日米欧の金融会合控え、1ドル=140円台後半で円高いったんブレーキ
9日に発表された日本の2024年4-6月期実質GDP(国内総生産)の改定値が2.9%増と速報値の3.1%から下方修正されました。個人消費と設備投資の下方修正が影響したようです。
9日のドル/円の円安は、この下方修正が、植田和男日本銀行総裁が追加利上げの前提としている「経済・物価見通し実現の確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する」ことに影響するのではないかとの懸念も円売り要因となったようです。
しかし、19~20日の日銀金融政策決定会合で、日銀の経済・物価見通しの見方が変わらず、追加利上げ姿勢も変わらなければ、先んじて米欧が利下げする環境ではドル/円の円高圧力にユーロ/円の円高圧力が加わり、ドル/円は1ドル=140円方向に行きやすくなることが予想されます。
一方で、利下げの背景となる欧米の経済が悪化していく中で日銀の利上げが困難になってくるのではないかとの見方がある点にも留意していく必要があります。日銀は欧米の政策決定に影響されないと説明すると思われますが、市場は今後違った見方をしてくる可能性もあるかもしれません。
日銀会合前には、11日に中川順子委員、12日に田村直樹委員の発言があります。中川委員が11日に「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」と発言したことで、トランプ氏とハリス氏のテレビ討論中でしたが、1ドル=142円台前半から一時140円台後半の円高に動きました。
このような動きを見ると、12日の最もタカ派とされる田村委員の講演は注目です。前回3月には予想外のハト派発言で円売りが強まりましたが、今回追加利上げにどのような姿勢を示すのか見ていきたいと思います。
ドル/円は1ドル=140円台後半までいったん行き、円高にブレーキがかかっているような動き方をしています。
テレビ討論会、あるいは大統領選挙を控えてインフレ、金利高を意識した動きとの見方もありますが、それよりも日米欧の金融会合を控えている今、会合結果を見極めるまでは次の大きな方向に動けないという背景の方が大きいのではないでしょうか。金融会合後の大きな動きに注意する必要があります。
ハリス氏とトランプ氏討論会で直接対決、新大統領がどちらか読むのは時期尚早か
10日のトランプ氏とハリス副大統領とのテレビ討論会では、政策討論よりもどちらが米大統領にふさわしいか注目されていました。今回、トランプ氏のハリス氏に対する個人攻撃は抑制的で、ハリス氏の決定的な失点もなかったことから、トランプ氏とバイデン大統領の6月の討論会のように決定的な優劣は見られませんでした。
政策については、どちらの陣営が勝っても拡張的な財政運営が志向される可能性が高いため、インフレ的になり、金利は上がりやすいといわれています。
しかし、選挙はしてみないと分かりません。さらに新大統領が打ち出す政策が法制化は上下院の議会勢力がどうなるかにかかっています。ねじれ議会になれば法制化が阻まれるかもしれません。従って選挙前から新政権の政策を意識して相場を読むのは、時期尚早の可能性があります。思惑だけで相場が動いても相場の方向付けには至らないのではないでしょうか。