米景気懸念→米国株下落・円高急伸→日本株へ外国人売り
以下の通り、日本株にとって悪材料が増えました。米景気への懸念から世界的に「リスクオフ」の動きが広がり、日本株も売られました。
【1】米景気悪化を示す指標が増え、米国株が下落
【2】米利下げが近いとみられ、円高急伸
【3】日本の景気指標もやや弱含み
【4】中国の景気低迷が継続
【5】7月31日に日本銀行が利上げと量的引き締めを発表
日本株売りにつながった五つの要因を挙げましたが、中でも影響が大きかったのが、【1】と【2】です。その根源にあるのが、「米景気悪化の不安」です。米国の景気指標が弱含んできたことにより、米国株が下げ、米国金利が低下し、米利下げが近いとの見方から円高が急伸しました。
グローバル投資家が、ポートフォリオのリスクを落とすために、日経平均先物を売ったと考えられます。グローバル投資家にとって、日本株は世界景気敏感株なので、世界景気になんらかの不安が出ると、真っ先に日本株を売る傾向があります。円高急伸によって、外国人の売りがさらに入りやすくなったといえます。
日経平均と、外国人投資家の日本株売買動向(売り越し・買い越し):2023年1月4日~2024年8月2日(外国人売買は7月26日まで)
7月以降、日経平均は、いったん4万2,000円超えに急騰してから、3万6,000円割れまで急落しました。「米景気堅調・米国株高・円安」ストーリーが続くとみて、外国人投資家はいったん日本株を積極的に買い、日経平均を4万2,000円超えに押し上げました。
ところが、その直後から、「米景気悪化・米国株下落・円高」の不安が高まり、外国人は大慌てで日経平均先物を売ってきたと考えられます。7月22~26日の週は、外国人投資家が株式現物と株価指数先物を合わせて、日本株を1兆5,616億円、売り越しました。うち、約1兆円(9,957億円)が先物の売り越しです。
日経平均はテクニカル分析の視点では「弱気局面」
この急落で、日経平均はテクニカル分析の視点から「弱気」局面入りしています。
日経平均株価週足:2024年1月4日~8月2日
テクニカル分析の視点では、以下3点が、弱気局面入りの可能性を示唆します。
【1】二番天井をつけて下落
【2】13週移動平均線と26週移動平均線がデッドクロスを形成
【3】13週移動平均線が下向きに転換
米景気はどこまで冷え込むか、日経平均はどこまで下がるか、明日のレポートで私の考えをお伝えします。
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