米国市場ではS&P500が今年25回目となる最高値更新

 米国市場では、7日発表の5月の雇用統計や11~12日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)への警戒感が拭えない中、「エヌビディア株効果」(年初来+147%)でS&P500種指数が今年25回目の最高値を更新。ナスダック総合指数も最高値を更新しました(5日)。

 一方、インド市場の乱高下が目立ちました。4月19日~6月1日に実施された下院総選挙では、BJP(インド人民党)を中心とする与党連合の勝利とナレンドラ・モディ首相の政権3期入りが確実視され、3日は株式と債券と通貨ルピーの「トリプル高」がみられました。

 ただ、期待されたほどの与党大勝とならなかったことで、今度は失望売りが先行。その後はモディ政権存続の安ど感で5日と6日に反発しました。

 参考までに、図表1は過去10年の主要国株式市場のトータルリターン(総収益率:年率平均)をMSCI株価指数で比較したものです。

 インド株式の年率平均リターンは+13.2%と米国株式や日本株式より高く、新興国株式全体や中国株式より優勢でした。2014年に就任したモディ首相が進めてきた構造改革(モディノミクス)がけん引し、インドは労働人口増勢による内需主導型の高度経済成長局面(人口ボーナス期)入りしているとされます。

「グローバル・サウスの雄」で「世界最大の民主主義国家」と呼ばれるインドでモディ首相の続投がほぼ決まり、直接投資(生産・販売拠点の拡充)や間接投資(株式・債券投資)の両面で海外資金が一段とインドに流入していくとみられます。

 市場の短期的な需給悪化に伴う乱高下に一喜一憂せず、中長期の視点に立った成長期待に基づきインド株式への分散投資を続けていきたいと思います。

<図表1>インド株式は過去10年の長期総収益実績で優勢だった

(出所)MSCI、Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年5月末)