あまり多くの資金をつぎ込まない
システムトレードで提示される売買ルールはあくまでも過去の株価の値動きでシミュレーションした場合高い利益をあげることができた、というものです。将来の利益を保証されているわけではありませんから、システムトレードを100%信じて多くの資金をつぎ込み過ぎないようにした方が良いと思います。最初はあまり無理のない範囲で、全額がなくなってもよいという程度の金額で始めてみるのがよいのではないでしょうか。
 
複数のシステムや複数の売買ルールに資金を分散させる
将来売買ルールが通用しなくなった時に大きな損失を抱えることを防止するために、複数の売買ルールに資金を分散させて投資しておけば、そのうちのいくつかがうまくいかなくなったとしても残りでカバーすることが可能になります。
また、システムトレードを扱う業者はいくつもありますので、分散投資と同じ考え方で、複数のシステムトレードに資金を分散させるのも1つの手です。