早いもので2011年も終わり、新たな年がスタートしました。2012年も個人投資家の立場に立った有用な情報を発信していきますのでよろしくお願いいたします。
今回は、2012年第1回目のコラムですので、2012年の日本株投資戦略を考えてみたいと思います。
現時点の日本株のトレンドは?
まず、現時点の日本株の状況を、日経平均株価でみてみましょう。
株価のトレンドは、「株価と移動平均線との位置関係」「移動平均線の向き」から判断することができます。
週足チャートで「株価が13週移動平均線の上にある」「13週移動平均線自体が上向きである」ならば中期的な上昇トレンドを意味し、数カ月程度の上昇が期待できます。そして、月足チャートで「株価が12カ月移動平均線の上にある」「12カ月移動平均線自体が上向きである」ならば、長期的な上昇トレンドを意味し、長ければ数年程度の上昇が期待できます。
現在(2011年12月25日時点)の日経平均株価の週足チャートと月足チャートをみると、いずれも移動平均線(週足:13週、月足:12カ月)の下方に株価が位置し、移動平均線自体も下向きです。上記の上昇トレンドの要件の逆の状態ですから、中長期的にみて日本株は下降トレンドが継続していることが分かります。
少なくとも週足チャートでみて上昇トレンドとならなければ、日本株に強気のスタンスを取るには時期尚早といえましょう。
日経平均株価 週足チャート+13週移動平均線
日経平均株価 月足チャート+12カ月移動平均線
個別銘柄では上昇トレンドのものも少なくない
でも、日経平均株価が中長期でみて下降トレンドだからといって個別銘柄も同様とは限りません。例えばサンリオ(8136)のように、週足チャートも月足チャートも上昇トレンドとなっている銘柄も見受けられます。
ただ、いくら上昇トレンドにあるとはいえ、安値から2年間で約6倍に上昇したサンリオ株を現時点で新規買いするよりも、今後サンリオ株のような値動きが期待できる、上昇初期段階の銘柄を買ったほうがより高い投資成果が得られるものと筆者は考えます。
例えば、週足チャートをチェックして上昇トレンドに転換した銘柄を買い、その銘柄が月足チャートも上昇トレンド入りとなればさらに追加で買う、という方法です。
為替相場の影響を受けにくい内需関連銘柄や新興市場銘柄を中心に、すでに上昇トレンド入りしつつある銘柄も増えてきています。株価上昇の初期段階で上手に買い仕込めるように、気になる個別銘柄の株価チャートは、定期的にウォッチしておくようにしましょう。
日本株が本格上昇するための2つの条件とは
上記のように、現状の日経平均株価は中長期とも下降トレンドにあるわけですが、今後日本株が本格的な上昇に転じるためには何といっても「為替相場の円安」「長期金利の上昇」の2つが必要です。
2009年3月は、日経平均株価約7,000円に対しニューヨークダウは約6,500ドルと、日経平均株価のほうが高い数値でした。それがこのところの円高により、逆に日経平均株価がニューヨークダウに大きく引き離されてしまいました。2011年12月25日時点では、日経平均株価8,395円16銭に対し、ニューヨークダウ12,294ドル00セントと実に4,000ポイント近い差がついてしまっています。
為替相場が円高だと、日本株独自の上昇は期待できません。仮にアメリカ株が大きく上昇したとしても、日本株は連れ高程度で本格的上昇は見込めません(それがまさに2009年3月以降の日本株とアメリカ株の値動きの違いです)。
逆に言えば、為替相場が円安に転じれば、4,000ポイント近い差がついた日経平均株価とニューヨークダウの数値が縮まり、日本株のパフォーマンスは格段に向上するはずです。
また、超低金利が続く中で、株価と長期金利の間には「株価上昇=金利上昇」「株価下落=金利低下」という関係が生じています。現在は長期金利が低下傾向にありますが、これは投資資金が債券に流れていることの表れです。もし長期金利が上昇に転じれば、債券価格が値下がりすることになりますから、債券に滞留していた投資資金が株式市場に流入することが期待できます。そうなれば、株価の上昇要因となります。
日々のニュースではなく株価のトレンドを重視しよう
ところで、最近はヨーロッパ各国の信用不安に加えて北朝鮮情勢の問題などもあり、とても株式投資どころではない、とお考えの個人投資家も少なくないかもしれません。
しかし、毎日のニュースに一喜一憂し、それを売り買いの判断材料にしていたのでは株式投資で成功することはできません。あくまでも重要なのは「株価の動き」です。
現に、ヨーロッパ諸国の財政問題についての悪いニュースが連日のように報道されている割にはドイツ株ではあまり下落していませんし、アメリカ株に至っては、戻り高値を5カ月ぶりに更新するほどの強い動きです。日本株も、強くはないものの底堅さは感じられます。
もし株式投資をする気が失せるような悪いニュースが連日のように報道されていたとしても、日経平均株価や個別銘柄が上昇トレンドに転じたならば、それは「買い」のサインなのです。
株式投資で最も重要なのは株価のトレンドに逆らわないことです。日々のニュースに振り回されるのではなく、上昇トレンド入りで買い、下降トレンド転換で売るというシンプルなルールに従って投資行動することが、投資成果の向上につながるはずです。