テクニカル分析的に見た日経平均の今後のシナリオ
では、こうした相場環境の中で、日経平均の今後の展開についても考えて行きたいと思います。
現時点では、状況次第で複数のシナリオが想定されるため、絞り込むことは出来ませんが、テクニカル分析面で押さえておきたいポイントについて見て行きます。
図5 日経平均(週足)の動きとエリオット波動(2024年11月1日時点)
上の図5は日経平均(週足)の動きに、相場の動きを「波」として捉える「エリオット波動」の線を重ねて描いたものです。
エリオット波動分析は、起点となる場所やどこまでの株価の動きをひとつの波として捉えるのかによって、解釈の仕方が異なり、人それぞれで見方が違ってくるため、あくまでも上の図5は筆者の解釈になりますが、現在の株価位置は「B波」の途中にあると思われます。
そのため、今後の相場展開としては、「もうしばらくB波が続き、もう一度高値をとりに行く」展開と、「まもなくB波が終わって、C波を辿り始める」展開が想定されます。
前者はいわゆる「トリプル・トップ」を描く格好で、その後はC波へと向かい、後者の場合は、C波で下落した後も上昇推進が続くのか、それとも下落推進に転じるのかを見極めて行くことになります。
いずれにしてもC波が終わった後の株価の動きが重要になってきますが、この点について、もう少し踏み込んでみます。
エリオット波動の考え方には、上昇トレンドの形である「上昇推進」と、下落トレンドの形である「下落推進」があります(下の図6)
図6
上昇推進の形は、「1波から5波」の上昇局面と、「A波からC波」の修正局面で構成されています。上昇トレンドが続くのであれば、このサイクルが繰り返されることになります。
この上昇推進とは反対の形が下落推進になります。「1波から5波」の下落局面と、「A波からC波」の修正局面で構成され、このサイクルが繰り返されると下落トレンドが継続することになります。
図7
先ほど、「C波が終わった後の株価の動きが重要になってくる」と述べましたが、上の図7が示すように、C波が終わった後に再び上昇推進の形が繰り返されるのであれば、中期的な上昇トレンドが継続することになり、いわゆる「押し目買い」や「下値を拾う」投資戦略が有効になります。
その一方、C波が大きくなったり、その後の上昇も弱かったりすると、上昇推進から下落推進の形に移った可能性も出てくるため、中期的な下落トレンド入りを見据える必要が出てきます。
現在のB波は明確なトレンドを描いているのではなく、株価が振れ幅の大きい「もみ合い」を続けながら形成していることもあり、今週のイベント後に株価が大きく上昇・下落したとしても、下値や上値を切り上げる格好が維持されるのであれば、B波が継続することになります。
イベント通過によって、株価が上昇していく展開となれば、日経平均の4万円台乗せも十分に有り得ると思いますが、この流れでつける高値がトリプル・トップの最後の上昇かもしれないことや、その後の株価下落(C波の到来)に備えておく必要がありそうです。
また、株価が下落した場合、現時点でのB波終焉のサインは、図1で見てきたレンジの下抜けや週足チャートの52週移動平均線(先週末時点では3万7,445円)割れなどが目安となります。
こちらのレポートでも指摘したように、米大統領選挙絡みのアノマリー(経験則)として、選挙後の株価が上昇しやすいという傾向がある一方、足元の米国株には、金利面や景気面、割高面で不安の火種も抱えているのも気掛かりです。
したがって、こうした中で迎える今週は、年末年始相場に向けての大きなヤマ場になるかもしれません。