米利下げ0.5%観測高まり一時1ドル=139円、大幅利下げで市場混乱も

 9月16日、日本が祝日で休場の時にドル/円は1ドル=139.60円近辺へと1年2カ月ぶりの円高となりました。今週17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.50%利下げへの思惑と警戒感が強まり、ドルが売られる展開になりました。

 先週前半は0.25%の利下げ観測が大勢でしたが、先週後半に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのFEDウオッチャー、ニック・ティミラオス記者が0.50%の利下げの可能性を示唆したことや、英紙フィナンシャルタイムズも0.50%の利下げが実施される選択肢はなお残っていると報じたこと、さらにダドリー前ニューヨーク連邦準備銀行総裁も0.50%の利下げを実施する強い論拠があるとの認識を示したことから、FOMCでの0.50%利下げ期待が再浮上し、警戒感が高まりドル安・円高となりました。

 先行きの米政策金利の織り込み度を示す米CME(シカゴ先物取引所)のフェドウオッチ(FedWatch)によると、9月の0.50%利下げ期待はCPI(消費者物価指数)発表後は30%程度でしたが、週明けは60%超となっています。

 ドル/円は日本の祝日中に1ドル=139円台を付けましたが、その日の内に1ドル=140円台後半の円安に戻しています。FOMCの前哨戦という感じですが、フェドウオッチの0.50%利下げ期待の60%超は期待が大き過ぎる印象です。

 また、17日の米8月小売売上高や鉱工業生産指数が予想を上回ったことからドル/円は1ドル=142円台半ばまで円安に行きましたが、0.50%利下げ期待の60%超は変わっていません。雇用市場は鈍化していますが、景気に大きなブレーキがかかっていない状況では、予防的利下げとしての0.50%利下げは大き過ぎるかもしれません。

 0.50%の利下げになった場合、市場予想通りとはいえ、再度ドル売りになることが予想されます。一方で、「0.50%の利下げをしなければいけないほど米景気は悪いのか」との警戒感が高まるシナリオも想定しておいた方がよさそうです。市場が悲観的になれば、米株安、金利低下、ドル安が予想されます。

 また、FRB(米連邦準備制度理事会)の大幅利下げや米景気悪化懸念は、日本銀行の追加利上げ時期を後退させるとの見方が強まり、円高にブレーキがかかるシナリオも想定されます。FRBのパウエル議長が記者会見で大幅利下げの背景を丁寧に説明しないと市場は混乱することも予想されます。