ETFの決算日が間近に迫っている
7月は多くのETF(上場投資信託)が決算日を迎えます。ETFは投資信託ですから、決算日にETFを保有している受益者(株式会社における株主のようなもの)に対して、分配金が支払われます。
ETFには様々なラインナップがあります。日経平均株価やTOPIXといった株価指数に連動するタイプが代表的なものですが、それ以外にも各業種別にETFが組成されていますし、珍しいものでは三菱グループのETF(MAXIS S&P三菱系企業群上場投信(1670))というものもあります。このETFを買えば、上場している三菱グループの銘柄に分散投資できるのです。ETFが誕生した当初に比べ、銘柄数も格段に増え、商品構成も随分ユニークになりました。
今回のコラムでは、多くのETFで決算日が近づく中、ETFの実践的な活用法につき考えてみたいと思います。
決算直前に分配金目当てで買ってもうま味は少ない
ETFは投資対象となる指数に価格が連動するように設計された投資信託です。ところが、ETFとその対象となっている指数とが乖離しているケースがよくあります。
例えば、日経平均株価と、日経平均株価連動型のETFである上場インデックスファンド225(1330)の6月20日の終値を比べてみると、前者が8,752円31銭に対し後者は8,990円と、200円以上の差がついていることが分かります。実はこの差額の中にETFの分配金相当額が含まれているのです。
実際の分配金の額はETFの決算が確定しないと分かりませんが、参考までに前期は権利付き最終日の両者の価格差が約248円、分配金は163円でした。
この上場インデックスファンド225をはじめとして、多くのETFが7月に決算日を迎えます。でも、分配金だけを目当てに、決算日直前にETFを買うというのはあまり意味がありません。なぜなら、分配金の権利落ち後は分配金の額だけETFの価格が下がってしまうからです。
例えば上述の上場インデックスファンド225の分配金利回りは約2%ほどありますが、この恩恵をまるまる受けるには、1年間保有し続ける必要があります。
イメージでいえば、7月の権利落ちで価格が下がった後、少しずつ価格に分配金相当額が上乗せされていき、また来年の7月の権利落ちでその分の価格が下がる、この繰り返しです。
ETFの実践的な活用法
上記を踏まえて、筆者が考える実践的なETFの活用法は以下のとおりです。
ETFの最もすぐれた点は、少額の資金で数多くの銘柄に分散投資するのと同じ効果がある点です。つまり、個別銘柄が不祥事を起こしたり業績が急速に悪化して株価が急落するリスクを最小限に抑えることができるのが魅力です。個別銘柄固有のリスクをできるだけ減らすためには、ETFは積極的に活用したい商品といえます。
とはいえ、買いタイミングを計らずいつでも買ってよいというわけにはいきません。やはり基本は個別銘柄と同様、上昇トレンドで買い、下降トレンドで売る、というスタンスです。分配金にはあまりこだわらない方がよいでしょう。もちろん分配金が高いものを選ぶのは構いませんが、あくまでもトレンドを重視するようにしましょう。
どうしても分配金重視でいきたい、もしくは何十年も長期保有する覚悟がある、という場合は、投資金額に対して分配金が毎年コンスタントに5%以上もらえるのならば検討してもよいかなと思います。これなら、ETFの価格が下がったとしても20年で元がとれます。
そして、流動性にも注意が必要です。ETFの中には売買高が少ないものもあります。そうしたETFは買いたいときに買えない、売りたいときに売れない、という事態になってしまいます。最低でも自分が投資したい口数の100倍の売買高が毎日コンスタントにあるETFから選ぶことをお勧めします。