過熱圏では買わない! 買いのタイミングを見極めることが大事
今回も、前回に引き続き主に信用取引の買いで失敗しないためのポイントをご紹介していきたいと思います。
前回にも述べましたが、「株価の天井付近で買って、その後株価が反落しても損切りせずに持ち続け、最終的に6カ月後の決済期日が来ても含み損が解消せず泣く泣く強制決済させられる」というのが信用取引での典型的な失敗パターンです。
株価の天井付近で買うことが失敗の理由の1つになるのなら、その付近では買わないようにすればよいのです。そのためには、株式市場の過熱の度合を感じ取ることがポイントです。なぜなら、株価が天井をつけるときは、市場参加者が強気で過熱感たっぷりの状態だからです。
過熱感を測る指標として何が適切か?
株式市場の過熱感を測る指標として注目するのは「騰落レシオ」と「信用評価損益率」です。
株式市場全体の上昇とともに騰落レシオが上昇し、信用評価損益率は改善されます。これらが底打ち後の上昇局面にあり、かつ株価が上昇トレンドにあれば新規買いのチャンスです。しかし、騰落レシオの上昇や信用評価損益率の改善が続き、警戒ゾーンに入ってきたら要注意です。
警戒ゾーンの目安としては、騰落レシオであれば130%超え、信用評価損益率ならマイナス5%超えです。騰落レシオや信用評価損益率が警戒ゾーンに近づいてきたら新規の信用買いは中止し、既存の買い持ち分は順次利食いしていくようにします。
これ以外に、日経平均株価の移動平均線乖離率がプラス10%付近に達したときも市場全体が一旦の天井をつけることがよくあります。合わせてウォッチしておきましょう。
とにかく無理をしないことが大ケガを避ける
信用取引は危険だ、と警告を発する人も多くいます。しかし、使い方次第で危険度も大きく異なる、それが信用取引の本質です。
例えば、100万円の元手を保証金として、300万円の取引枠の信用取引ができるようになったとしましょう。このとき、30万円分の信用買いを実行したとしても、全然危険ではありません。なぜなら、仮に信用買いした銘柄の株価が急落して10万円になってしまっても、100万円の元手が80万円に減るだけだからです。
では、100万円の元手を保証金として、取引枠いっぱいの300万円を信用買いした場合はどうでしょうか。この場合、300万円から34%株価が下落すると、100万円の元手がゼロになってしまいます。実際には株価が34%下落するより前の時点で追い証の差し入れ義務が発生し、差し入れができなければ強制決済されることになりますが、それでも元手はほとんど残りません。
このように、無理にレバレッジを効かせて元手の何倍もの信用取引をしてしまうことが大ケガにつながってしまうのです。逆にいえば、信用取引といえどもレバレッジを効かせなければそのリスクは現物取引とほとんど変わりません。
ですから、信用取引を始めたばかりという方は、無理をせず10万円、20万円程度から信用取引をしてみてください。取引の仕組みなどが分かって十分慣れてきた段階で、必要であれば取引金額を徐々に大きくしていけばよいのです。
もちろん、レバレッジを効かせた方が、成功したとき大きな利益を得られます。しかし、それと裏腹に失敗したときの損失も大きくなる点には注意が必要です。